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zoom RSS イージス艦と衝突したコンテナ船の労使関係に?

<<   作成日時 : 2017/06/21 06:32   >>

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兵士という労働だけはやりたくない。そこでは「面従腹背」も許されないだろう。ただ野間宏さんの「真空地帯」を批判し、大西巨人さんが名作「神聖喜劇」を書いた意味は分かる。軍隊にも階級対立があり、社会的差別が持ち込まれる。警察・消防では認められる労働組合(認めない日本は世界の非常識!)も軍隊では認める国はまだ少ない。しかし、苦情処理制度等はさすがに普及しはじめ、さらにはAIの進化による危険作業(?)廃絶の動きも強まっている。それでも死と背中合わせの労働など、あってはならない…と思う。6/17に最先端レーダーを搭載した米海軍イージス艦が衝突し米海軍兵士7人が亡くなった事故に、あらためて兵器と軍隊の廃絶を個人的には訴えたい。おそらく事故原因も深い闇に包まれ、他の戦死同様、無駄死にで終わるだろう。

他に重大課題が山積しているために日本のメディアも深くは報じない。もとより安保と日米地位協定、さらには戦争法や秘密保護法などという高い壁が存在している。しかし、これが原潜や核空母などだったらと考えると、もっと重大な関心が寄せられて然るべきではないか。とにかくきちんとした報道が無い中で、ここではハンギョレ新聞を貼り付けておきたい。、

最先端レーダー搭載した米イージス艦、日本で商船と衝突…米海軍7人死亡(ハンギョレ新聞 2017.06.18)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/27666.html
◆「イージスレーダーは対空用…船舶探知は一般船舶と類似」 捜査権は米軍に優先権…日本が調査するには米軍同意必要
 最先端レーダーを搭載した米海軍のイージス艦が、日本で商船と衝突し米海軍兵士7人が亡くなり、艦長を含む3人が負傷する事故が起きた。先端防御能力を備えた駆逐艦だが、商船との衝突は回避できなかった。
 米海軍第7艦隊所属のイージス駆逐艦、フィッツジェラルド号(8,315トン)が17日、静岡県伊豆半島近隣の海上でフィリピン船籍のコンテナ船ACX CRYSTAL号(29,060トン)と衝突して、右わき腹が大きくつぶれた。米軍はフィッツジェラルド号が18日、神奈川県横須賀基地に帰還した後に衝突で浸水した乗務補助員寝室と機械室から水を抜いて捜索した結果、乗務補助員寝室で遺体数体を発見したと発表した。日本のNHKと米国のCNN放送は、米海軍乗務補助員と見られる遺体7体を発見したと報道したが、米第7艦隊は遺体の数を明らかにしなかった。コンテナ船に乗っていたフィリピン人船員20人には負傷者はいなかった。
 日本の海上保安庁によれば、17日午前1時30分頃、コンテナ船の左側船首部分とフィッツジェラルド艦の右わき腹部分が衝突した。コンテナ船は日本の海運会社である日本郵船が運営する船で、この日名古屋港を出航し東京港に向かう途中だった。フィッツジェラルド艦は、横須賀基地から南方に向かう途中だったという情報だけが公開された。事故が起きた時刻は、港湾で荷物を下ろすために貨物船が特に混雑する時間帯であり、伊豆半島海域は東京港へ向かう通り道であるため一日に400船以上が通る。
 イージス艦は目標物の探索から破壊までの全過程を一つのシステムに統合した最新装備を備えた艦船で、フィッツジェラルド艦は数百個の目標物を同時に探知し、同時に10個以上の目標物に対応できるSPY-1レーダーを搭載している。だが、イージス艦の最先端レーダーは、ミサイルのような空の目標物対応用であり、船舶探知レーダーは一般船舶と大差ないと読売新聞は伝えた。平時運航中のイージス艦では、中央にある艦橋で当直軍人が船舶探知レーダーを見て、肉眼で左右を見ながら航海する。ただし、一般船舶水準の施設でも他の船舶の位置を確認できるにもかかわらず、衝突した理由は明確でない。
 まず考えられることは、事故当時の夜明けに当直勤務に異常があった可能性だ。事故当時、海には霧が濃かったわけでもなく、照明でも相手の存在を確認できたと日本のマスコミは伝えた。
 第二に、相手の近くにいるという事実は両船舶の双方が分かっていたが、コミュニケーションに問題があった可能性だ。海洋法上、船舶の衝突を防止するために船舶が直角に接近する場合には、相手を右側に見る船に右側に回避する義務がある。同じ方向に船2隻が進んでいる場合には、追い越す船に右側に回避する義務がある。日本海上自衛隊の香田洋二前司令官は「(当直態勢が)充分でなかったこともあり、互いに相手方に回避義務があると誤解したかも知れない」と朝日新聞に話した。
 日本の海上保安庁は、コンテナ船ACX CRYSTAL号をひとまず調査するが、事故の全容を完全に調査することは難しい。米軍の公務中起きた事故は、米日駐屯軍地位協定上、米軍に優先裁判権がある。日本が米海軍の乗務補助員を調査するには、米軍の同意が必要だ。


今回も労働者の側からの取材アプローチはない。個人的には海員組合あたりに取材するべきではないかと思うのだが、実はコンテナ船の方にも重大な問題があるという。ブログ「いかんぜよ海員組合【全日本海員組合の再生を目指して】」に、<ACX CRISTALが、フィリピン籍で、フィリピン人船員が乗り組む、フィリピンの自国籍船だとすると、日本の船会社が実質的な支配関係にあっても、乗組員は、海員組合の非居住特別組合員にはならないことになるのではなかろうか。何故か、形を変えた脱組織のにおいを感じてしまう>との重要な指摘があった。残念ながら続報がなく、このまま添付する。もちろん海員組合のHPにも何ら記載は無いし、関連記事も見当たらない。

ACX(2017.6.18)
http://yukikohitoshi.blog111.fc2.com/blog-entry-737.html
 日本郵船が運航するコンテナ船ACX CRISTALとアメリカ海軍のイージス艦FITZGERALDが、6月17日午前1時半ごろ、下田沖20キロで衝突した。
 この事故は、米海軍のイージス艦が衝突したということで、ニュース速報として扱われ、インパクトの大きさを物語っている。
 テレビでは、FITZGERALDの右舷が大きく損傷した姿が繰り返し流れ、素人目にも、その修理のためには、長期間作戦から離脱しなければならないことを思わせる。
 ACX CRISTALの乗組員に被害は無かったが、FITZGERALDは行方不明者が7名もいるということで、まさに重大海難事故である。
 ACX CRISTALの船籍は、フィリピンとされているが、船主は、日本船主協会のメンバーである、神戸市に本社のある大日インベスト株式会社となっている。
 これが事実とすると、日本の船主がフィリピン籍船を直接所有していることになるのだが、いつからこの様なことが可能になったのであろうか。
 ACX CRISTALが、フィリピン籍で、フィリピン人船員が乗り組む、フィリピンの自国籍船だとすると、日本の船会社が実質的な支配関係にあっても、乗組員は、海員組合の非居住特別組合員にはならないことになるのではなかろうか。
 何故か、形を変えた脱組織のにおいを感じてしまう。
 船名がACXで始まる船舶を目にすると、東京船舶が海員組合から脱組織したことを思い出す。
 東京船舶に在籍していた組合員全員から脱退届が送られたことで始まった東京船舶問題に対し、会社側の介入がその原因であると判断し、東京船舶の乗組員が乗船していた、ACXで始まる船舶に対し、繰り返し議行動を展開し、脱組織を喰いとめようとした。
 本部と関東地方支部は、頻繁に対策会議を開くとともに、全国に点在する組合員の自宅へ繰り返し訪問し、翻意を促したものの最悪の結果となった。
 この当時、関東地方支部で東京船舶の担当であったのが、藤澤洋二氏と田中伸一氏であったことを思い出す。
 外航部門の有力会社の脱組織であり、大きな注目を浴びたが、結果は、海員組合にとって屈辱的なものとなった。
 ACXと聞くと、脱組織を想像してしまうことが、今でも残念でならない。


この問題は、専門家にもっと聞いてみたい。今日は、関連して(?)武器輸出について学んでおく。これも深い闇に包まれ、知らない間に戦争にどんどん近づいている…ということだ。あの望月記者がTwitterで<2014年から取材している #武器輸出 #軍学共同 について #古賀茂明 さんと対談させて頂きました。#加計 、#森友 に象徴される日本の政治はいまどんな国に突き進もうとしているのか。「武器輸出大国」を目指す安倍政権の野望と現実>と記した対談も読んでおきたい。もちろん原本の方が読みやすいが、添付しないと自分が読まない(苦笑)。

防衛省が15日に東南アジアの国防当局と会議、装備輸出を摸索(ロイター 2017.6.12)
https://jp.reuters.com/article/japan-defense-ministry-southeast-asia-idJPKBN1920QI
 6月11日、防衛省が東南アジア諸国への装備輸出を進めるため、各国の国防当局者を集めて15日に会議を開くことが、関係者への取材で明らかになった。
 防衛省は東南アジア諸国への装備輸出を進めるため、各国の国防当局者を集めて15日に会議を開く。日本は装備輸出を通じ、中国が影響力を強める南シナ海沿岸国の能力強化を目指しているが、これまでに実現した案件は、フィリピンに中古の練習用航空機を貸与した程度。会議で各国から具体的な要望を聞き、需要を掘り起こしたい考え。
 防衛省関係者によると、会議にはフィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアの当局者が出席を予定。12日から千葉市(幕張)で始まる海洋安全保障の装備展示会「MAST 2017」の機会を利用する。
防衛省は装備の供与だけでなく、維持管理の手法や訓練も合わせて提供可能なことを説明する一方、参加各国が直面している安全保障上の課題を聞くなどし、要望を探る。自衛隊の中古装備を無償で譲渡できるようになったことも説明する見込みだ。
 日本は2014年4月に武器の禁輸政策を転換し、一定の条件を満たせば輸出を認める防衛装備移転三原則を導入した。南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンやベトナム、中国が接近するタイなどに装備を輸出する可能性を探ってきた。
 だが、東南アジア向けの目ぼしい案件は、海上自衛隊の中古練習機「TC−90」を警戒・監視用としてフィリピンに輸出したことぐらい。
 しかも日本の法律上の制限から、無償譲渡ではなく有償での貸与にとどまった。東南アジア諸国からは対潜哨戒機やレーダーなどを求める声もあるが、実現には至っていない。

「武器輸出大国」を目指す安倍政権の野望と現実 狙いは「世界の列強入り」…?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51986
 6月12日〜14日、日本で2度目となる武器展示会「Mast Asia 2017」が幕張で行われた。世界33ヵ国から150ほどの企業が集結。日本からは、日立製作所、三菱重工、川崎重工、NEC、マリメックス・ジャパン、松田通商、三井造船、日本エヤークラフトサプライ、日本海洋、NTKインターナショナル、新明和工業、東陽テクニカ、東京計器が参加した。
 さかのぼること3年前の2014年4月、日本は47年ぶりに海外へ向けての武器輸出を事実上解禁した。解禁後の日本企業や防衛省の動きを追った『武器輸出と日本企業』の著者で東京新聞の望月衣塑子記者と、元経産官僚で、安倍政権への厳しい指摘を繰り出す古賀茂明氏が、意見を交わした――。
◆大企業は本当に武器輸出に「前のめり」なのか
古賀: 望月さんの本の冒頭で、2015年に横浜で行われた日本初の武器展示会「Mast Asia 2015」のことが描写されています。参加した13社がなにをアピールしていたのか、企業幹部のコメントなど興味深く読みました。
発売から一年経ってなお売れている(amazonはこちらから)
その展示会が今年は幕張で行われたんですね。規模はどのくらいなのでしょうか。
望月: 来場者でいえば、前回と同程度の4000人規模と見られています。
私が2年前の「Mast Asia 2015」を取材したとき、当初は2000人くらいの参加と見積もられていたんですね。それが最終的に3795人と、予想の倍近くになりました。展示会の開催に動いた防衛技術協会の方は、「次は倍の規模、8000人にする」と息巻いていたんです。ただその後、報道などの影響もあるのかもしれないのですが、思ったほど参加したい企業の数も増えず、結局4000人規模となったそうです。
前回は間に入っていた防衛技術協会も、ビジネス的なメリットもないし、「武器商人」との批判も受けるというので、今回は間に入っていません。
古賀: この本の中でおどろいたのは、解禁を望んでいた防衛企業が必ずしも前のめりというわけではなく、戸惑いの声が多く聞こえた、というところ。「Mast Asia」の2015にも2017にも参加している日立の幹部のコメントに「国がどこまでリスクをとってくれるかはっきりしない現在、とりあえずは様子見したい」という記述もありましたね。
望月: 私も取材していて、そこは意外な点でした。とくに慎重な姿勢だったのは、潜水艦に関わる企業です。
この本の中で、一つの章を割いて記したのがオーストラリアの潜水艦受注のことでした。日本、フランス、ドイツの三つ巴で受注を競い合ったのです。2015年〜2016年の4月にかけてのことです。
武器輸出の解禁直後は、企業はもちろん、防衛省の幹部も「潜水艦は機密の塊。外国に出すにはハードルが高すぎる」と明言していました。しかし官邸の意向もあって、企業も防衛省も次第に態度を変えざるを得ず、最後は三菱重工の宮永俊一社長までもがオーストラリアに入ってPRを行いました。
しかし、結局オーストラリアが選んだのはフランスだったんです。
この潜水艦受注失敗の直後、ある造船会社の方は、「ここだけの話ですけど、本当に受注できなくてよかったです」というような本音を言ってくださっていました。みなさん技術の流出はどうするのかということを深刻に心配していたので、ホッとしたのだと思います。
古賀: 本が出てから一年が経っていますが、状況は変わっていますか。
望月: やはり少しずつ変化していると感じます。今、一番注目されているのは川崎重工。川重さんは昨年、輸送機C-2と哨戒機P-1の輸出戦略のプロジェクトチームを立ち上げました。どちらも大型の武器です。去年の秋ごろから本格的に動き出していて、それをニュージーランドに輸出しようとしているようです。
ただこれは必ずしも川重さんが先導してというわけではないようです。現政権は大型の完成品を輸出して、「潜水艦はダメでしたけどこれができました」と海外にアピールしたいようです。
古賀: 日本が得意な繊維技術とかレーダー技術などではなくて、見た目の派手さを優先するということですね。
望月: そのようです。元防衛大臣の森本敏さんに取材したときに、その点を聞いてみました。森本さんは、「大型のものに関しては、日本はそれほど競争力がないから無理。繊維とか部品とか技術とか、そういうもので勝負するしかないんだ」と言っていたんです。ただそうはいっても見た目が欲しい、というところはあるのですね。原発や新幹線の輸出と同じで、「華やかさ」があるというのでしょうか。
◆武器ビジネスに光明を見出す人たち
古賀: 大手企業の動きはどうなの?
望月: 川崎重工さんには、先述の潜水艦の受注競争中にインタビューしたんですけれど、そのときは「これは問題だよ。潜水艦の完成が遅れた場合の、3000億円、4000億円もの損害賠償を自分たちが負わされたら、はっきりいって会社がつぶれてしまう」と危機感を持っておっしゃっていました。
ただ今回は、P-1、C-2に関してはもう「どんがらだし」といいますか、中身のシステムはアメリカ製のものだから、外身を作るだけだという割り切りと、これだけ政府が言ってきてどの道やらざるをえないんだから、もう進むしかない、という妙な前向きさが出てきたと感じます。
これまで川崎重工は三菱重工さんに比べて、慎重なコメントが多いと感じていました。三菱重工はある程度覚悟を持ってやっていたと思うんですけどね。
川崎重工の間では、相手国に行って整備したり補修したり、機体をチェックしたり、となれば、そこでまたビジネスが生まれて、何千億円かの規模になる、という話が出始めています。ちょっと変わってきたなという怖さはありますね。
古賀: 少しずつそうやって変えられていくんですね。初めはやっぱり心理的なハードルも高いですし、国民の反応も怖い。マイナスイメージで主軸の事業に影響が出たらたまらない。
今までと違う初めてのビジネスなのでどうしても慎重になる部分はあるけど、潜水艦で失敗しても「ある意味、いいところまでは行ったんだよね。相手にされなかったわけではないよね」と考える人もいる。市場で競争に入れるんだ、ということははっきり分かったわけですから、推進したい方にとっては一歩前進ともいえます。少なくともエントリーするというところまでのハードルはなくなりました。
そうやって一歩ずつクリアされていくから、そのうち大きな商談も成立するだろうな……と思いますね。
今、重工メーカーは各社状況は様々でしょうが、うまくいっていないところも多い。造船分野などは、民需では日本はひどい状態。今治造船くらいしかいいところが見当たりませんし、三菱重工はMRJの失敗などもあって、かなり苦しいでしょう。
そういうことを考えると、これまでは大変なわりに消費者からも批判されるし、ビジネス的に儲けも少ないということで及び腰だった人が多かったと思いますが、武器ビジネスに光明を見出す人も出てくるでしょう。
◆武器国策会社ができる日
望月: 潜水艦が失敗したあと、三菱重工の幹部から、もしオーストラリアへの輸出が成功していたら、三菱と川崎重工の防衛部門だけを合体させて、防衛省からの発注専門の船舶会社、まさに武器輸出の、潜水艦輸出のための造船会社というのを作る予定だった、という話を聞きました。
以前、獨協大学名誉教授の西川純子先生にインタビューしたときに、「おそらく日本は、常に赤字にならない、必ず政府が赤字を補てんしてくれるような軍需専門企業を作るために、支援制度の枠組みを整えているのではないか」という指摘をされていました。それを聞いたときには正直、「そんな企業を作るかな……」と半信半疑だったんです。
その後、三菱重工の方が先ほどの話を明かしてくれたのでおどろきました。武器専門の会社を作り、なにがあっても政府が常に製造を保証するシステムにすれば、会社はつぶれずに、政府から一定の金額をもらえるわけです。軍産企業は、「これはありがたい」と進んでいくのではないかな、と思ってしまいました。
古賀: まったく同じことは原発で起きていますね。
原発が経済的に難しいということははっきりしてきて、「原発やめましょう」となればいいんだけど、「やめない」という政府の方針がある。でも民間としてはこのままではできません。
それでいろいろな障害になるようなこと、たとえば廃炉や廃棄物の処理、あるいは事故が起きたときの除染など、企業が心配なことや対応できないことについては政府がお金を出そうとしているし、あるいは電気料金に上乗せしています。さらに、経済産業省は「過去の原発事故の賠償費用が積み立て不足だった」として、「過去分」という名目で電力料金に上乗せして国民に費用を負担させようとしています。
こういう制度が整えば、原発というのは絶対損しません、となります。大儲けはできないかもしれないけれど、損はしませんという仕組みができるわけです。
すべての電力会社を政府が保障するというのは難しいから、再編統合しろ、とそういう方向に進んでいきます。とはいえ、相当無理しないとできないと思いますけれども。これは今の潜水艦の話ととても似ていますよね。だから、武器国策会社とか原発国策会社というのが今後出来るのではないか、と思いますね。
◆本当に日本の武器を出していいのか
望月: この本を出した後、いくつかの講演会に呼んでいただいて話す機会があったのですが、終わった後に「実は自衛官なんです」と言ってきてくれる人がいました。彼が言うには、「日本の武器を、武器を」と防衛省からアピールされるのはいいが、それほど使えるものができているとは思えないそうです。
だからアピールされるのがすごく怖い、という。なにが怖いかといえば、日本の弱点を知られてしまうのではないか……ということなんですね。そういう意味でも、彼は武器輸出には慎重でした。
先ほどの川崎重工さんがすすめようとしているP-1、C-2の話をしても、「絶対にボーイングさんやエアバスさんがつくるものには勝てませんよ」とすごく弱気でした。実際に武器を使っている自衛官の感覚からすると、「これで戦えるのか?」というわけです。日本の武器は世界の最先端から「二周回遅れ」という意識のようです。
そういう点を、たとえば軍事ジャーナリストの清谷信一さんなどは、「本当に安倍さんのいう戦う国にするのであれば、もうちょっと武器を近代化すべきだ」というわけですね。
たとえば自衛隊の救急セットでさえ、包帯と止血帯しか入っておらず、ほかの軍隊ではあり得ないお粗末さだそうです。にもかかわらず、見た目重視で、グローバルホークなど大型の武器や、アメリカに買えといわれたものは惜しみなく買うけれど、細かい装備とか救急品など、一つ一つ見ていったらぜんぜん戦える国になっていない、というのが自衛官の方の意見ですね。
そういう現場をよく知っている防衛省の人たちというのは、武器輸出に対して私はやや慎重だと感じています。背広組は、官邸の意向を受けて常に指令を出さなくてはいけませんから、表向きは「これは日本の安全保障に資するんだ」と言いますし、とくに東南アジア諸国への中古の武器輸出を強化していくことは、日本の安全保障を強化していくことになると言い続けていますけどね。
古賀: 防衛省というのは現場感覚を持っている人たちが多いから、無用な戦争にどんどん突っ込んでいきたいとは思う人たち多くないと思います。自分たちが最初の被害者になるわけですから。
でも外務省というのはちょっと違うでしょ。直接は血を流しませんし、アメリカに言われたら断れないという立場です。そういう人たちが、経済協力の枠組みを使って武器を外にどんどん出せ、と言っているけど、僕は別の思惑を感じる。日本の中古の武器を輸出して、その穴埋めのために新品を買うでしょ? アメリカから高い武器を買うためなのでは、と思ってしまいますね。
外務省は基本的にアメリカといっしょに世界中で戦争できる国にしたいのでしょう。安倍さんに考えは近いのかな、と思います。
望月: 経産省のスタンスはどうなんですか。
古賀: 経産省はただ金儲けのことだけを考えているから。金儲けといってもべつに役人が儲かるわけではないですよ。基本的には天下りのためですよね。
武器輸出とか武器技術輸出というのは、経産省が担当の所管ですよね。そういう意味では、今後武器ビジネスが発展していった場合、権限が増えるわけです。具体的な案件にも絡んできますから、そこに利権も生まれます。原発の利権に似た構造になりますね。原発が一種の公共事業になったように、武器輸出も公共事業になるわけです。
◆軍学共同に反旗を翻す大学人たち
古賀: この本にはもう一つ、大切なテーマとして「軍学共同」のことが取り上げられていました。戦後、日本の大学は軍事研究を行わない、ということでしたが、少しずつ新しい動きが出てきているんですね。
望月: たとえば東大が2011年に作成したガイドラインでは「一切の例外なく軍事研究を禁止する」としていたのが、2015年には「軍事を目的とする研究は行わない」としつつも、「研究者の良識の下、軍事・平和利用の両義性を深く意識しながら個々の研究を進める」となりました。
日本の大学は少子化の影響や、国立大学では文科省からの年間1%ずつの運営費交付金削減などもあり、研究予算が減っています。これも影響しているのでしょう。
古賀: その流れの中で、防衛省が資金提供の制度を立ち上げたましたよね。
望月: 2015年からです。防衛省としては初めての資金提供の制度でした。初年度の総予算は3億円でしたが、2016年度には6億円、2017年度は110億円と、実に18倍に増えました。初年度から応募した大学もありましたが、学内には大きな波紋を起こしました。
その後、日本の研究者や科学者の最高峰ともいえる「日本学術会議」が議論を重ね、今年の3月に、軍事研究は「政府の介入が著しく、学術の健全な発展という見地から問題が多い」と懸念を表明しました。各大学、研究機関が、研究が適切かどうかを「技術的・倫理的に審査する制度を設けるべき」と決議して以降、防衛省の制度には慎重になろうとか、応募させない、といった声明を出す大学が急激に増えていますね。その影響力の大きさに驚いています。
たとえば法政大の学長の田中優子さんははっきり「応募させない」と表明していますね。学内でいろいろな派閥や考えもあると思うんですけど、歴史から学んでいる人というのはこういうことをきちんと打ち出せるんだな、と感じました。
北海道は24の大学のうち23の大学が防衛省の制度には応募せず、北見工業大学・室蘭工業大学・帯広畜産大学は、応募を認めない方針を明らかにしました。地方の工業大学や単科大学ですから、そういう資金はきっと欲しいと思うんですよね。
そのあたりを企業と対比すると、学者の方たちは軍事とは一線を画そうという気持ちを強く持っているんだな、と感じますね。
古賀: ただ僕がちょっと心配しているのが、大学というのは普通の会社より定年が長いですよね。国立で65歳、私立で70歳。そういう思想をしっかり持った人たちが、今は教授などの偉いポジションにいます。日本の大学というのはそう簡単に若い人が教授になれませんから。
年配の教授が言っていれば、若い人が突出して声を上げにくいところはあるかもしれない。忖度もあるでしょう(笑)。あと10年くらい経つと、かなり世代交代が進む可能性がありますから、今のうちに上から押さえつけるのではなくて、若い研究者たちとよく議論し、こういう考え方について理解してもらうことがすごく大事だと思います。
望月: 筑波大が2年前に学生にアンケートをとったら、理工系では、軍事研究容認派が反対派を上回ってしまったそうです。でも永田恭介学長はこの間、会見で「軍事研究しない方向で方針を策定します」と表明しました。
そこで「2年前のアンケートは逆でしたがどうしますか」という質問が出ました。学長は、「学生とは一から議論して、僕たちの考えを理解してもらえるように務めたい」と話しています。今どきの状況を象徴するように感じました。
◆食い止めるには、民主主義しかない
望月: 今の国家観に基づくと、先ほどの川崎重工じゃないですが、「武器ビジネスは、やらざるを得ない」というふうになっていくのではないでしょうか。一回車輪が回り始めたら、そこに根付いている企業や家族は、大きな声を出して「武器輸出反対」とは言えなくなってしまいます。そのことを強く危惧しています。
古賀: そういう心配はあります。ただ僕は、そもそも武器ビジネスは経済的に成り立たないと思います。安倍さんの理想を実現するためには相当日本の経済が強くなって成長して、その果実がどんどん増えて、そのうちのかなりの部分を軍事費に費やす、というふうにならないと無理でしょう。
軍備を拡大して、若い人をどんどん軍隊に入れ、技術者、研究者も軍事に振り向けた結果どうなるかといえば、それ以外のところに必ずしわ寄せがいくでしょう。全体のパイは拡大しないわけですから。
そんなことは国民から見ると「えー!それはおかしい」となりますよ。軍事費のために年金削る、医療費削る、子育て、介護はどうするの、と。それを国債とか消費税とかいろいろなことで補おうとすると思うんですけど、どこかで破たんします。
そのときに大事なのは、日本の民主主義が機能しているかどうかです。
たとえば北朝鮮、あんなに貧しい国なのにあれだけの軍事開発を行っている。中国もそうです。まだまだ日本より貧しいし、貧富の差は拡大している。それなのに軍事開発を進める。それはなぜかといえば、民主主義がないからですよ。国民が文句を言っても押さえつけられる、国民の権利がないがしろにされているからです。そういう体制が、果てしない軍拡競争に勝つためには必要なのです。
今、日本はその瀬戸際にいます。日本の民主主義が失われるのかどうか、の瀬戸際です。その一つのカギが僕はマスコミだと思っています。この武器輸出の問題も、マスコミがどれだけ報じてくれるのか。
武器の問題だけではなくて、安倍さんたちのやっていることを全体として捉えながら、本当にこういう方向に行っていいんですか、ということを大手メディアがきちんと伝えないと、国民がわからないまま、安倍さんを支持するということになります。「安倍さんがんばってください、私たちを守ってください」、とみんな塚本幼稚園になってしまいます。
望月: 先日ある先生から『日本国憲法 9条に込められた魂』 (鉄筆文庫) という本を薦められました。終戦直後に東条英機に替わって内閣総理大臣に就任した幣原喜重郎さんが、憲法九条について話したことをまとめたものです。
ここから4行だけ紹介させてください。
《 非武装宣言ということは、従来の観念からすれば全く狂気の沙汰である。だが今では正気の沙汰とは何かということである。武装宣言が正気の沙汰か。それこそ狂気の沙汰だという結論は、考えに考え抜いた結果もう出ている。
要するに世界は今一人の狂人を必要としているということである。何人かが自ら買って出て狂人とならない限り、世界は軍拡競争の蟻地獄から抜け出すことができないのである。これは素晴らしい狂人である。世界史の扉を開く狂人である。その歴史的使命を日本が果たすのだ。》
戦争というものを終えた結実が九条だったというのです。GHQからの押しつけなどではなく、彼から非武装宣言をマッカーサーに提示した、ということの動機も含めて語られています。
ここに見る精神性の高さというか、倫理観、道徳というのでしょうか。こういうものをこの人が九条に込めてくれたんだな、と思うんですよね。
急激に変わりつつある日本の武器輸出の動向ですが、これからも見つめ続け、つぶさに発信していきたいと思います。




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