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zoom RSS 過労自殺への損賠金額が低下しているのでは

<<   作成日時 : 2010/11/02 06:32   >>

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以前にも書きましたが「死刑制度」に反対です。いかなる理由があろうと、生命を奪ってはなりません。しかし…あまりにも人の生命が軽んじられる社会になっています。昨日の裁判員裁判での検察による「死刑求刑」に対する「無期懲役判決」に、ネット上では裁判員に対する罵詈雑言が飛び交っています。9/1のブログでも書きましたが、関東大震災における民衆の朝鮮人虐殺を思い起こす時、日本人の心底に潜む残虐性に対し、恐れを覚えます。職場等で「死んじまえ!」との暴言が飛び交い、ゲームや漫画では、簡単に人を殺す情景があふれています。9年連続して3万人を超す自殺者があり、しかも未遂や不明者を加算するとその10倍近くなるとの怖ろしい話も聞きます。

10/30の朝刊に「過労自殺6500万円賠償命令」との記事が載っていました。介護付き老人ホームなどを経営する会社に勤める男性(当時43歳=財務経理部長)が自殺したのは、土日や連休でも出勤・時間外勤務は月228時間に達してうつ病がが発症したことによるものだとされました。会社は「うつ病の発症は考えられず、自殺は予見できなかった」と主張したそうですが、1億1580万円の損害賠償請求に対する、6590万円の判決は高いと思うか、安いと思うか、人の生命を金額であらわすことに悩むところです。これまで、日本における過労自殺に対する金額では、こんな記事があります。

>民事賠償額:上位20判決の平均は1億円  労災問題研究所 民事賠償額まとめる 過労死・過労自殺が目立つ
過労死など労働災害問題を取り扱う労災問題研究所(稲垣昭雄所長)が2009年現在の労働災害・職業病関係の民事損害賠償における高額判決・和解額の実態を調べたところ、上位20事例の平均額が初めて1億円を超えたことが分かった。最も高額だった1億9800万円の事案など上位の多くは過労死や過労自殺によるもので、過労死・過労自殺だけの集計でも平均は1億円に近い額となっている。賠償額も近年は高額傾向にあり、労災判決の上位20事例中13事例は2000年に入ってからのものだった。
集計では、労災・職業性疾病関係の判決・和解額について、公表されているもののなかから上位20事例の平均額をまとめている。2009年7月末現在では、判決額の平均は1億429万円となり、初めて1億円を超えた。1990年末現在での平均額が5219万円だったことから、約20年前に比べ2倍になっていることになる。内容を見てみると、2008年判決の過労死事案(1億9800万円)が最も高額で、同年判決の小脳出血による事案(1億8989万円)、1994年判決の原木落下での労働災害事案(1億6524万円)が続いている。稲垣所長によれば、「判決額は高額傾向にあり、最近では過労関係のものが圧倒的に多い」という(上位20事例のうち半数は2005年以降の判決)。
また、20事例中の13事例は過労に関係するもので、過労死(自殺含む)だけを抜き出した集計でも平均は9760万円で1億近い額となっている。被災者は情報処理係、営業員、部長、店長、派遣社員などさまざまだった。過労以外では15位のアスベスト(2009年判決:7600万円)なども最近の動向を反映したものとなっている。
一方、公表されている和解の高額20事例の平均は2009年末現在で9606万円。20年前の集計時では和解の平均額(6449万円)が判決の平均額(5219万円)を上回っていたが最新の数字では逆転している。【2009年10月1日】


上記報道と比べると、実は金額が低下傾向にあるのではないか、との危惧を覚えます。今年の5/26の報道によれば、日本海庄やでの過労死の損賠金額は、24歳男性であるにもかかわらず7,860万円でした。人がモノ扱いされ、労働がコスト換算され、労働という行為の尊厳さが奪われていく社会が進行するということは、「生命の値段」も下がるということであれば看過できません。一応、「過労死した場合の算定金額」については基準があるようで、過労死した方がその後何年働いて収入を得られたかを算定することとなっています。ちなみに計算式は下記の説明がありました。ある社会保険労務士の方のHPから勝手に借用してしまい、申し訳ないとは思いましたが、他に分かり易い説明がなかなかなかったもので…。

>具体的には、基礎収入から過労死した方の生活費を控除して、就労可能年数に対するライプニッツ係数または新ホフマン係数を乗じて中間利息を控除して算定します。これを式にすると次のようになります。
死亡逸失利益=(基礎収入−生活費)×ライプニッツ係数または新ホフマン係数
基礎収入とは、原則として被災前の現実収入額のことです。現実収入額以上に将来収入を得られる立証があれば、その金額を基礎収入とします。生活費というのは、生きていれば本来かかった生活費がありますので、過労死した場合はこれを収入から控除することになっています。 また、ライプニッツ係数または新ホフマン係数を乗じるのは、相手方に請求する逸失利益は将来得られるはずであった得べかりし利益ですので、現在の価値に修正しなければなりません。損害賠償実務では、年5%で運用することを前提とした係数表がありますが、単純に死亡後の労働可能年数(後遺障害の場合は労働能力喪失期間)を乗じると被災者側に利得が発生するため、中間利息を控除する必要があるのです。
さて、中間利息を控除するためのライプニッツ係数または新ホフマン係数ですが、それぞれは何かというと、次のようになります。
ライプニッツ係数 元本を複利で運用することを前提とした方式
新ホフマン係数 元本を単利で運用することを前提とした方式
どちらの係数を使うかは、各裁判所の判断に任されていますが、最近はライプニッツ係数を用いる傾向があるようです。労働可能年数の終期は原則として67歳とされていますが、高齢者の場合は平均余命の2分の1とされます。実務では、事故時の年齢から67歳までの年数と平均余命の2分の1のどちから長い期間を使うことになります。
尚、葬祭費についてですが、かつては損害賠償の算定からは除外されていましたが、最近では相当の範囲で認められるようです。
慰謝料は、不法行為によって被災者が受けた精神的苦痛(悲しみ、恐怖、恥辱、痛みなど)の損害賠償といわれています。精神的苦痛がどの程度の金銭に該当するのかを算定するのは非常に難しい問題ですが、慰謝料を私的な制裁とする立場もあります。逸失利益と同様に慰謝料も死亡時と後遺障害が残ったときとで算定方法が異なります。ただし、あくまでも目安であり、死亡時の年齢、家族構成や障害の程度などにより増減が発生します。また、慰謝料額は被災者それぞれによって程度の違いを設けないよう、客観化・類型化されています。
過労死した場合の算定
過労死された方が一家のどのような立場であったかによって額面が変わってきます。具体的には次の通りです。
被災者 慰謝料額(万円)
一家の支柱 2,500〜3,000
母親・配偶者など(一家の支柱に準ずる場合) 2,200〜2,500
その他独身の男女、子供など 2,000〜2,400


このような計算式自体に恐れを抱きますが、それでも安くなっているとしたら、それは大問題です。以下のような記事もありました。これも出典を出さずに掲載します。人の生命の話は本当に暗くなり、書くこと自体に躊躇を覚えますが、何よりも大事なことだけに…ご容赦を。

>この「過労」問題で、鹿児島地裁で、先月16日、勤務先であった会社の安全配慮義務違反を認め約1億9400万円の支払いを命じていましたが、最近、会社側が損害賠償などで約2億4000万円を支払う和解が成立しました。史上最高だそうです。賠償額には寝たきりになった31歳以降の46年分の介護費や、得られるはずだった生涯賃金、両親に対する慰謝料などが含まれている。過労を巡る訴訟の賠償額としては約2億円の支払いを命じた2008年4月の大阪地裁判決に次ぐ2番目の高額です。
 判決によると、原告は鹿屋市の和食レストランで店長として1年2カ月勤務。04年11月、自宅で低酸素脳症を発症し意識不明の寝たきり状態になった。元店長は調理もこなし、1カ月の残業は国の過労死基準の倍の200時間に上っていた。裁判長は「長時間労働で疲れが蓄積し、人手不足や売り上げノルマなどの制約で精神的にも過重な負荷がかかっていた」と、病気は過労が原因だと認めた。さらに会社側が月200時間分もの残業代を一切支払っていなかった事も認定した。被告の会社側は、鹿児島県を中心に和食レストランなど約50店舗を経営している。06年には労使協定がないまま残業させたとして労働基準監督署から是正命令を受けていたという。
 この事件はいくつかの点で注目されますが、何と言っても賠償額などが極めて高額であることですね。わが国では概して賠償額が低額なため、会社側や加害者に「やり得」の気配を感じますが、これほどの高額になると、そうした企業のあり方にも大きな警告になるでしょう。また、こうした案件の背景には、その以前にいろいろな問題点が指摘されているものですが、この会社の場合も、法律で定められている労使協定もないまま労働者に時間外労働をさせていた上に、時間外の割り増し賃金(残業代)も払っていないから、その結果として会社の都合次第で極端な残業をさせていたのですね。恐らく、法律違反はこれに止まらないような会社なのでしょう。
 労働基準監督署もそうした事実を把握しながら、往々にしてその指導は充分でないケースが多いものです。それが結果として事件になってしまう。消防設備の不備がもとで火災が発生、客などが死亡する事件は決して珍しくはありませんが、それらは似たような事情にあるでしょう。役所側にも人手不足などの言い分はあるでしょうが、こうした監督官庁が企業の言い分に多く耳を傾けがちなことも、こうした悲劇の遠因になっていることも否定できない、ようにも思いますね。

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レイバン メガネ
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レイバン メガネ
2013/07/05 20:00
過労自殺まで損賠ビジネスとするブラック士業
相変わらず希望・展望の見える話題が少ない中で、「ワタミ過労自殺、遺族が渡辺美樹氏ら提訴」との記事を読んだ。この間正式には提訴していないものの、団交請求を含め要求は継続していたが、あまりにも不誠実な態度に対して、ついに損害賠償請求に至ったということだと思う。遺族の無念の思いに、自分も強い怒りを覚える。人の死を金額に換算できるわけなどないが、最後の手段として、会社側が安全配慮義務を怠ったと主張し、ワタミや当時代表取締役だった渡辺美樹氏らを相手どり、約1億5300万円の損害賠償を求める裁判を、1... ...続きを見る
シジフォス
2013/12/10 07:19

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