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zoom RSS 6月からの「産業医」制度変更を労組は知っているだろうか

<<   作成日時 : 2017/06/30 06:05   >>

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下村都連会長の「反論」に切り込めないメディアに苛立つが、では労組のパー券の扱い等は、と問われるとさすがに自分も「パーティ禁止を」と答えるしかない(苦笑)ので、昨日に続いて<医療>を考える。6/1から「産業医」制度の運用が一部変更されたがほとんど話題になっていない。…というか、制度そのものに関心が少ない。しかし、本来は重要な責務があり、設置義務も課せられている。労働相談等では「ブラック産業医」にも遭遇することが多々ある。しかし労組内では労働安全委員会など以外では話題にならない。連合も旧総評の先進面を受け継ぐこと無く、今に至っても労働安全衛生は不得意な領域の一つになっている。本田由紀さんは6/1のTwitterで「企業に対し、長時間労働者の情報を提供する義務を設けたこと。具体的には、産業医に対して、残業が月100時間超の労働者の氏名と超過時間に関する情報を伝えなくてはならない。」との改正項目を紹介しており、自分も以下の文章を学んでおきたい。

6月から「産業医」制度変更…巡視義務の緩和で「ブラック産業医」問題どうなる?(弁護士ドットコムニュース・ 川岸 卓哉弁護士 2017.6.1)
https://www.bengo4.com/c_5/n_6162/?via=twitter
 厚労省の省令改正に伴い、産業医制度の運用が6月1日から一部変更された。産業医が対応すべき業務が増えていることから、業務負担の軽減と効率化を図る目的だ。
 変更点は大きく2つ。1つ目は巡視頻度の緩和。これまで産業医は、作業場などを月1回以上巡視することが義務付けられていた(労働安全衛生規則第15条)。これが一定の条件下であれば、2カ月に1回以上になる。
 2つ目は、企業に対し、長時間労働者の情報を提供する義務を設けたこと。具体的には、産業医に対して、残業が月100時間超の労働者の氏名と超過時間に関する情報を伝えなくてはならない。
 産業医をめぐっては、企業側と結託して、従業員を退職に追い込む「ブラック産業医」の問題も浮上している。今回の改正をどのように捉えるのか、ブラック産業医問題にくわしい川岸卓哉弁護士に話を聞いた。
●現代の産業医には「職場の内実」に迫ることも求められる
ーー制度改正でどういう効果が期待される?
 今回の改正は、現代の職場環境の変化を背景としています。かつて労働災害の発生原因は、製造業の工場での危険作業などが主でした。しかし、近年、オフィスでの長時間労働や人間関係などから精神疾患を発症し、最悪の場合、電通事件のように自殺に至る労災が急増傾向にあります。
 このため産業医は、職場巡視で「外見からわかる」職場の危険だけでなく、労働時間など「職場の内実」に迫り危険性を把握する必要があることから、今回の改正に至った経緯があります。改正の趣旨に則り、産業医が、長時間労働の実態などを把握できれば、職場における精神疾患発症などを防ぐことに役立つ可能性があります。
●そもそも巡視義務は守られていないことが少なくない
ーー巡視義務の回数が減っているが、効果は望めるのか?
 現行法の月1回の職場巡視義務についても、産業医が「名義貸し」をしているだけで、実際には法令通り巡視していないという会社がざらにあります。
のみならず、報酬を支払っている会社の意向を受けて、客観性・中立性に反し、労働者を退職に追い込むことに協力するような「ブラック産業医」も散見されます。訴訟で争っている事件もありますが、多くの労働者は泣き寝入りをしています。
 このような実態で、産業医の職場巡視義務の緩和が、現在の違法状態を合法化する方向で利用されれば、職場の安全衛生環境の劣化を招く危険があります。
ーーブラック産業医をなくすにはどうしたら良い?
 本来、産業医は、職場の労働災害を防ぐ「番人」としての役割を負っています。産業医には、長時間労働の実態など職場の実態をしっかりと把握した上で、会社に対して臆することなく意見を述べ、是正を求める姿勢が求められます。
 現在、産業医のこの重大な職責は、職業倫理に支えられていますが、一部の悪質な産業医の職務怠慢や会社側に寄った荷担を防ぎ、客観性・中立性を担保するため、産業医の懲戒制度などを設ける必要があると考えています。私も弁護士として、厚生労働省に対して、制度創設の申し入れを行っているところです。
無責任・悪質な産業医に対して、泣き寝入りしないことで、職場の労災を防ぐより実効性のある改正を進めていくことができます。お悩みの方は、諦めずにぜひ一度弁護士などにご相談ください。


連合が不得意な産別領域がいくつかあり、その一つが医療だ。かつて「全国医療」が組織され、各構成組織の医療関連労組が参加したが十数年前に消滅した。現在は自治労中心のネットワークが残っているが、ゼンセンの医療部門とは分断され、日赤中心のヘルスケア労協とも異なっており、医労連には一歩も二歩も遅れをとっている。労政審でどのような議論になったのか不知だが、各構成組織のエゴを排する医療労働運動の構築は必要なのではないか。7月7日には、最高裁で医師の残業代判断見直しの判断が出されるという。

医師の残業代「含む」見直しへ 上告審結審、7月判決(日本経済新聞 2017/6/9 )
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H59_Z00C17A6CR8000/
 医師の高額年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審弁論が9日、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)で開かれ、結審した。判決は7月7日。弁論は二審の結論を変更する場合に開かれるため、「残業代は年俸に含まれる」とした一、二審判決を見直す可能性が高い。
 訴えを起こした40代の男性医師は2012年4〜9月、神奈川県内の私立病院に勤務。1700万円の年俸契約で、午後5時半〜午後9時に残業をしても時間外の割増賃金を上乗せしない規定になっていた。
 医師側は弁論で、過重労働を防ぐために割増賃金の支払いを義務付ける労働基準法の趣旨に触れ、「医師の過重労働を防ぐには、通常の賃金と時間外の割増賃金が明確に区分できる必要がある」と主張。年俸に残業代が含まれないと訴えた。
 病院側は「職種によっては経営者と同等の給与を得ていて、必ずしも手厚く保護する必要がない労働者もいる」と強調し、仕事の実態に応じた柔軟な法解釈を求めた。


濱口さんが献本ではなく、本屋で買ったという『産業医が見る過労自殺企業の内側』(集英社新書)を自分も読んでみた。当然のように、ここでも労働組合は登場しないことに慄然とする。労使協定以上に労働者の側に立って主張すべき労働安全委員会も経営主導で形骸化し、結果、生命・健康に重大な危機をもたらしているケースがあまりにも多すぎる。

長時間労働でうつ病、研修医の自殺を労災と認定 新潟(朝日新聞 2017/6/2)
http://digital.asahi.com/articles/ASK615JLQK61UOHB016.html
 新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医(当時37)が2016年1月に自殺したのは極度の長時間労働によるうつ病発症が原因だとして、新潟労働基準監督署が労災と認定したことが1日、分かった。遺族の弁護士が明らかにした。認定は5月31日付。
 亡くなったのは新潟市の木元文さん。看護助手をしながら医師を志し、07年に新潟大医学部に合格。15年4月から研修医として新潟市民病院の消化器外科に勤務し、同年秋ごろから体調不良を訴えるようになった。16年1月、自宅を出た後に行方不明となり、近くの公園の雪の上で倒れているのを家族が発見。そばには睡眠薬があり、低体温症で死亡した。
 遺族は長時間労働が原因で自殺したとして同8月、労災認定を求めていた。遺族が調べたところ、時間外労働は4カ月連続で200時間を超え、最も多い月で251時間だったという。
 これに対し、病院側は木元さんの自己申告をもとに、時間外労働時間は1カ月平均約48時間だったとしていた。
 遺族の弁護士によると、労基署は「うつ病の発症は15年9月ごろで、直近1カ月の時間外労働が160時間を超えていたため認定した」と説明した。木元さんの夫(37)は弁護士を通じ、「使用者による殺人にほかならない。医師不足は何の理由にもならない」とコメントした。今後、同病院に長時間労働の改善を求めるという。
 新潟市民病院は「労災が認定されたことは真摯(しんし)に受け止める」とコメントした。
■診療時間見直しも
 診療を原則、拒めない「応召義務」のある医師。労働問題が議論されることは少なかったが、長時間労働に労働基準監督署が是正勧告を出し、病院の外来を縮小する動きも出てきた。
 昨年6月に是正を求められた聖路加国際病院(東京都中央区)は3日から、土曜日の外来診療を14診療科に絞り、神経内科や皮膚科など20診療科を休診する。
 同院によると、労基署は医師の残業時間が月平均95時間に達していると指摘。当直は時間外労働にあたるとした。シフトの調整だけで対応できないため、土曜の一部休診を決めた。医師の「意識改革」もすすめ、午後6、7時には病院を出るよう促している。
 残業時間の削減は達成できる見込みだが、家族らへの都合に合わせて夜にしていた患者への病状説明を昼間にするよう指示し、救急患者の受け入れを断らざるを得ない例も出ているという。福井次矢院長は「最新の治療について調べ、多職種での話し合いが必要。医師は無駄に病院にいるわけではない。国として医師の労働とは何か基準を示すべきだ」と話す。
 宮崎の3県立病院は昨年、当直を労働時間に入れるよう求められた。病院局の担当者は「労働時間に入れると、今度は超過勤務の違法状態になる」と頭を抱える。佐賀県医療センター好生館(佐賀市)も4月、当直について勧告を受けた。2人の従業員が月200時間を超す勤務をしていたとして勧告を受けた関西電力病院(大阪市)は4月、医師の書類作成を補助する人員を増やした。
 政府が3月に公表した働き方改革実行計画は、時間外労働を罰則付きで規制する方針を示す。ただし患者の急変への対応や救急という特殊な業務を担う医師には、5年間の猶予期間を設けた。厚生労働省の検討会で今後、対策を議論する。


>働き方改革で激論!医師は労働者ではない? 日本医師会・横倉会長に発言の真意を聞く(東洋経済オンライン 2017年05月18日)
http://toyokeizai.net/articles/-/172287

大室正志『産業医が見る過労自殺企業の内側』(hamachanブログ・EU労働法政策雑記帳 2017.6.27)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-da2d.html
これは本屋で見かけてすぐ買った本です。著者の大室さんは産業医科大学を卒業後、産業医として活躍してきた方で、現在30社の産業医を担当しているミスター産業医です。その人が、時代にどんぴしゃの本を出すというのは出版戦略として見事という感じです。
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0885-i/
時流に乗った本という印象ですが、第1章「産業医とは何をするのか?」で産業医についてきちんと説明し、会社と社員に挟まれた時にどう判断すべきなのかを正面から述べているなど、とてもしっかりした本でもあります。考えてみれば、産業医そのものを取り上げた新書本って今までなかったような。
「おわりに」で、残業上限規制批判論についてこう述べています。こういう冷静な議論が必要ですね。
・・・また残業上限規制を批判する人の中には、「好きでやっていること」を規制するのはナンセンスという意見も根強く存在します。この意見は一部賛同できる部分はありますが、制度というものは何を選択するにせよ必ずマイナス面を伴うものです。残業の上限規制にもマイナス面はあるが、しなかった場合のマイナス面と比較し、「どっちがマシか?」で判断する問題と考えるべきでしょう。これまで数多くの過労死・過労自殺を生んでしまった制度を改めることに対して、「好きでやっている人への抑圧になる」という意味で批判する意見には、社会全体の「どっちがマシか?」で考えた場合やはり賛同できません。・・・
・・・長時間残業もタバコと同様、エビデンスがはっきりしている「身体に悪い行為」です。タバコと同じく我々には一定程度、「身体に悪くとも行う自由」は保障されるべきだとは思います。一方でそれを公的に推奨したり、強制することを是とする雰囲気はあってはならないものであると考えます。
企業家が自分の意思で行う長時間労働はタバコと同じく、ある意味「嗜好品」ですが、公的に認められてしまった長時間労働は、非喫煙者に対して喫煙車両に乗ることを強制するようなものです。この辺りは「タバコのマナー」と同じく、今後、長時間労働に関しての「社会的相場感覚」が変化することを期待したいと思います。・・・
なお、大室さんが登場するこの記事も参照。
https://mirai.doda.jp/series/interview/masashi-omuro-2/(「好きで長時間働くのがなぜ悪い!」という人に産業医から伝えたいこと)



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