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zoom RSS 最低賃金 東京、大阪の中小5%超が下回る…異常だ

<<   作成日時 : 2017/03/07 06:26   >>

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昨日の京都新聞は「滋賀県内の最低賃金違反2割超 16年、大幅引き上げで最悪に」との記事を掲げていた。このような貴重な記事を目にすることができるので、NETは貴重だ。ただ、同様の調査は全国の労働局が行っているのだろうが、他県の状況が見えない。滋賀では去年の違反7.2%から22.4%に急増したというが、本来は大問題ではないのか。しかも、この調査は去年の1〜3月に実施したものであり、これは15年10月の18円アップの数字で、昨年10月には24円アップされている。さらに違反は増加しているはずだ。なお、滋賀労働局の調査は小規模事業所を中心に抽出した219事業所だけだという。少なすぎるのではないか。なお「49事業所で賃金が最低賃金に満たなかった労働者は計186人で、パート・アルバイトが81.2%を占め」、男女別では女性が83.3%だったという。http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170306000074

沖縄では3/3の「最低賃金破り、沖縄は全国最悪5%」(新報 3/3){最低賃金714円未満で働く労働者、沖縄は5.2% 全国平均上回る」(沖タイ 3/5)の報道があった。これは新報が厚労省と沖縄労働局に情報公開請求を求めて判明したもので、沖タイがすぐ続いた記事であり、その努力に敬意を表したい。

最低賃金破り、沖縄は全国最悪5%(琉球新報 2017/3/3)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170303-00000005-ryu-oki
 国が定める最低賃金を下回る給与で働く中小企業労働者の比率(未満率)で、全国の値と比較できる直近の2015年度の県の比率が5・2%となり、全国で最も高くなっていることが、2日までに琉球新報の厚生労働省と沖縄労働局への情報公開請求で分かった。公開された12年度から15年度の4年連続で全国平均を上回る値で、ワーストからワースト9位を低迷している。平均所得が全国で最も低いにもかかわらず、国が定めるルールを無視した低賃金労働が全国よりも高い割合で県内にはびこっている実態が浮き彫りになった。
 16年度の未満率は2・9%でワースト6位だった。
 県内では、パートやアルバイトといった最低賃金で働く非正規労働者に頼る中小企業や離島の零細企業などが多く、最低賃金を順守させるための周知などが急務となっている。
 県内の未満率は、15年度が全国平均を3・3ポイント上回る5・2%で、14年度は0・4ポイント上回る2・4%でワースト9位、13年度は1・2ポイント上回る3・1%でワースト4位、12年度は2・2ポイント上回る4・3%でワースト2位だった。
 厚労省は毎年6〜7月に、全国の労働局を通してパートなどを含む従業員が30人未満(製造業などは100人未満。建設業や運輸業は対象外)の約10万事業所に従業員給与を調査し、未満率を割り出している。秋(10月ごろ)の最低賃金改定の参考にし、地方最低賃金審議会に提出される。
 県内の最低賃金を決める沖縄地方最低賃金審議会は16年8月に、16年度の時給を21円増の714円にすることを決定し、同年10月1日から発効している。


上記にあるように、地賃審議会には各県毎の「未満率」が提出される。自分が現役時代は0.0%台だったと記憶しているが、急激に違反が増えていると思われる。しかし不思議に問題になっていない。自分のブログ倉庫には、以下の毎日新聞の独自取材による記事があった。この大阪の違反率が全国トップだという記事に対するTwitterが秀逸だった(エキタスのリツイート)。

●【やっぱ維新いらんわ】(12/19)
非正規率42.3%(全国平均37.6)
小中学校就学支援率26.7%(全国平均15.7)
年収200未満24.2%(300万未満の労働者が全体の4割)
生活保護受給世帯数全国1位
小中学生読書率47位
図書館数全国44位
最賃法違反ワースト1 ←NEW
○【維新政治8年 大阪のいま】(8/31)
ありもしない『既得権益』を喧伝し、削ったのは市民の生活予算。
家計の支出を145,000円も失った結果、景気は全国平均を大きく下回り落ち込んだ。
勤労者所得は維新政治の下で実に61,000円も下がった。
●大阪がワースト1。(12/19)
維新が中小企業関連予算を削りまくった結果、府内総生産もずいぶん落ち込んでるしね。


大阪で起きたアベ友学園事件における維新の対応をもっと白日に晒して欲しい。誰が考えても異様な事態がなぜ起きたのか、「日本会議」との関係性も気になる。金銭感覚に関しては、全国で最もシビアなはずの大阪だといわれるが、その大阪で最賃違反がなぜここまで多いのか知りたい。

<最低賃金>5%超が下回る…東京、大阪の中小 今年度(毎日新聞 2016/12/19)
http://mainichi.jp/articles/20161219/ddm/001/040/169000c?fm=mnm
<図表>2016年度の最低賃金未満率
 国が定める最低賃金を下回る給与で働く中小企業労働者の比率が、2016年度に東京都と大阪府で5%を超えたことが全国47労働局の調査で分かった。12〜15年度の全国平均1.9〜2.1%を大幅に上回り、前年度比で東京は3.8倍、大阪は1.4倍に急増。北海道や東北、東海でも3%以上の地域があった。最低賃金は14年連続で伸びているが、賃上げが追いつかず、ルールを無視した低賃金労働がまん延している実態が浮かんだ。
 毎日新聞が全国の労働局と厚生労働省に情報公開請求し、12〜16年度の全都道府県のデータを得た。
 厚労省は毎年6〜7月、労働局を通してパートを含む従業員が30人未満(製造業などは100人未満。建設業や運輸業は対象外)の約10万事業所に従業員の給与を尋ね、最低賃金未満で働く人の比率(未満率)を割り出している。秋の最低賃金改定の参考にするためで、地方最低賃金審議会に示している。
 16年度の未満率が最も高かったのは大阪府の5.5%で東京都の5.3%が続いた。前年度は大阪が3.9%、東京が1.4%で、それぞれ1.6ポイントと3.9ポイント上昇した。12〜16年度に5%を超えたのは他に北海道(12、13、15年度)と沖縄(15年度)、三重(同)だけだった。
 16年度で他に未満率が高かったのは、岐阜3.5%▽北海道3.2%▽岩手3.0%▽沖縄2.9%−−など。26都府県で前年度より上昇した。零細企業ほど高くなる傾向があり、東京では10人未満の事業所に限ると7.7%だった。
 未満率上昇の一因とされるのが、最低賃金の引き上げだ。03年度以降14年連続で上昇し、引き上げ額(時給)の全国平均は、12年度12円▽13年度15円▽14年度16円▽15年度18円▽16年度25円−−と、12年度以降は毎年10円以上伸びている。
 求人情報会社の調査では、アルバイト・パートの時給は全国平均で1000円前後に上昇しているが、違法性を認識しながら給与を据え置いたり、最低賃金の確認を怠ったりする雇用主が増えているとみられる。
 最低賃金は今年10月の改定で全国平均が823円になり、初めて800円を超えた。政府は1000円の実現を目指している。


今日は、自分も19時からの経団連前集会に参加してみたい。しかし、朝から病院でどうなるか不明。多くの方がエキタスが提起した行動に賛意を示している。不条理に対し怒りを感じたら直ちに行動を起こす。当たり前のことだが、どんどん後退していることが怖い。最賃違反だって、重大な法違反であり、刑事罰が適用されても然るべきだが放置され続けている。今年も最賃キャンペーン行動が開始される。自分の頭の中に叩き込み参考になることも期待し、添付し終わる。

>過労死ラインを20時間も超える「公序良俗違反」の残業100時間を「妥当な水準」とする経団連に怒り、抗議行動も(BUZZAP!2017/3/6)
http://buzzap.jp/news/20170306-aequitas-keidanren/

<記者の目>守られない最低賃金(毎日新聞大阪社会部 2017年2月3日
◆違反者の名前、公表を
 最低賃金が守られていない。厚生労働省が昨年6〜7月に実施した調査によれば、東京都と大阪府では中小企業労働者の5%以上が最低賃金に満たない給与で働いていた。20人に1人という驚くべき割合だ。私たちが情報公開請求でデータを入手し、昨年12月に紙面化すると、読者から「私の職場もそうだ」という切実な声が数多く寄せられた。安倍晋三政権は最低賃金を全国平均で時給1000円(現行823円)に引き上げる目標を掲げているが、実現しても守られなければ意味がない。違反撲滅に向けた政策も同時に打ち出すべきだ。
◆雇用主は怠慢、監督官は不足
 厚労省調査では他にも3%を超えた地方がある。街を歩けば、最低賃金未満の時給を堂々と記した求人ビラが目に入る。なぜ、守られないのか。違反した雇用主への取材で、制度を守らせる実効性が極めて不十分だと感じた。
 最低賃金法が制定されたのは1959年。以来、賃金の最低基準は国が定め、それを下回る賃金は禁じられるようになった。金額は、毎年秋の改定で都道府県ごとに決まる仕組みだ。ところが、この基本的な事実を雇用主が知らない。最低賃金より69円低い時給で従業員を雇っていたエステ店(東京都)の女性オーナーは、取材に対し「10年前から店を開いているが、制度を知らなかった」と答えた。親子で日本料理店(同)を営み、最低賃金より32円安い時給で求人募集していた男性店長は「最低賃金がいくらか知らなかった」と釈明した。
 制度を知らないのは言語道断だが、この店長のように最低賃金の確認を怠る雇用主があまりにも多い。以前は最低賃金の改定が実際の給与水準にほとんど影響しなかったためだろう。90年代末から2000年代半ばまで、引き上げ率は年1%未満で、金額も650〜670円台にとどまっていた。しかしその後、最低賃金の低さが問題となり、引き上げ率は徐々に拡大。昨年秋の改定では3%(25円)上昇した。今は毎年の改定額をチェックしないと、給与が最低賃金を割り込むことが十分あり得る。
 雇用主の怠慢を監視するのは、労働基準監督官の役割だ。違反には50万円以下の罰金という罰則があり、監督官には警察官のように逮捕・送検する権限もある。だが、厚労省によると、監督官の実質人数は3000人弱。労働者1万人当たり0・53人で、国際労働機関(ILO)が示す目安の半分程度だ。違反の通報を受けても十分対応できていないという指摘もある。
 こうした中、働く人自身が身を守る重要性を説く声が高まっている。知識があれば雇用主に是正を求められるし、労働組合などの支援機関にもつながりやすい。与野党の国会議員でつくる議員連盟も「ワークルール教育推進法案」の提出を準備している。労働者の権利や雇用主の責務を義務教育段階から教えられるよう、基本方針の策定や予算確保を国に義務付けるものだ。私たちの取材でも、最低賃金未満の給与に気付かずに働いていた人が少なくなかった。早期の成立に期待したい。
教育だけでは実効性不十分
 ただ、教育だけでは不十分だと思う。労働トラブルを大学や高校で教えているNPOに聞くと、授業に関心を持たせるのに苦労するという。社会に出ていない若者には、労働問題を切実に感じられないのかもしれない。教育推進法が成立しても、知識をどう浸透させるかが課題となるだろう。また、違反者の中には人件費の抑制のために最低賃金をあえて無視する確信犯的なケースもある。悪質なルール破りに対応するためにも、まずは制度を守らせる実効性を高めるべきだ。
 そこで、最低賃金違反者の公表制度を提案したい。個々の違反を罰するより、最低賃金について周知できる効果もある。英国が導入しており、未払い賃金総額が100ポンド(約1万4000円)以上の違反者を原則明らかにしている。非公表とするのは、特定の個人に被害が及ぶ恐れがある場合などに限られる。13年10月にこの方式で運用が始まり、687社が公表された。日本は原則非公表だが、監督官が不足する現状で、公表制度は有効な手段となるだろう。労使関係に詳しい田口典男・岩手大教授(人的資源管理論)も「社名公表は会社に大きなプレッシャーになる。違反が3回見つかれば公表するスリー・ストライク制を設けてもよい」と提唱している。
 今、過重労働がクローズアップされている。最低賃金を守らない職場は労働時間など他のルールも無視する傾向にある。人件費を不当に抑え、経済の公正な競争も害している。これ以上、違法な低賃金を野放しにしてはならない。

最低賃金 2年未満退職に「罰」…研修費を違法請求 最低賃金下回る雇用後…都内企業 (毎日新聞 2016年12月19日)
 最低賃金を下回る給与で働かされている中小企業労働者の比率(未満率)が、東京、大阪で5%を超えた。政府は大企業を中心に賃上げが続いていることを強調するが、非正規労働者を中心に置き去りにされた労働者も少なくない。
 「10日以内にお支払いが無いときは、法的手続きを取らせていただく場合もあります」
 埼玉県在住の女性(21)の自宅に昨年11月、内容証明郵便が届いた。送り主は、前月まで勤めていた都内のヨガ教室経営会社。上司のパワーハラスメントに悩んだ女性が退社の意向を伝えると、会社は社内研修の受講料の支払いを求めてきた。1時間3500円で計14万円。短期間で退職したことへのペナルティーだった。無視すると、約3週間後に簡裁から督促文書が届いた。
 その会社には昨年10月、アルバイトで入った。当時は専門学校生で、就職活動で苦戦する中、ようやく得た職場だった。研修が終われば正社員への道が開ける。「やっと拾ってもらった」。頑張ろうと決心した。
 都内の店舗に配属され、時給は870円。都の最低賃金(当時907円)未満だったことは後で知った。受付などの仕事をしながら、ヨガインストラクターになるための社内研修を受けた。
 頑張ろうと決意したのもつかの間、店長の高圧的な態度に悩む。部下を1時間怒鳴り続ける男性社員もいた。働くのが怖い。同時期に採用された3人が相次いで辞め、自身も10月末に退社の意向を伝えた。
 会社が本性を現したのはそれからだ。直後に電話があり、研修の受講料を請求された。入社時、2年以上勤めなければ受講料を支払うとの書類にサインさせられていた。拒んだが、請求はやまない。会社の電話番号を着信拒否にしても、別の番号で掛けてきた。部長を名乗る人物は「内容証明が届きますのでよろしく」と告げ、一方的に切った。
 連合非正規労働センターの石田輝正局長は、こうした請求が、労働契約の不履行について違約金を定めることを禁じた労働基準法に違反すると指摘する。「退職の自由を奪う行為で許されない」
 女性は個人加盟労組に助けを求めた。会社は「急に辞めた女性が悪い」と主張していたが、労組が違法性を追及すると、平謝りに転じた。受講料請求を取り下げ、最低賃金に満たない不足分の給与も支払った。
 女性は今、女性向けのマッサージ店で働いている。「法律を守らない会社はとことん守らない。会社を疑わない人ほど、損をさせられている」
◆時給違反の看板も
 「最低賃金」への認識は薄い。東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街。料理店に「急募 時給900円」の張り紙があった。男性店長は「仕事ができるようになるまでは850円です」。都の最低賃金が932円と知っているか聞くと、「細かいところは……」と言葉を濁した。額は他店を参考にしたという。「最低賃金は800円台と思っていた。皆も知らないのでは」
 東京労働局の担当者は「問題のある業者は重点的に調査、指導したい」と話す。
 ただ、日弁連貧困問題対策本部の小川英郎弁護士は「最低賃金は国が罰則をもって強制しており、下回る雇用は犯罪だ。ところが、申告がないと労働基準監督署は違反を把握できず、事業者は『どうせ調べに来ない』と高をくくっている」と指摘する。

求人情報 国サイト、最低賃金違反…7月以降66件(毎日新聞 2016年12月22日)
http://mainichi.jp/articles/20161222/k00/00m/040/143000c
<写真>ハローワークインターネットサービスで、神奈川県の最低賃金(当時905円)に満たない890〜900円で募集されていた求人
 国が運営する就職支援サイト「ハローワークインターネットサービス」で7月以降、時給が最低賃金を下回る求人情報が少なくとも66件掲載されていたことが、厚生労働省への取材で分かった。ハローワークの職員が求人を受理した際、時給の確認が不十分だったためで、厚労省は「チェック体制が甘かった。雇用された人はいなかったが、あってはならないミスだ」としている。
◆厚労省「チェックミス」
 毎日新聞は全国のハローワークが7〜8月に受理したパート職の全求人情報をサイトを通じて閲覧。最低賃金に満たないものが複数見つかり、厚労省に事実確認を求めた。厚労省が調べた結果、最低賃金を下回る求人を7〜8月に66件受理し、サイトに掲載していたことが判明した。
 内訳は、工事現場の交通誘導やマンション管理、介護施設の給食調理補助などで、就業場所は東京都や神奈川県、大阪府が多かった。ハローワークの求人情報端末でも公開され、求職者19人に紹介状を渡していた。実際に就業した人はいなかったという。
 厚労省によると、事業者からの求人申し込みは全国544カ所のハローワークで受け付けている。最低賃金法などに照らして問題がなければ、コンピューターシステムに入力し、印刷して再度点検する。問題の66件は45カ所のハローワークで受理したが、こうしたチェックが機能しなかった。
 ハローワークでは同一事業者からの申し込みに備え、求人内容を2年間保存している。過去データを転用する際、毎年改定される最低賃金を給与が下回らないよう注意しなければならないが、事業者は時給を据え置いたままで、職員も気付かなかったケースが多かったという。
 また、最低賃金は都道府県ごとに異なるのに、職員が就業場所の正確な金額の確認を怠っていた例もあった。各ハローワークは事業者に連絡し、時給が最低賃金以上になるよう修正させた。
 ハローワークを巡っては2012年にも、最低賃金を下回る求人を受理したとして総務省の勧告を受けている。今回の事態を受け、厚労省は全国の労働局に対し、ハローワークでの点検を徹底するよう求める通知を出した。今後、時給が最低賃金を下回っていないかを自動チェックするシステムの導入も検討するという。
 厚労省職業安定局は「今後は一層、厳しくチェックするよう指導する」としている。【原田啓之、小林慎】

論点 働き方改革と最低賃金(毎日新聞 2017年2月22日)
http://mainichi.jp/articles/20170222/ddm/004/070/046000c
 時給換算で823円−−。労働者の生活を守る法定最低賃金の全国平均だ。政府が進める「働き方改革」で、安倍晋三首相は段階的に引き上げ、2020年に1000円とする目標を掲げる。低所得の非正規雇用がまん延する中、最低賃金引き上げは生活向上につながるのか。中小企業の雇用や経営にどう影響するのか。識者の分析とともに、低所得にあえぐ大学生や若者の訴えも聞いた。
■生産性向上の有力ツールに 冨山和彦・経営共創基盤CEO
 日本の雇用の7割強はサービス業であり、非製造業だ。小売り、飲食、観光、介護などお客さんと対面で接する仕事だ。とくに地方の中小企業が多い。一方、製造業は海外に雇用を求めて空洞化し、賃金レベルが高い企業しか残っていない。つまり、サービス業における労働者の低い賃金レベルを上げることこそが日本の企業の新陳代謝を促し、マクロ経済への影響が大きい。サービス業は空洞化しようがない。中小のサービス業で働く圧倒的多数の人生をどうやって豊かにするか。そのためには最低賃金上げは有効だ。政府が言うように1000円にしたらいい。
 働く側から見れば、最低賃金を上げても雇用は減らず、失業率も上がらない。たしかに、最低賃金が払えないような生産性の低い企業は人を雇えず、廃業する企業も出てくるだろう。しかし、そこで仕事を失った人たちは高い確率でより生産性の高い企業に吸収される。その結果、事業と雇用がより生産性の高いところに集約されていく。背景に少子高齢化による構造的な人手不足があるからだ。
 労働市場は出生率と年齢構成で決まり、かつては団塊世代とそのジュニアがいて働き手が余っていた。ふたこぶラクダのようなものだ。さらにバブル崩壊後は製造業の空洞化も起きた。だが、そんな不況下でも欧米と比べて失業率が低かったのは、生産性の低い中小企業が雇用の頭数を吸収し、雇用と社会的な安定を選んだからだ。2人でできる仕事を低賃金で3人でするといったワークシェアリングのようなもので、生産性の向上や成長も犠牲にした。だがラクダの一つのこぶの団塊世代が一線から退き、もっぱら消費する側に回った。その結果、圧倒的に人手が足りなくなるという労働市場の「硬直化」が起きている。もはや、生産性の低い企業を社会が温存する意味がなくなってしまった。
 もちろん最低賃金を上げると借金漬けで必死に企業を維持している経営者は困るだろう。その救済は考えなければならない。現状は廃業しようにも連帯保証制度などがあり、個人破産やリタイアがしにくい。信用保証協会などが成長の見込みのない企業の貸し倒れを補償し支えている。そのために多額の税金も投入されているが、それでいいのだろうか。むしろ、自力で存続できない中小企業に対して、転廃業や店じまいのための十分な補償をし、経営者の老後の生活費も含めて手当てしたらどうだろう。そもそも、会社があることにいまは意味はない。生産性の高い事業こそが、質の高い雇用を生み出す。そのためには企業の新陳代謝を高めなければならない。
 かつては金利がその役割を果たし、金利が払えない企業が淘汰(とうた)された。だが、低金利にその役割はない。最低賃金はそれに代わり、企業の新陳代謝を促し、生産性を向上させる有力なツールになりえる。人手が余り労働の弾力性があるときに最低賃金をうかつに上げると失業者が増え、つぶれなくていい企業までつぶしてしまう。だが、いまはその状況になく、構造的な人手不足はこれからも続く。人間も生物も企業も産業も新陳代謝しなくなったら成長しない。
■むしろ給付付き税控除で 鶴光太郎・慶応大大学院教授
 第2次安倍内閣はデフレ脱却という大きな目標を掲げ、経済の好循環のため法人税を減税し、経済団体や労組にも異例の賃上げを求めている。その一環として、最低賃金も政府がリーダーシップをとれるので引き上げが政策課題となっている。これは、第1次安倍内閣の最低賃金上げとは性格が異なる。当時は生活保護費が最低賃金の所得より多くなってしまう「逆転現象」の解消が目的だった。
 政府がやや介入し、影響が出ないよう最低賃金を少しずつ上げることは否定しない。だが、一律の賃上げは必ずしも低所得者層の救済にはつながらないと考える。最低賃金近くで働く人は非正規雇用が多く、家計を担う人もいる。同時に一家の大黒柱がいる比較的裕福な家庭で、補助的にパートやアルバイトをしている主婦や学生もいる。最低賃金はそのすべてに及び、生活に困っていない人の所得まで同時に上げるので、低所得者や貧困対策としては漏れが多い。
 また、急激な上昇はとくに地方でマイナスの影響が出やすい。地方ではぎりぎりのレベルで従業員を雇っている中小企業が多い。急に賃上げすると人員削減などの雇用調整をせざるをえなくなる。東京などは人手不足が深刻で、最低賃金に上乗せして時給を払っている企業が多いが、労働需給が過熱していない地方はそうではない。
 賃上げの影響に関して、欧米の多くの実証分析も公平に比較検討してきた。その結果、生産性が上がらなければ、一律の賃上げは、最低賃金に近い労働者にとってはマイナスにしかならないという結論に至った。たとえば一律の賃上げで、スキルの低い人の給料が上がると、企業は同じ給料でスキルの高い人を雇い代替する。それが相殺され、低スキルの人の解雇など雇用全体の動きも見えにくくなる。また企業は、賃上げ分を販売価格に転嫁するだろう。ファストフードなど業種によって雇用にプラスに作用するという実証もある。しかし、そこだけを見てすべての低所得者にやさしい政策とは言えない。つまり経済全体では賃上げが相互に作用し、複雑に奪い合っている。うまい話などない。最低賃金上げはフリーランチ(ただ飯)でも魔法のつえでもない。
 だが、最低賃金上げで影響が出やすい中小企業向けに補助金を回す仕組みがあれば、反対はしにくいだろう。でも、それでいいのだろうか。解雇されなければ給料が上がってプラスだが、最低賃金ぎりぎりで働いていて解雇されてしまったら、たまらない。では代わりの低所得者対策はあるのか。むしろ、給付付き税額控除など本当に困っている人をピンポイントで救済することこそ求められる。所得が低く控除し切れなければその分還付(給付)をする税の仕組みで、経済学者の貧困対策のコンセンサスにもなっている。不正を防ぐため所得や資産を細かく把握する必要があるが、マイナンバー制度の導入でそのハードルは低くなる。検討してみたらどうだろう。
 また、最低賃金制度を改革するのだったら、10代の雇用への影響が深刻なので、年齢で差をつけるなどの配慮がほしい。すでに実施し、実績を上げている国もある。
■生活のため一律1500円必要 藤川里恵・エキタスメンバー
 20歳代中心のグループ「エキタス」はラテン語で公正、社会正義を意味する。東京、東海、京都などでデモをし、最低賃金引き上げを訴えている。全米の労働者が時給15ドル(約1600円)を求めた「ファイト・フォー・15」など世界の潮流もあり、全国一律最低賃金1500円を掲げている。なぜ1500円か。ぎりぎりの生活を保障するというリアリティーがあるからだ。
 現行の最低賃金(平均823円)で週40時間・年52週、祝日も含めて働いたとする。年収171万円で、生活保護費とあまり変わらない。でも、1500円だと祝日や正月も休め、税金や保険料などを天引きしても250万円ぐらいになる。都会は家賃が高いが、地方は車などの維持費がかかる。生計費はほとんど変わらないのに現行は都道府県で差がある。社会学者の後藤道夫・都留文科大名誉教授の試算では、ワンルームで1人暮らしするには最低でも時給換算で1400〜1700円が必要で、一律1500円の根拠にしている。現実は最低賃金ぎりぎりで働き、家計を支えている非正規の男性やシングルマザーもいる。正社員でも残業が多いと時給換算で最低賃金を割ってしまう。だから1500円は最低生活を保障するためで、高すぎないし、安すぎないと思う。
 具合が悪くてもお金がなくて病院にいけず、3度の食事もとれない。働いて生活していくために必要な体調管理すらできない。そんな切実な声が聞かれる。とくに非正規は休んだら給料に響くから休めない。最低賃金が上がるとどうなるだろう。具合が悪ければ少しは休めるし、ダブルワークが仕事一つでよくなるかもしれない。ブラック企業は安い人件費で利益を上げている。最低賃金が上がるとそんなやり方も通用しないし、長時間労働の是正にもつながる。
 最低賃金は一律でこそ意味がある。何があっても会社にとどまらないといけないと思うから立場が弱くなり、みんな会社に忠誠心を示して上司のパワハラにも耐えている。でも、同じ職種で給与条件が横並びなら、我慢してそこにとどまらなくていい。もちろん、介護や保育など業種や資格・スキルによっては最低賃金とは別に職種別賃金を2000円に設定してもいい。
 大学生も苦しい。私は高校時代に父が失業し、奨学金を借りたうえ、学費や生活費をまかなうため、飲食店やスーパーなどでバイトをし、ダブルワークも経験した。でも、それってましなほう。週7で飲食店でバイトし、徹夜して朝1限に出て、部活までやる。何十日も続けて働く友人もいて、つらくても、文句を言ってはいけないという空気があった。
 給料が上がると会社がつぶれてしまうと経営者目線で語る人がいる。そして失業したら生きていけないからブラック企業でもしがみつく。たしかに正社員もバイトも人手は足りない。でも、正規でも次から次へと雇い1年で使いつぶしてしまう企業が多い。雇用状況がよくなっている実感はない。長時間働き、普通に生活しようとしてもこんなに苦しい。それってやっぱりおかしいし、当事者としてもっとみんな文句を言っていい。



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