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zoom RSS 非正規公務員の法改正は、新種の「不当労働行為」

<<   作成日時 : 2017/04/07 06:38   >>

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ほとんど指摘されていないが、政府が非正規公務員の処遇改善と称している地方公務員法・地方自治法改正は新手の「不当労働行為」ではないか。レイバーネットで白石孝さんが報告しているが4/3昼に議員会館で行われた院内集会に参加してその思いを強くした。白石さんのレポートを借用させていただくが、3月7日閣議決定、2020年4月スタートを目論む法改正のポイントは、「臨時職員」「特別職非常勤職員」 「一般職非常勤職員」というように自治体ごとにばらばらの実態を、「会計年度任用職員」を新設し、統一するというもので、年度末手当てが支給されるなどとプラス面ばかりが宣伝されている。しかし、この法改正によって地方自治体で働く職員の3人に1人、64万人にまでなった非正規公務員の処遇が改善するどころか、同一労働同一賃金とは程遠い格差が固定化されかねない。

院内集会では、参加した全国の非正規公務員から次々に怒りの声が寄せられた。「これまでも酷い労働条件で、ブラック自治体と感じてきた。まわりはほとんどが非正規ばかりでしかも欠員状態。しかし団結し、労契法や労委の活用で改善もみられてきた。しかし今回の法改正で、3年の任期が1年とされるなどさらに不安定化し、しかも闘う術も奪われかねない。ささやか手当増などゴマカシでしかない!」等々…。地公法は難解であり、自治労連の「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書談話」もあるが、白石さんの資料でもう少し理解したい。

「官製ワーキングプア解消とは程遠い地方公務員法・地方自治法改正案」(2017年3月20日 NPO法人官製ワーキングプア研究会)
http://www.labornetjp.org/news/2017/1490015235324staff01
 政府は3月7日、地方公務員法及び地方自治法の改正案を閣議決定、今次通常国会で成立させ、2020年4月1日に施行する予定としている。
 今回の改正案は、臨時・非常勤職員等地方自治体で働く非正規公務員の採用(任用)根拠を明確にし、さらには期末手当(賞与)を支払うなどの改善が図られるとされている。地公法改正案のポイントは、同じ事務職員でも「臨時職員」「特別職非常勤職員」「一般職非常勤職員」というように自治体ごとにばらばらで、制度の趣旨に合わない不適正な採用実態であったものを、「会計年度任用職員」という採用類型を新設し、これに統一するというものである。そして自治法改正案では、会計年度任用職員に支払う給与、手当などを整理、規定した。しかし、この改正によって地方自治体で働く職員の3人に1人、総務省調査で64万人にまでなった非正規公務員の処遇が改善すると考えるのは早計である。
 当研究会は、主に以下の点に関する危惧を表明し、改正法案を再検討すべきことを強く訴える。
1.経過を逸脱した欺瞞の法改正
 地公法改正案では22条の2を新設し、会計年度任用職員とした。ところが処遇に関しては規定が異なる。
「1週間あたりの通常の勤務時間に比し短い時間であるもの」=パートタイム会計年度任用職員には、生活保障的な要素を含まない報酬と費用弁償に加えて期末手当を支払うとしたのに対し、「一週間当たりの通常の勤務時間と同一の時間であるもの」=フルタイム会計年度任用職員には、勤務に対する反対給付で生活給としての給料、手当(扶養手当、退職手当等)を支払うとしている。
 パートとフルの処遇が異なるという考え方は、昨年12月にまとめられた総務省の臨時・非常勤職員等のあり方研究会の報告にはなく、「常勤職員と同様に給料及び手当の支給対象とするよう給付体系を見直すことについて、立法的な対応を検討すべき」とのみ記されていた。この報告を受けて1月に与党や地方団体等の協議に付された自治法等改正案原案の概要では、「会計年度任用職員など労働者性が高い一般職の非常勤職員について、常勤職員と同じく給料・手当の支給対象とする」としていた。
 ところが3月7日に閣議決定された成案では、フルには給料と手当、パートには報酬・費用弁償と期末手当を支払えるとしたのであり、報告書以降の一連の経過からも、この間の裁判例からも大きく逸脱した。たとえば、枚方市非常勤職員一時金等支給事件(大阪高判平22・9・17)では、「常勤職員の週勤務時間(38時間45分)の4分の3に相当する時間以上」勤務している非常勤職員について「常勤の職員」と判定し、給料・手当が支給される対象とした。東村山市事件(東京高判平20・7・30)では、「嘱託職員は勤務時間のみならずその職務内容も常勤職員と
同様であり、勤務実態からみて常勤職員に該当する」とし、常勤職員と同じ仕事をしていれば「常勤の職員」と判定している。
 成案では、判例上「常勤の職員」と認められてきたパートの非正規公務員から、将来に渡って退職手当をはじめとする様々な手当受給の権利を奪ったことになる。
 なぜ、報告書や原案から逸脱していったのか。
 第1に、地方から「手当支給による財政負担の増加が見込まれる中、議会等の理解が得られるためには、国レベルで支給されている手当に限定すべき」という意見が寄せられたからである。第2に、パートの会計年度任用職員を給料・手当の支給対象からはずし、報酬・費用弁償のままとしたのは、これまで通り非正規公務員への賃金を消耗品代である物件費に計上し、地方財政計画上の給与関係経費ではなく一般行政経費に計上するためであった。
 すなわち正規公務員と同様に、住民福祉の向上のための公共サービスを担う労働者性ある会計年度任用職員の処遇を改善する必要性は、まったく顧みられることなく、他事事項を考慮した結果だった。 

2.格差是正につながらない法改正
 今回の法改正は、政府方針としての「同一労働同一賃金原則」に基づき、正規・非正規間の格差を是正することによっている。昨年末の厚生労働省及び内閣官房の「同一労働一賃金の実現に向けた検討会」中間報告(12月16日)では、ガイドライン案に基づき民間が具体的に取り組むに当たっては、「比較的決まり方が明確であり、職務内容や人材確保の仕組みとは直接関連しない手当に関しては、比較的早期の見直しが有効かつ可能と考えられる」とされ、手当の見直しに優先的に取り組むべきことが指摘されている。
 ところが成案は、政府方針の一環をなす上記ガイドラインからも逸脱している。なぜなら、パートであるという要件のみに基づいて、期末手当以外の諸手当を支払えないものとしたからである。
 民間労働者の正規・非正規間格差は、賃金水準では正規の6割程度と言われている。これに対し、地方公務員の正規・非正規間格差は、事務職員の場合、正規公務員の年収が630万円程度に対し、非正規公務員は170万円程度と試算され、正規の4分の1の水準に過ぎない。このような絶望的な格差は、期末手当の支給を3年後に認めるというだけでは到底是正できない。
 地方公務員における正規・非正規間格差に正面から向き合い、持続可能な公共サービスを展開するために、格差是正につながる非正規公務員の処遇改善方策こそ求められている。 

3.事業主たる地方自治体に非正規公務員の処遇改善が義務付けられていない
 政府は、非正規労働者の待遇改善を目指す「同一労働同一賃金」の実現に向け、正規と非正規の労働者間に待遇差を設ける場合、企業の説明義務を法律で明記する方針を固め、3月8日に開催された有識者検討会において、労働契約法、パート労働法など関連3法改正に向けた論点整理案を示した。
 一方、非正規公務員は、これら非正規民間労働者の処遇改善法制から排除されている。したがって、事業主たる地方自治体は、非正規公務員を何年使用しようが無期雇用に転換することも、雇用期間を長くすることも義務付けられず、恒常的な業務に従事させているにも関わらず、必要以上に短い期間を定めて非正規公務員を採用し、その有期雇用を反復更新し、いざとなったら解雇に類すべき雇止めを行うという、およそ民間労働者に適用さ
れる法環境では許されない行為を、何の痛痒も感じずに「適法」に執行してきた。
 そして、パート労働法が非適用なため絶望的な格差を埋める義務も免れてきた。さらに、民間では事業主に今後課される待遇差の説明義務さえ免れ、非正規公務員をワーキングプア水準の賃金で働かせることが、適法に処理されるのである。
 これは労働基本権についても同様である。一般職地方公務員は正規・非正規を問わず労働基本権を奪われてきた。今回の措置は、これまで一応の労働基本権を保障されていた特別職の多くを同様の条件に繰り込むことになりかねず、その面では改悪となる恐れもある。
 現行の非正規公務員の労働条件や、その改善のための法環境は、民間に比べて大きく遅れている。どのような中小零細企業事業者でも義務付けられている処遇改善に向けた方策を、地方自治体の使用者にも義務付けること、そのことによって、はじめてスタートラインに立てる。今回の改正法案は法制度の整備という性格からもひとたび制定されれば問題点が固定化され、取り返しのつかない事態にも繋がるので、一度廃案とし、当事者にとって真の改善になる法制度改正を改めて検討することを強く求める。


この問題については、「労働情報」誌でも書いてもらったのだが、広範な理解はなかなか困難だった。民間労働者にも解りやすいように公務労働を説明するのはいかに大変かを労委時代にも実感してきたものだ(苦笑)。院内集会には、多くのユニオン関係者も参加していたが、自治労や自治労連本部の発言はなかった。この間、非正規公務員の悲痛な叫びにきちんと対応していたのはどこなのかを示している。そして、政府の思惑は、教育合同や公共一般、地域ユニオンなどの努力でかちとってきた様々な成果、それは声をあげ、団結し、仲間と交渉し、労働委員会や裁判を活用し闘うことによって成し遂げてきた運動によるものを、法改正による「統一性の強要」によって奪い取るものではないか。

「雇用」ではなく「任用」という関係に縛られ、労働基本権を剥奪され続けている公務労働者だが、非正規公務員にはそこから外れる中で新たな団結と闘いが可能であった。弁護団をはじめ多くの関係者の努力で、闘うことによって成果が得られるとの実績も示されていたが、政府や自治体当局は今回の法改正によって、それらの権利や成果を奪おうとしている。そして派遣法改悪と同様、当事者の声を聞く姿勢もシステムもなく、議員の理解も不十分なまま強行されようとしている。メディアも、「働き方改革」の一環としてしか扱っていない。

公務員バッシングは未だ広く継続しており、連合の努力も不十分だ。本来「労働基本権の回復」は全労働者的課題なのだが、内部に行けば行くほど実に冷ややかで、呆れるほどだ。国鉄の分割民営化によって「労戦統一」は完成されたが、次は公務労働全体が長期間のターゲットになっている。そして法改正阻止も重要だが、まず現状での運動化と改革こそが必要なのだろう。1本だけ、記事を添付し終わるが、本音は山のように言いたいことがある…。

非正規職員に残業代支給へ 新年度から福岡市方針 対象2700人 同一労働同一賃金 各自治体でも急務に(西日本新聞 2017年03月03日)
http://www.nishinippon.co.jp/feature/ilive_iwork/article/311975
 福岡市は4月から、これまで残業代の支給対象外としてきた非正規職員に対し、支払いを可能にする方針を固めた。就業要綱を見直し、正規職員の時間外勤務手当に相当する報酬を支給できるようにする。政府は民間の正社員と非正規労働者の不合理な格差を解消する「同一労働同一賃金」の実現を目指しており、この動きを自治体にも広げる方針。福岡市も勤務実態に見合った報酬を支払えるよう仕組みを整える。
 対象は、本庁などで事務や相談業務といった幅広い仕事に従事する特別職の非常勤職員で、全職員の2割に当たる約2700人。
 市との労使交渉を担った労働組合「アミカス嘱託職員ユニオン」(7人)によると、これまでは残業をした場合、別の日の勤務時間をその分短くして調整していたが「繁忙期は調整が難しくサービス残業が発生したこともあった」という。
 市労務課によると、2017年度の当初予算案に、各部局の人件費を計約1030万円上積みする形で残業代相当分を計上した。今後も原則、時間調整を優先させ、調整が難しい場合に限り報酬を支払う方針。残業は「1日2時間、月6時間以内が目安」という。
 残業代に関しては、総務省が14年、非常勤職員についても「報酬を支給すべきだ」と全国の地方自治体に通知を出していた。
 九州各県と県庁所在地、政令指定都市では、ほかに熊本県、熊本市が「基本的に時間外勤務はしない」などの理由から特別職に残業代を支払う仕組みがない。
 ●職員の連携、市民の理解が必要
 全国の財政難の自治体では非正規職員が増えており、正規と非正規の賃金格差を是正する「同一労働同一賃金」の推進は公務員の分野でも急務となっている。
 「非正規公務員の現在」などの著書がある地方自治総合研究所(東京)の研究員、上林(かんばやし)陽治さん(56)は「何とか人件費を抑えたいのが自治体の本音。特別職の非常勤には残業はさせないのが原則と言いながら、実際には支払うべき残業代を支給していない例はまだまだ多いだろう」と話す。
 待機児童や生活保護受給者の増加など、自治体の業務は量も増え、複雑になっている。上林さんは「非正規職員がその負担増を引き受け、安い人件費で便利に使われている」と指摘する。非正規職員の平均年収は200万円で正規の3分の1以下という試算もある。
 総務省は地方自治体の非正規職員の待遇を改善するため、今国会に関連法改正案を提出する方針。これまで対象外だったボーナスも支給できるようにする。ただ具体的な支給基準は自治体が判断する部分があり、実際の処遇改善には時間がかかる可能性がある。
 「アミカス嘱託職員ユニオン」の執行委員長、成瀬穫美(えみ)さん(47)は、今回の労使交渉であらためて、普段別々の職場で話をする機会もない非正規職員同士の連携の難しさを痛感したという。「交渉を続けながら、私たちは一体誰と闘っているんだろうってふと思うことがありました」。財政難の自治体は簡単には待遇改善を決断できない。不合理な格差を正すには、納税者である市民の理解も欠かせない。
    ×      ×
 【ワードBOX】地方自治体の非正規職員
 全国の自治体の非正規職員は2016年4月時点で64万5千人で、12年より7・6%増。内訳は一般職の非常勤16万8千人、特別職の非常勤21万7千人、正規職員の育休中などに簡易な手続きで採用できる臨時職員が26万人。約4分の3が女性だ。特別職は本来、医師など学識経験者の採用が想定されているが、地方公務員法に一般職の採用方法などが明記されていないこともあり、特別職が一般的な仕事を任されている例が多い。育児休業を取得できない場合もある。




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