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zoom RSS 外国人技能実習制度は廃止すべき…なのだが

<<   作成日時 : 2017/04/04 06:28  

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これだけ酷い報道ばかりだと、さすがに「学習」も躊躇する。自分が本格的(?)に学習しはじめたのは、労働委員になってからであり、労働組合法を中心に文献等を読み続け、やっと判例を読むのが楽しくなった。地区労オルグ時代、運動は新たな発見やチャレンジがあり楽しかったが、政策要求より実践優先の日々だった。学習も実践と連動して意味があり、また本を読む暇など無かった。リタイアして暇はできたが、運動に活かす学習という面では弱くなっている。ただ、幸か不幸か「労働情報」誌に関わってしまい、未だに足抜けができない(苦笑)。

月刊となった新生「労働情報」は、創った方も悩んでいる。月2回刊より楽になると思いきや、44Pはさすがに多い。そして現場の活動家に活用してもらうためには長文の論文等ばかりであってはならない。しかも今回はアクシデントがあり、10P分の特集が締め切り段階で「消失」、いや大変に苦労した。それでも、完成した冊子はこれまでとはまったく違った雰囲気をもっている。願わくば、これも活用して低迷する労働運動に新たな風が舞い上がることを期待したい。

なお、今号の8Pにわたる金子良事さんと龍井葉二さんの「論争のススメ=第一回・年功給か職務給か?」という「賃金問答」は、結構難解だ。「悟堂方式」という言葉が突然現れ、さすがに説明のための加筆をお願いした。労働組合にとって「賃金屋」というのは「専門職」的要素があり、自分もほとんど学習しなかった。龍井さんの「運動から議論が減っている」という危機感から始まった企画だが、判りやすい「論争」にするのは容易ではない。「労働情報」月刊化によって成立しえた企画だが悩むところだ。なお、これから編集をはじめる5月号は、松元千枝さんという編集人の手によってもっと面白い内容になる予定だ。乞うご期待。

ついては次号のテーマの一つである「外国人労働者」について。今日は学んでおく。といっても、また時間切れのため添付ばかりになるが、冒頭に掲げた毎日の記事は現状をリアルに伝えているので長文だが残したい。

<外国人の家事代行>最前線ルポ なし崩し的拡大に懸念(毎日新聞 2017/4/2)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170402-00000034-mai-soci.view-000&pos=1
 コンビニ、居酒屋、町工場……。今やありとあらゆる場所で働く外国人が、とうとう家庭にも入り始めた。国家戦略特区では外国人による家事代行が解禁され、第1陣としてフィリピン人女性25人が3月に来日した。最前線を取材すると、政府が成長戦略の柱に掲げる「女性活躍」を外国人女性が下支えする構図が浮かんだ。
 ◇国家戦略特区で東京、神奈川、大阪で解禁
 「わくわく、ドキドキし、とってもうれしく思っています」。東京・大手町の人材派遣パソナ本社で3月21日、南部靖之パソナグループ代表が新入社員25人を前に興奮気味に切り出した。「40年前、女性の社会進出の場を作ろうと起業した。みなさんが私の夢を実現させてくれます」
 入社式に臨んだ25人は、各自であつらえた白いシャツと黒いスーツの上下を着ている。昨年、東京都と神奈川県、大阪市で外国人家事代行サービスが解禁され、パソナのほか5社が特区内で許可を受けて事業を担う。
 首相官邸のホームページは、解禁の狙いについて「女性の活躍促進や家事支援ニーズへの対応」などと記載している。南部氏は入社式で、それをかみ砕いて説明した。「家庭の主婦が子育てと仕事と介護をすべてこなす。何とかしなければ、本当の意味での女性の社会進出は難しい。みなさんはその大きな後ろ盾、要です」。そして「日本で女性の社会進出の歴史を開く一員」と持ち上げた。
 1週間後の28日、アミラ・ロザーリー・レブレスさん(33)が研修で指導役に伴われ、神奈川県内で利用を検討している時枝亜希子さん(38)方を訪ねた。時枝さんは会社員の夫と小学生の子供2人の4人家族。家計をパートで支えている。
 3LDKのマンションの一室で打ち合わせの後、アミラさんが台所や浴室の清掃を始めた。排水溝の内側まで手際良く磨く。長女は「掃除の神さま!」と絶賛した。時枝さんは「普段の家事を代行してもらって時間を買うような感覚でしたが、ここまでやってくれるとは思いませんでした」と感激した。
 アミラさんは北部ルソン島の出身だ。レバノンの富裕層宅で6年間住み込みの家政婦として働いたことがある。休みも外出も許されず、1日16時間も働いたという。「日本は清潔で安全だし、人が優しい。休みがある」と英語で喜びを語った。日本語は研修で習ったが、まだ片言しか話せない。フィリピンの物価は10分の1ほどで、働いて得たお金から家族に仕送りするつもりだ。
 バスタブを磨いていた時だった。アミラさんが「血が出た」と小さな声で訴え、鼻を押さえた。真剣になりすぎ、のぼせてしまったようだ。日本での永住権を持つ指導役のフィリピン人オオキ・エビリン・クルズさんは「彼女は日本で仕事を続けるため、本当に一生懸命なんです。3年が過ぎても日本で働けるのが一番と思う」と思いやった。
 ◇職場支える外国人、「移民」には道遠く
 外国人が日本で働く場は小売りや外食、製造業にとどまらない。群馬県嬬恋村のキャベツも収穫するなど農漁業を支える。福島第1原発の廃炉現場でも不足する日本人作業員の穴を埋めてきた。ついに家庭の家事まで担おうとしている。
 厚生労働省の統計によると、国内の外国人労働者数は2016年10月末時点で初めて100万人を突破し、約108万人となった。その多くは「留学生」や「技能実習生」という名の単純労働力だ。明確に労働者と認められないまま、低賃金で日本の経済や社会を支えている。
 一方、彼らが移民として日本に定着し働く道はほぼ閉ざされている。
 政府が3月にまとめた働き方改革実行計画は、外国人の単純労働を巡り「受け入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める」としている。ただし、その一方で「移民政策と誤解されないよう」との文言も明記された。家事代行で受け入れる外国人も、公には「外国人家事支援人材」と呼ばれる。「移民」や「労働者」という単語を慎重に避けている印象だ。
 アミラさんは長く日本で働きたいと望むが、最長3年で契約は切られ、帰国する。現行ルールで再び日本で働くことはできない。
 パソナは今後3年間で1000人規模のフィリピン人を採用する予定だ。入社式でも南部氏は「みなさんの後には何千人の海外の方を迎えて、日本の女性の社会進出を担っていく」と祝辞を結んだ。取材には「フィリピン以外の国からの受け入れも検討したい」と意欲を語った。
 この入社式を取材した香港フェニックステレビの記者に感想を聞くと、「日本は今後も特区を使い、なし崩し的に単純労働の受け入れを拡大する気ではないのか」と表情を曇らせた。
 ◇密室ゆえの人権侵害の懸念も
 外国人家政婦への人権侵害を心配する声もある。
 国士舘大の鈴木江理子教授(移民政策)は「家事労働は家庭内という密室ゆえに、諸外国の事例を見ても人権侵害が懸念される」と警告する。
 だが今回の特区事業では、業者側は「当初は採算を度外視してでも事業を成功させる」と声をそろえる。実際、パソナは25人に社宅や相場より高い賃金、手厚い教育を提供する。昨年から在留資格を持つフィリピン人女性を来日メンバーの指導役として採用・育成し、実際に利用家庭でのサービスにあたることで事業の下地を作ってきた。
 教会や自治会、学習支援を行う地元のNPO団体との交流も計画し、アミラさんら来日メンバーが地域コミュニティーにもなじめるよう公私ともにサポート体制を整える。人権侵害の可能性は低そうに思える。
 それでも懸念を完全にぬぐい去ることはできない。単純労働の外国人労働者の受け入れを巡り、規制の緩和に次ぐ緩和で労働条件の悪化を招いてきた経緯があるためだ。
 1982年の改正出入国管理法で「国際貢献」の名の下に1年間の「研修」という在留資格が設けられると、当初は日本企業の現地法人などに限られていた研修生の受け入れ先が、90年には中小零細企業にまで拡大した。さらに93年には技能実習制度が創設され、その後も実習期間の延長や受け入れ職種の拡大などの規制緩和が続き、現在は実質的には人手不足の業界が安価な労働力を確保するための抜け道になっている。
 そして人口減への危機感から外国人労働者の受け入れに積極的な第2次安倍内閣で、「外国人材の活用」と銘打った議論が始まると、14年には特区を利用した家事代行の解禁話が持ち上がった。今後は農業分野でも特区として外国人労働者の受け入れを認めていく方針だ。この間、外国人労働者の受け入れ、つまりは「移民政策」に正面から向き合った国民的な議論はされていない。
 ◇女性活躍の実現「働き方改革が先」との指摘も
 家事労働はこれまで女性の無償労働とされてきたが、共働き家庭や単身高齢者の増加を背景に、家事代行の需要が急速に拡大している。矢野経済研究所の調査では、家事労働の市場規模は12年度980億円で、これが将来は6倍以上に膨らむという試算もある。既に一部の業者が新規申し込みを一時停止するほど担い手不足が深刻化している。
 長年、家事代行の可能性を訴えてきた業界大手ベアーズの高橋ゆき副社長は「国内で人材確保が難しくなれば外国人の手が必要になる。今年は家事代行の『インフラ化元年』になるのではないか」と期待する。特区での事業が成功すれば、やがて全国に外国人の家事代行が広がっていくだろう。
 そうなれば市場経済で価格競争にさらされる。採算を度外視して外国人労働者に対応するような業者は少数となり、劣悪な条件で働かせる業者が出てきかねない。
 鈴木教授は「低賃金化や人権侵害などの懸念は大きい。家事代行を頼める人と頼めない人の格差も今まで以上に広がる。一方で、市場で調達できるのだからと、公的支援は抑制されていく可能性もある」と指摘する。
 そもそも、日本人女性の活躍は外国人女性に頼らなければ難しいのか。
 和光大の竹信三恵子教授(労働政策)は「女性活躍というなら、労働時間規制など働き方改革を徹底すべきではないか」と指摘する。鈴木教授も「伝統的な男女の役割分担の見直しや子育て支援の拡充など、先にやるべきことはたくさんある」と話す。
 「日本で働きたい」という外国人女性、「猫の手でも借りたい」ほど忙しい日本人女性、家事代行ビジネスを展開したい企業−−3者がウィン・ウィンの関係ということもあり、目の前に転がるいくつもの課題から目を背け、思考停止に陥りかねない。
 入社式では、最後にアミラさんら25人が日本語で歌を披露した。「ほら、足もとを見てごらん。これがあなたの歩む道。ほら、前を見てごらん。あれがあなたの未来」(Kiroro「未来へ」)。社会進出を目指す日本の女性たち、家事を引き受けるアミラさんたちには、どんな「未来」が待ち受けるのだろう。


今年3月8日、法務省入国管理局は2016年の外国人の研修・技能実習の「『不正行為』について」、適正な実施を妨げる「不正行為」を行ったと認められる旨を通知した外国人研修生・技能実習生の受入れ機関は,239機関だったと報じた。当然ながら氷山の一角でしかない。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00124.html

法違反と悲惨な実態は最後に掲げるが、救われるのはこの問題では移住連をはじめとする団体や弁護士、各地のユニオン等が運動を拡げていることだ。深刻な人手不足の中で、日本の労働環境がどう変るか、政府の中でも大議論(?)となっている外国人労働者の「制度」と実態、今後の方向性について、さらに考えていきたい。なお技能実習生の問題点については外国人技能実習生問題弁護士連絡会の声明をまず掲げておく。

技能実習法に対する声明(外国人技能実習生問題弁護士連絡会 2017.1.27)
http://www.labornetjp.org/news/2017/1485763717072staff01
1 政府が、2015年3月6日に国会に提出した「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」(以下「技能実習法案」という)が、2016年11月18日成立した(以下「技能実習法」ないし単に「本法」という。)。
2 当連絡会は、既に技能実習法案提出時の2015年8月28日付意見書で述べた通り、技能実習制度は廃止すべきと考えており、技能実習制度を存続、拡大させることを前提とする技能実習法の成立を評価することはできない。
 技能実習制度では、途上国への技術移転を通じて国際貢献を図るという制度目的と、安価な労働力確保のために用いられているという実態とが全く乖離している。そして、技能実習制度には、送出し機関や監理団体による中間搾取や、実習実施機関が固定されており技能実習生に転職の自由がない等の構造的問題があり、これが対等な労使関係の構築を困難にして技能実習生に対する人権侵害を引き起こしている。
 技能実習法は、安価な労働力の受入れ制度との実態を直視せずに「国際協力の推進」(1条)を目的に掲げており、上記の構造的問題を残存させるものであるから、法案の成立によって、技能実習生に対する人権侵害が止むとは考えられない。
3 もちろん技能実習法には制度の適正化のための規定も盛り込まれている。また、同法案の成立にあたってなされた附帯決議においても、特に参議院の決議においては、制度の適正化のために様々な条件が付されている。
 それでも、本法案の適正化策は、上記構造的問題を解消するほどに十分なものであるとは考えられない。
 例えば、政府(当局)間取決めについては、国会審議において、取決めを受入れの要件とはしないうえ、相手国に法的拘束力も持たせないものであることが明らかになっており、送出し機関による中間搾取の問題を解消することは全く期待できない。
 また、実習実施機関の変更についても、国会審議において、「やむを得ない事情」がある場合に、まずは監理団体が傘下の実習実施機関内での転籍に努め、外国人技能実習機構は新たな実習先を確保するための連絡調整等の支援を実施するとされている。
 しかし、実習実施機関に問題がある場合に、技能実習生の転籍を監理団体に任せるだけでは、実習先を移動する自由がほとんど担保されないことは、我々が数多く経験するところであり、不十分であることは明らかである。外国人技能実習機構の支援も単なる「連絡調整」に留まるのであれば、結局、「やむを得ない事情」があっても、技能実習生は元の実習先での権利侵害を受忍し続けるか、実習実施機関を離れて「不法就労」するかの、酷な選択を迫られる現状に変わりはない。
 さらに、技能実習生の意思に反する強制帰国に対して本法が明文で罰則規定を設けなかったことは、技能実習生の保護に欠けると言わざるを得ない。
4 また、このような不十分な規制のまま、制度の拡大策を同時に推し進めることも、本法の大きな問題点である。技能実習制度下の人権侵害状況に鑑みれば、制度の拡大は、制度の適正化が実現された後にはじめて実施されるべきである。
5 最後に、技能実習法の成立と関わらず、技能実習制度は廃止すべきである。
 非熟練労働者の受入れについては、非熟練労働者受入れを目的とすることを正面から認め、労働者に対する人権侵害を生じさせる構造的問題を克服した、すなわち、少なくとも中間搾取のおそれが無く、転職の自由が保障された新たな労働者受入れ制度を構築すべきである。


山のように「学習資料」があって、選別する余裕もないので、一部のみ添付し終わる。先が思いやられる…。

[大弦小弦]「技能実習生なんて、おためごかしの最たるもの」…(沖縄タイムス 2017年2月3日)
 「技能実習生なんて、おためごかしの最たるもの」。インタビューしたタレントのジョン・カビラさんの言葉を思い出した。日本の外国人労働者が初めて100万人を超えたとの発表にである
▼日本の技術を学んでもらう建前だが、内実は人手不足対策、安価な労働力確保のため門戸をしぶしぶ開いているのが実情であろう
▼カビラさんは、本音を隠して、いかにも外国人のためと、または多様性を大事にする社会とアピールすることへの違和感を口にした。日本が難民認定し受け入れた人数は年間2桁にとどまることも合わせれば、「開かれた国」より「壁」の高さの印象が先にくる
▼中東・アフリカの一部の国から米国入国を制限する「トランプの壁」が話題である。政策に疑問を抱きながらも、我らの社会のご都合主義の「壁」を見上げ、ばつの悪さを感じている
▼各国のリーダーらがトランプ大統領の命令を批判するのに、安倍晋三首相は「コメントを差し控えたい」と、引けているのも寂しい。新たな価値創造にもつながる多様性を重視しない国のように映る
▼米国では、職を賭して反対する閣僚や官僚がいたり、企業トップもおかしいと声を上げる。自らの国にとって大事な価値を守ろうとしている。起こっていることを、ひとごととしない姿勢に学ぶことは多いと感じる。


>外国人労働者、2016年に初の100万人超え 技能実習・留学生が増加(ロイター=東洋経済オンライン 2017年01月27日)
http://toyokeizai.net/articles/-/155815

「助けて下さい」技能実習生が”手紙”で日本政府に訴え、「時給400円」や「暴力」に泣き寝入りしない(Yahoo! 巣内尚子;ジャーナリスト 2017/3/29)
https://news.yahoo.co.jp/byline/sunainaoko/20170329-00069273/
 就労先企業における賃金未払いなどの不正行為に直面した外国人技能実習生の間で、支援者からの協力を得て、日本の政府機関に直接手紙を送り、支援を求める動きが出てきている。アジア諸国の労働者を期限付きで受け入れる日本の「外国人技能実習制度」。日本政府はこの制度の拡大に向け動いている。一方、実習生の中には受け入れ企業による賃金の未払いといった違反行為、人権侵害、ハラスメントなどの問題に直面している人もいる。だが、実習生は日本語の能力に課題があったり、日本の制度や法律を知らなかったりする人も多く、外部への相談は容易ではない。そんな中、実習生の中で勇気を振り絞り、支援者の協力を得ながら政府機関に自ら手紙を書いて訴え出る人が出てきているのだ。
◆時給400円・契約書と異なる賃金、監理団体は「知らない」
「勤務時間は8時から5時で、残業は5時半から9時半。 そのあとも仕事があり、そのときは服を手でぬいます。 毎月の給与明細がありません。わたしの基本給は6万円。残業は時給400円。給料は月に12万円。ベトナムでサインした契約書では基本給は食費別で8万5,000円でしたが、実際の給料は6万円です。ベトナムの送り出し機関に電話したけれど、電話に出なかった。ベトナムで契約した給料と違います。監理団体からは「ベトナムの会社が違うので知らなかった」と言われた。道理にあわないので、この手紙を書きました。」
 これは、日本で働くベトナム出身の女性技能実習生が厚生労働省に向けて書いた手紙を日本語に翻訳したものだ。
 彼女は、この手紙で、日本に来る前にベトナムで署名した契約書と現在の基本給が異なっていること、そして監理団体がそれにとりあってくれないことを訴えている。
 この女性の残業代は時給400円と低く、最低賃金の規定を下回っている状況にある。その上、女性は午前8時から午後5時まで仕事をした上、その後も夜遅くまで仕事をしている。休みも極端に少ない。
◆「日本人職員に殴られました。監理団体はなにもしてくれなかった」
 別のベトナム出身の技能実習生は以下のような手紙を書いている。
「問題を説明しますので、関係組織から支援をお願いいたします。一番目は給料と契約書の問題。給料は1日7時間分だけしかなく、土日は残業代もないです。就労時間中に休憩がないし、よく残業をしました。 二番目は、働いている間に2度殴られたことです。1回目は日本人職員に殴られ、服を破かれました。 2回目は別の日本人職員が私の頭を殴り、さらに私の顔を平手打ちしました。 2回殴られた後、組合(筆者注:監理団体)に電話したのに、我慢してくださいと言った。組合は何も解決しませんでした。私は会社を変わりたいです。」
 この技能実習生は日本の受け入れ企業で就労する中で、残業代が払われないなど賃金に問題があったほか、日本人の職員から暴力を受けるなどの問題に直面していた。さらに、暴力を受けたことを監理団体に相談したものの、監理団体はこの問題に対応することがなかったという。
 技能実習生をめぐっては、賃金や就労時間などの問題だけではなく、技能実習生が職場で日本人の職員から殴られたり、蹴られたりする事例もある。しかし、この技能実習生の場合、監理団体は動いてくれなかったため、日本政府に手紙を書き、受け入れ企業を変わりたいと訴えたのだ。
 一般的に技能実習生は日々の就労に追われている上、十分な日本語の能力や日本の制度や法律に関する知識を持たない人も少なくない。さらに、多くの技能実習生は賃金が低く経済的に余裕がないことから、支出を切り詰め生活しているため、行動範囲が限られ、人間関係も乏しい。こうした状況から、技能実習生は何か問題があっても外部に相談することが難しい状態に置かれている。
 そんな中、九州でボランティア日本語教室を主催し、技能実習生など外国人に日本語を学ぶ機会を提供している越田舞子さんは、技能実習生が自ら日本の政府機関に手紙を書き苦境を訴えるのを支援している。
 越田さんは「技能実習生がまず母語で手紙を書き、これを支援者が日本語に翻訳した上で、関連省庁に送付している」と説明する。越田さんによると、すでにいくつかの事例では手紙を受け取った日本の政府機関が対応に乗り出しているケースもあるという。
◆「強制帰国」への抵抗、「借金だけ残った。もう一度日本に戻り働きたい」
 ベトナムから日本に技能実習生としてわたり、就労していた技能実習生は契約途中で帰国させられたことを不当として、日本の政府機関に手紙を書いた。
「わたしは強制帰国させられました。私は間違ったことをしていません。私は、会社の違反を訴えただけです。会社と監理団体に強制帰国させられたのは納得いきません。私は日本に行くために借りた借金が返済できなかったので、もう一度日本で働きたいです。よろしくお願いします。」
 ベトナムでは技能実習生として日本にわたる場合、現地の送り出し機関に対して航空運賃、各種手続きの手数料、渡航前研修の費用などから成る渡航前費用を支払うことが一般的だ。技能実習生としての来日には送り出し機関の利用が必要なため、この渡航前費用の支払いがなければ日本に来られないことになる。
渡航前費用は時に100万円を超える高額になることもあり、技能実習生はこの費用を支払うために借金をして来日する。そして、来日後は就労しつつ、この借金を返すことになる。つまり「借金漬け」の状態で就労しているのだ。
 これほど高額の渡航前費用を支払ってでも来日するのは、ベトナム政府が「国策」として自国民の出稼ぎを推奨していることに加え、ベトナムでは送り出し機関が「出稼ぎビジネス」を積極的に展開し、「日本にいけば稼げる」と盛んに喧伝していることがあるだろう。さらに、日本がいまもベトナムの人にとって「経済的に発展した憧れの国」ととらえられている中で、多くくの人が日本行きに大きな期待を抱いてしまうのだ。
 一方、受け入れ企業によって技能実習生が契約の途中で本人の意志に反して強制的帰国させられるケースがある。
 私が聞き取りした中では、不正行為を訴えて労働組合に加入した技能実習生が即時解雇された事例、1カ月のうちにほとんど休みがなかった技能実習生が休日を申請したところ懲戒解雇され帰国させられそうになった事例、病気になったことで治療を受けさせずに帰国させられそうになった事例などがある。
 このため技能実習生は、受け入れ企業との間でなにか問題が起こることにより途中で「強制帰国」させられることを恐れる。途中で帰国させられれば、貯金ができないばかりか、渡航前費用のための借金だけが残ることになるからだ。
 これまでに各地の労働組合や外国人支援組織、ボランティア日本語教室などが技能実習生を草の根で支援してきた。
 一方、技能実習生は日本の各地で就労しているほか、遠隔地で就労する人も少なくない。さらに、技能実習生の中には、日本の労働組合や外国人支援組織などが、技能実習生支援をしていることを知らないなど、相談先を持たない人がいる。
 本来は送り出し機関や監理団体が、技能実習生と受け入れ企業との間に入り、問題があれば対応することが求められるはずだが、実際にはサポートを受けられない技能実習生もいる。日本語能力に課題がある上、相談先を持たない技能実習生は社会的に孤立しがちで、問題を我慢するほかない状況に追い込まれる。
 そうした中で、受け入れ企業による不正行為に直面した技能実習生の中に、勇気を振り絞り、自ら省庁に手紙を書き、苦境を訴える人が出てきていることの意味は重い。省庁に手紙を送る技能実習生は、受け入れ企業とのトラブルや「強制帰国」におびえながらも、自ら問題を告発することで問題解決を図ろうとしているのだ。
◆法務省「技能実習生からの訴えに相談対応、不正行為で受け入れ停止も」
 では、こうした技能実習生からの企業の不正行為を訴える「手紙」に対し、日本の政府機関はどのように対応するのだろうか。
 法務省入国管理局入国在留課の担当者は「技能実習生からのこうした手紙があるかどうかは個別には回答できないものの、一般的には技能実習生など外国人労働者から就労先企業の不正行為についての情報提供は往々にしてある」と語る。
 また、技能実習生が手紙で不正を訴えたり、実際に入国管理局に出向くなどしたりした場合、相談に応じ、必要な対応をしていくという。
 そして、場合によっては、「必要な調査をした上で、場合によっては受け入れ企業を指導したりし、それでも改善がない場合は、その受け入れ企業による技能実習生の受け入れを停止させる処分を下す」(法務省入国管理局入国在留課の担当者)。
◆20万人超える技能実習生が各種産業支える、制度の改革が必要
 法務省の2017年3月17日付発表によると、2016年末時点の在留外国人数は計238万2,822人(前年比6.7%増)に上った。在留資格別では、「技能実習」の在留資格で日本に滞在する外国人は前年比18.7%増の計22万8,588人となっている。さらに全体に占める割合は9.6%となった。日本全国で働く技能実習生は20万人を超え、在留外国人に占める割合は約1割にもなっているのだ。
 外国人技能実習制度のもとで来日した技能実習生は日本全国で働いており、その就労先企業の業種も製造業、農業、水産業、建設業など多様だ。
 厚生労働省はホームページで、技能実習制度の目的について「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること」と説明している。
 ただし、こうした「国際協力」を建て前に掲げつつも、現実的には、人手が足りない企業が「労働力」として技能実習生を受け入れる例が多く、制度の“建前”と“現実”のかい離が指摘されてきた。
 技能実習生の受け入れ企業はさまざまだ。前述したように受け入れ企業の業種は多様な上、企業の中には実習生に仕事を丁寧に教えたり、交流の機会を設けたりするなど大事にするところもある。だが、受け入れ企業による不正行為もこれまでに多数存在してきた。賃金の未払いや最低賃金規定の違反、就労時間の規定違反、人権侵害やハラスメントなど、数々の課題が起きており、中には劣悪な労働状況に置かれている技能実習生もいる。
 技能実習生自らが手紙を書き、日本の政府機関に訴える動きは、技能実習生をめぐる問題の解決に向けた一つのヒントを与えてくれる。しかし、個人の取り組みには限りもある。技能実習生の権利を保護するより包括的な取り組みが求められるとともに、外国人技能実習制度の抜本的な改革が急務となっている


>外国人労働者から労働・生活相談を無料で受け付け、連合大阪とRINKが3月24〜26日に電話相談(同上)
https://news.yahoo.co.jp/byline/sunainaoko/20170323-00069043/

>実習・バイトが主流? 外国人材100万人の素顔(日本経済新聞 2017.3.21)
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/foreignworkers/

>「日本人はマスク着ける。僕、着けない。何で?」現代の蟹工船、外国人実習生の失踪者が急増 難民申請も(
西日本新聞 2017/3/8)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170308-00010003-nishinpc-soci

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