UIゼンセン同盟AOKI争議の解決に喜びつつ

連日、連合本部への注文ばかり書いているようで、ある方からは「小言幸兵衛」「黄門」呼ばわりされた。そんな意識は毛頭(自分でこの言葉を打つと不思議に悩む…笑)無いが、OBの立場は何も言わない方がいいというほど、最近の労働運動の現状は楽観視できるだろうか。逆に、言わざるをえない現状、あまりにも危機感が欠落している実態に、躊躇せず発言を続けていきたい。とはいえ、労働委員の任期も後3ヶ月となり、まぁお見逃しいただきたい。

たまには、嬉しいニュースをひとつ。すでに連合通信でご覧になった方も多いと思うが、UIゼンセン同盟のAOKI争議が解決した。争議の詳しい内容は昨年10/19の自分のブログをご参照いただきたい。
http://53317837.at.webry.info/201010/article_19.html
とりあえず「連合通信」の記事を全文紹介する。

>110811・経営側が組合つぶしを反省/AOKIの争議が解決/労使関係の再構築へ
 昨年来激しい労働組合つぶしが行われていた紳士服大手「AOKI」の争議が解決した。神奈川県労働委員会で8月1日、労使の和解が成立。創業者で経営の実権を握る、持ち株会社の青木拡憲会長が出席し、組合への一連の介入を不適切だったと認めたうえで、「遺憾の意」を表明し、組合再加入への最大限の協力を約束した。
 同社は昨年6月から、管理職が遠隔地配転をちらつかせながら組合員への脱退工作を繰り広げ、約1600人いた組合員数は一時約260人にまで急減。UIゼンセン同盟専門店ユニオン連合会AOKIグループユニオンが神奈川県労委に救済を申し立てていた。
 和解内容は、会社側が過去の脱退勧奨を「不適切」と認め、組合員への不利益扱いを行わないことや、労使協議の定期実施、「組合再加入への最大限の協力」などを約束。再発防止措置をはじめ、本社内に初めて組合事務所を設けるなど、組合側の主張を全面的に認めるものとなった。
 同社には元々、組合はなかったが、買収先企業にあった組合が「AOKIグループユニオン」に衣替えしてできた。組合員が過半数に迫ろうとしていたところ、次男への代替わりを進めた創業者らが、組合つぶしを始めたのである。
 同ユニオンの柴山敏郎委員長は「働く皆さんの不安を払しょくでき、多くの仲間に戻ってもらうためのスタートラインに立てた。民主的労使関係の確立をめざしたい」と和解を歓迎した。組合員は現在、約400人。秋から再加入の働きかけを本格化させる。
●〈解説〉グローバル時代を象徴する争議解決
 争議解決を後押しした力の一つに、「社会的責任投資(SRI)」という、近年広く定着しつつある国際的な投資ルールと圧力があった。「社会的責任投資」は環境や人権、労働に配慮する企業に投資を促す考え方。逆にいえば、これらの普遍的価値をないがしろにする企業には投資しないということになる。そのような会社はたとえ短期的に大きなリターンを見込めても、長期的には経営の不安定要素が多く、投資先として「不適格」と判断される。
 争議開始後しばらくして、北欧の「社会的責任投資」を調査する会社がUIゼンセン同盟本部とAOKIに調査を開始。約5カ月後の今春、重大な労働問題を起こしている企業だとして、クライアントに警告を発していた。
 「投資先不適格」の認識が国際社会に広がることは、「AOKI」にとっては今後、投資を呼び込みにくくなることを意味する。「暴君」が一転、「パートナー」に立ち位置を変えた背景には、このような事情があったと、UIゼンセン幹部は指摘する。
 業界2位のシェアを持ち、創業者一族が絶大な力を持つ経営は、国内では怖い物知らずでも、国際社会のルールを突きつけられれば、襟を正さざるを得なかったということ。国際労働団体「UNI」の支援も後押しした。露骨な団結権侵害を行う企業は国際社会から「投資先不適格」のらく印を押され、早晩行き詰まりを迎えざるを得ない。グローバル時代を象徴する解決だったといえる。
AOKI争議の経過
2010.6 管理職による脱退勧奨強まる
    .7 団体交渉を求めたが、先延ばしに
    .9 神奈川県労委に救済申し立て
    .10 組合員数255人に激減
       スウェーデンのSRI(社会的責任投資)調査会社が事実関係の調査を開始
    .11 UNIのジェニングス書記長が抗議書簡を提出
2011.6 神奈川県労委で和解案が提示される
       組合員数約400人に回復
    .8 労使が和解協定書に調印
社会的責任投資とは、株主としての立場・権利を行使して、経営陣に対し、CSRに配慮した経営を求めていく投資のことを言う。


CSRは理解できるが、不勉強でSRIは知らなかった。ウィキリークスで調べても、そこまで権威があるとは、なかなか理解できなかった。冒頭、こう説明されている。

>一般には、社会的責任投資(SRI:Socially responsible investment)とは企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)の状況を考慮して行う投資のことである。広義には企業の経済状況以外の社会的価値観に基づいて投資先を選択して投資する手法もSRIと呼ぶ。このようなSRIの代表的な例としては、キリスト教やイスラム教などの宗教団体が投資を行う際に、各宗教の教義にそぐわない企業を投資先から排除したものが挙げられる。
 研究者等の間では、企業・組織・人々等に社会的な存在としての責任を果たさせようとするために行う投資全般をさし、健全なお金の流れを造ることによって持続可能な社会を構築することを目的としたものと考えられている。社会的責任の評価基準の例としては、法令順守、労働等組織内の問題だけでなく、環境、雇用、健康・安全、教育、福祉、人権、地域等さまざまな社会的問題への対応や積極的活動が挙げられている。なお日本国内のSRI資産残高は約5,787億円(2009年)で推移しており、アメリカでは2兆7,110億ドル(2007年)、ヨーロッパでは2兆6,654億ユーロ(2007年)。2010年3月末時点で運用されている日本のSRIとその資産残高は6,148億円、ファンドの本数は88本。<以下・略>


「連合」結成以来、連合本部として全国的に争議等で支援要請した事件は数えるしかない。東急観光は、支援の結果、勝利解決できたが、マクドナルドの結成など、不調に終わったケースもある。このAOKI事件も、ゼンセンが総力をかけたが、「連合」支援にまでは至らなかった。担当したT弁護士から、いずれ詳しい話は聞けるだろうが、神奈川県労働委員会の和解にむけた努力が実ったものと個人的には判断する。和解の場所に労使関係、及び会社の将来に不安をもつ会長が出て、解決決断をはかったことが、ウラの様々な事情を物語っている。組合つぶしをはかった社長がこれからどのようなリベンジを行ってくるか不安は尽きないが、組合員を拡大していくしか道はない。以前のブログでも少しだけ書いたが、以前「東洋経済」はこんな文書を掲載した。個人的に紹介して良いか悩む文章だが、倉庫から取り出し掲載してみる。組合づくりのやり方、ナショナルセンターの支援のあり方など。本来は議論をしたい内容だ。「連合」の中で、組織拡大といえばUIゼンセン同盟といわれるが、その取り組み内容は他の組織とは異なる。しかし、その強い意識と成果は他の追従を許さない。しかし…UIゼンセンでも、このまま企業別労働運動に埋没していていいのか、との議論はあった。今はどうなのだろう…。

>労働組合は本当に労働者の味方か? 問われる存在意義《特集・雇用壊滅》(2) - 東洋経済09/02/20
○ユニオンショップで組織化 不当労働行為との命令も
 昨年2月、紳士服のコナカ各店舗に、UIゼンセン同盟コナカユニオンの結成報告や規約、暫定労働協約などが郵送されてきた。手にした従業員が驚いたのが「暫定労働協約」の3条だ。「会社は組合に加入しない者および組合より除名された者は原則として解雇する」とある。さらに1条には「会社はこの組合が労働条件に関する唯一の交渉団体であることを認める」とも。これでは、この組合に入らないと解雇されると理解するのが通常だ。
 だがコナカには、すでに1年前に全国一般東京東部労組コナカ支部が結成されている。同労組はいち早く店長への残業代不払いを問題視。日本マクドナルドの例と並んで、「偽装管理職」問題として大きく社会問題化した。この結果、不払い残業代13・7億円の支払いなどの成果を上げた。そうした成果を根こそぎさらわれてしまった格好だ。
 「君の組合を売ってくれないか」。00年9月、介護サービス会社コムスン(当時)の樋口公一社長は、結成された労組の委員長に切り出した。委員長が拒否すると、「明日から戦争だ」と告げた。翌日から組合活動の中心だった九州事業部に「UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン」と名乗る職員が乗り込んできた。同時に、約1万人の全従業員の個人宅に会社封筒で、このクラフトユニオンコムスン分会の加入用紙が郵送され、社長の推薦状も同封されていた。
 こうした組織化が不当労働行為と認定された例もある。05年11月、置き薬販売の明星薬品の社員6人が、社長の指示でゼンセンの組合員と労組の結成についての会合を持った。当時、複数の社員が地域労組の天六ユニオンに加盟し、労使対立関係にあった。社員が新組合結成は社長からの要請かと問うと、ゼンセン組合員は「平たく言うとそのとおりです」と答え、天六ユニオン排除が狙いだという点も認めた。大阪府労働委員会は以上の事実を認定し、「会社は組合の弱体化を図るため、社外労組に支援を求めて、新たな労働組合の結成に関与したものといえ不当労働行為だ」と結論づけている。
 札幌市で老人ホームを運営する社会福祉法人ノテ福祉会では、理事長が経営する老健施設の事務長を委員長として、ゼンセンが組合を結成。すでに存在した札幌地域労組の支部を施設長など幹部総出で切り崩していった。北海道地方労働委員会は「(ノテ福祉会は)UIゼンセン同盟オール・ノテ・ユニオンの組織拡大を支援したり、同組合を美化したり、職務上の立場を利用して職員を同組合へ加入させる行為を容認するなどしてはならない」と命じた。
 ゼンセンの組合立ち上げの特徴的なパターンは「唯一の交渉団体」「加入しない者・除名された者を解雇」(ユニオンショップ協定、以下ユ・シ協定)と明記した暫定労働協約を社員に提示し、時には職制も活用して組織化を進め、過半数を握ったら会社と正式に労働協約を締結し、名実ともにユ・シ協定を獲得するというものだ。
 ユ・シ協定を“活用”した組織化に関して、近畿大学の西谷敏教授(労働法)は、「解雇の脅威によって労働者に組合加入を強制することは、個人の自由を保障する憲法の基本理念に反する」と批判する。判例法理によって、他労組に加入している者を解雇することはできないとされるが、「事情を知らない従業員には依然脅威だし、労組の圧力で実際解雇に踏み切ってしまうケースもある」(西谷教授)。コナカでも社員からユ・シ協定に関して不安の声が上がったが、ユニオンは同制度の意義を説くにとどまった。またJSGUのグッドウィルエンジニアリング(当時)分会の組合員が脱退しようとすると「ユ・シ協定を締結しているため脱会できない」と告げられた。
 こうした批判に対し、橋本副書記長は「組合の作り方を問題にするよりも、できた後にどうやって労使対等な関係を作れるかが重要だ」と意に介さない。だが「できた後」の対応にも不満の声が上がる。
 派遣会社CSIの技術者の男性は、昨年11月、次の派遣先が見つからず「待機」状態にあったとき、上司からパワハラを受け退職届を書かされた。JSGUに電話相談したものの、たらい回しにされた揚げ句、「上司にもう一度相談したら」と助言されただけだった。また今年1月、JSGU高木工業分会は組合員に対して、経営が厳しいため慣れない仕事や嫌な仕事であっても引き受けるよう提言、「間違っても他の労働組合に駆け込まないで下さい。不幸な結果を作るだけです。何の解決にもならないばかりか、次の就職にも悪影響がでます(本人の将来を台無しにします)」と“助言”までしている。

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