ITUCがTPPは危険だと言っているのに「連合」は?

どう考えても理解できない野田首相のある主張を、AERA今週号のコラム「MONEY」欄でも指摘していた。どこでの発言だが探す気も起きないが、最近は「消費税は最も公平な税金である」との趣旨の発言を繰り替えしている。野田首相がそう言っているということは、財務省の官僚がそう言わせているのだろうが、そこまで官僚も劣化したのか。消費税は「逆進性の課税」であることは「常識」だと思ってきた。高額所得者にとっては負担感は少ないが、低所得者にとっては負担感が大きい…所得再分配機能よりも大衆収奪機能を重視する、「不公平な金持ち優遇税制」が消費税であることは「常識」ではないか。それが「最も公平な税制?」…いや驚いた。

とにかく原発再稼働にしても、PAC3沖縄配備にしても、米国の要請と官僚の指示通りに野田政権は動き、何らの主体性もそこにはなく、それを政・財・官・学・メディア、さらには労働組合までもが「原子力村」さながらに追従・後押ししている。そして労働組合にとって、本来最も注視しなければならないのがTPPだ。これも、ほとんど報道されていないので、あらためて紹介する。

◆「危険な方向に向かっている」/国際労働団体が警鐘鳴らす/TPP9カ国の交渉内容(連合通信12.3.15)
 ITUC(国際労働組合総連合)は3月11日、米国やオーストラリアなど9カ国が進めているTPP(環太平洋経済連携協定)交渉の内容について、「危険な方向に向かっている」と警鐘を鳴らした。
 3月1日から9日間、オーストラリアで開かれていた11回目のTPP交渉参加国会議を受けてコメントしたものだ。
 ITUCは、「各国政府は多国籍企業に国の主権を譲り渡そうとしている」と指摘した。外国の投資家がその国の環境保護政策などによって「利益を得られなかった」場合、その政府を訴えることができるのがISD条項。投資家らはこの条項を正式に盛り込ませるため、積極的に動いている。
 シャラン・バロウ書記長は「相手国の国民の健康を犠牲にして、製薬メーカーに薬価値上げを保障する仕組みも作ろうとしている。信じがたいことだ」と厳しく批判した。
●雇用への悪影響必至
 労働組合が懸念しているのは、雇用と賃金など労働条件へのマイナス影響だ。 
 TPP交渉で対象になっているのは、農業分野だけでなく、投資、金融サービス、薬、医療・保険制度、知的財産権、政府調達の公共事業、国有企業など。一国内の制度全般を外国企業や投資家に開放するという内容だ。大掛かりな規制緩和要求ともいえる。
 このため、雇用や労働条件への悪影響は必至というのが、国際労働団体の見方だ。昨年来、TPP交渉参加国に対しては、雇用や労働条件への悪影響を防止するための措置(国をまたいだ労働事務局の設置など)を求め続けてきた。
●労働問題は後回し?
 今回開かれたオーストラリアでの会合に対し、国際労働団体などはロビー活動を展開した。現地で政府交渉担当者らに働きかけを行ってきたという。
 しかし、ロビー活動をしても、「交渉担当者の間で労働問題の優先順位は低い」「労働問題を扱わなければならないとは考えているが、労働者への影響調査などを真剣にやるつもりはなさそうだ」との感触が返ってきている。
 6月にロシアで開かれるAPECの貿易担当大臣会合までに交渉をまとめるという情報もある。労働組合は「交渉内容は複雑さを増しており、6月なんてとても無理」と述べつつ、警戒を強めている。
「連合通信・隔日版」

◆「国内ルールがズタズタになる」/東大大学院の鈴木宣弘教授/TPP参加の危険性を力説(連合通信12.3.15)
 TPP(環太平洋経済連携協定)反対の急先鋒の一人、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏が3月12日、連合通信社の情報懇話会で講演した。テーマは「TPP推進論を切る」。政府の対応と主張を厳しく批判しつつ、「TPP参加にストップをかけるため、皆さんも覚悟を決めて運動してほしい」と呼びかけた。
●安全や環境も犠牲に
 TPPに入るとどうなるかについて、鈴木教授はこう語った。
 「農産物などの関税ゼロに例外は設けられない。第一次産業がつぶれ、加工や輸送などの関連産業もダメになり、地域コミュニティーは崩壊する」
 「健康保険や郵政、遺伝子組み換え表示をはじめとする国内ルールが、米国によってズタズタにされる。安全や環境、平等にかかわるルールが無事では済まなくなるのだ。米国はNAFTA(北米自由貿易協定)でカナダやメキシコをいじめたように、ISD条項を乱用するだろう」
 ISD条項は、「政府の政策で不利益を被った」として、外国の投資家などが相手国政府を訴えることができると定めるものだ。
●お粗末な日本政府
 政府は「とりあえず中に入って交渉する」と説明しているが、鈴木教授は「そんなことができないのは、政府も分かっているはず。ルールは交渉参加の9カ国が決める。日本はそれに従うだけ」と断言した。 
 仮に参加した場合、日本のメリットは年2700億円程度という政府の試算を挙げて、「それより日中、日中韓、さらにASEANとの貿易の方がはるかに大きい。アジアの分断を図りたい米国に尻尾を振っている日本は、世界でバカにされている」と嘆いた。
●連合に苦言
 国内では44の県議会と8割以上の市町村議会がTPP参加に反対している。国会議員の半数以上も反対・慎重とのスタンスである。 
 こういう世論状況の中で参加に向けて突き進むのは「民主主義国家とは言えない」と指摘。日本の民主主義が問われているとしたうえで、「この問題は、一生懸命やったけどダメでしたでは済まない。皆さんも覚悟を決めて運動してほしい」と呼びかけた。
 連合のスタンスについては「どうしてTPP反対と言ってくれないのか。連合が反対すれば大きな影響があるはず」と述べた。
◆〈メモ〉日本はカヤの外(連合通信12.3.15)
 昨年11月にハワイで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の場で、野田首相がTPPに参加したいと表明。それから、交渉参加の9カ国と話し合いが行われ、現在は米国、オーストラリア、ニュージーランドと個別に事前協議を進めている段階です。 
 ポイントになるのが米国との事前協議。3―6月がヤマ場になると見られています。
 一方で9カ国は着々と協定内容の議論を行っています。3月にはオーストラリアで第11回会合を開催しました。協定内容の合意に向けて作業が進んでいるのです。これから日本が要求を通すのは常識的には無理。「日本は9カ国の合意内容を押し付けられるだけ」(鈴木宣弘教授)という指摘は、時間の関係からみてもその通りでしょう。


「連合」は、企業や民主党の言いなりになることなく、すでに先行しているNAFTAなどで何が労働者にもたらされたのか、きちんと自分で検証すべきだ。「NAFTAは、結果的にメキシコで300万人、アメリカで200万人の失業者を出し」た。(堤未果『政府は必ず嘘をつく』角川新書73P) ぜひともITUCの警鐘に答えてほしい。

最後に、今日も原発再稼働問題に触れざるをえない。今日は、昨日柳美里さんのツイッターに紹介されていた方のツイッターを紹介したい。本来であれば、つぶやき順にすべきだが、掲載のまま紹介する。http://twitter.com/#!/ogawabfp

>○福井県の方々へ。大飯の再稼働は自信を持って止めてください。原発停止に伴って起きてくる雇用、地域産業、まちづくりの問題は、県民、国民で復興アイディアを出し合えば必ず活路が開けます。原発と心中、停止後の衰退、どちらでもない第三の道が必ずあります。
○福井県の方々へ。大飯の地元は「いまさら騒がれても」と再稼働以外道がない空気が覆い尽くしています。しかし、交付金でまちづくりをする時代はすでに終わっています。眼を凝らせば各地に「あるものを活かした」地域復興の成功例はたくさんある。 http://t.co/5sdqX7j4
○加圧水型原子炉で起きるこの蒸気発生器細管破断は、津波がこなくても起きる。地震はきっかけになるかもしれない。いや、地震がなくても、単に「古い」だけでおきる。この間再稼働議論で、政府の人間が蒸気発生器に触れた発言を聞いたことがない。わかってんのか。
○大飯原発の再稼働をめぐって、国と電力はバカ(原文のママ)のように、津波、津波と言っているが、加圧水型で最も危険なのは、蒸気発生器だ。沸騰水型の再循環ポンプと同様の、この原子炉最大の「泣き所」だ。5円玉と同じ直径の細管1本が破断しただけで、大事故の幕があく宿命を持っている。
http://t.co/Dl55GnrP このまま突き進んでいくと必ず日本人は2回目の大事故を引き起こす。今日の経団連・米倉の原発再稼働歓迎発言を聞き、私はこの国の人間は戦時中とまったく変わっていないと思った。
○東西の原発銀座。私の既視感。福島で事故が起きると、その次に事故が起きるのは福井なのです。89年に福島第2の3で「再循環ポンプ破壊」という世界に例のない事故が起きた。その2年後、91年に福井の美浜2号で「蒸気発生器細管のギロチン破断事故」が起きた。単純だ、数が多い県から起きる。
○福島第一の事故は終わっていないが、少なくともこの1年「圧力容器の破壊」を免れた事で、私は直感で思った。「日本人は再度原発を動かして同じ過ちを起こす。どこかの県で圧力容器が大破するまで運転し続ける」。福島がそこまで行かなかったのは幸運だ。しかしこうした幸運を日本人は勘違いする。
○チェルノブィリ事故以後原発反対の考えをもってきた私には、ある既視感がある。それは広島、長崎に2回落とされた原爆とよく似ている。
○経団連がここまで原発再稼働をしたがるのは中枢の原発関連企業が困るからと解釈できる。これも戦争末期と同じだ。当時軍艦製造に夢中になっていた企業が、いま原子炉起動に夢中になっている。原子炉1基で100年喰える。(週刊ダイヤモンド) http://t.co/A31ep0dW
○国と経団連は大飯原発を皮切りに本気で原発を再稼働するつもりだ。ここで止められなければこの国は終わる。今の状況は太平洋戦争末期に歯止めが利かずに破滅にまっしぐらと進んだ状況によく似ている。
○ここまで露骨に表現されると、原発は誰の為に動いているのか、明快になる。日本では恐らく原発事故も「2回」起こる。“@i_jijicom_eqa: 政府協議、「極めて大きな前進」=大飯再稼働で−経団連会長 http://t.co/SrRyMkV0 #jishin #jisin” Permalink - 2012年04月09日


終わろうかと思ったが、「労働情報」編集部に寄せられた一本のメールも紹介しておく。平和の島・宮古島からの報告に涙と微笑みがにじんだ。この国は、住民の意見を聞くなどという「文化」自体がないのだ。労働組合役員が組合員や労働者の意見、悲惨な実態を「無視」するのも当たり前なのかもしれない…

>【宮古島より全国のみなさんへ】4・8「宮古島を軍事の島にしないで!市民集会」と「平和アピール行進」の報告     「宮古島を軍事の島にしないで!」市民集会実行委員会 清水早子
 沖縄からさらに南の離島である宮古島。平穏な人口5万弱の島に、持ち込まれた日本国・防衛省の迎撃ミサイルPAC3、2基。
 日本全国右旋回、3・11震災以降、「自衛隊」がヒールからべィビーフェイスに様変わりし、政府とマスコミが「北朝鮮からミサイル攻撃」という脅しをあおる大合唱の中、私たちは、4月8日、「宮古島を軍事の島にしないで!市民集会」(北朝鮮のロケット発射とPAC3の配備に反対しよう!)を開催しました。
 ささやかでも島の平和を守りたいと、急ごしらえの市民集会、30名集まってくれることを願って呼びかけをしていましたが、ふたをこわごわ、いいえ、開き直って、開けてみると60名の老若男女、0歳児から80歳代までが結集!
 1000万都市に換算すると、12000人の大集会。ヨッシャ!沖縄島から、辺野古からも、5名が加わり、うれしい予想外。
 集会後、「平和アピール行進」と名づけて、レインボウカラー七色の横断幕「PAC3いらん」や「穏やかな島の平和を継ぐために」をみんなで手にし、若い人たちは、あるいはブラジルの楽器を手に手に、 あるいはおさなごを抱いて、
ラップ風に、ビヨヨ~ンという音色をバックに、「PAC3イラナイ!じえいたいイラナイ!」イェイ!イェイ! とおじいもおばあも踊りださんばかり、個性的かつ斬新なアピール行進をしながら、家々にはチラシをポスティング、道行く人々には手渡しながら、1時間半の市内パレードを貫徹しました。
 「人口衛星は落ちてこないよ!」 「物騒なのはPAC3!」 「安心と安全は自衛隊では買えません!」 「復興に回してよ、MD防衛費6兆円!」 「平和な島でしないで、軍事訓練!」 南の島に陽は落ちて、私たちの声は響いていました。
 全国のみなさん、政府・防衛省は、沖縄の基地負担軽減どころか、琉球弧・南西諸島全域を軍事要塞化しようとしています。南の島々の軍事力強化は日本全域の軍事国家化のさきがけなのだということ、戦争に向かう国づくりなのだということに、しっかり目を向けてください。
●宮古島を軍事の島にしないで!市民集会・決 議 文
 日本政府は朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮という)の「衛星」打ち上げに対する迎撃態勢を敷き、迎撃ミサイルを装備したイージス艦を海上に、地上発射型ミサイルパトリオット(PAC3)を、沖縄本島、石垣島、宮古島と首都圏に配備し、破壊措置命令を出した。
 ここ宮古島市には、PAC3、2基を搭載した車両など28台が上野野原の自衛隊基地に配備され、海上自衛隊と航空自衛隊員200名が配置されている。さらに陸上自衛隊の救援隊36名が陸自ヘリで宮古空港に輸送され、陸自UH60ヘリが宮古空港旧ターミナル跡地に常備されている。石垣市では、自衛隊員が実弾入りの拳銃を携行し、住民を危険視している。
 また、政府は県下市町村を巻き込んだ「戦闘態勢」ともいえる全国瞬時警報システム(J-アラート)を災害以外で初めて運用をし試験放送の場に自衛隊員が立ち会うなど、異常な態勢をとっている。
 これらの実態を見れば、政府は北朝鮮の「衛星」打ち上げを口実として、国民の不安をあおり、軍事訓練を実施し、自衛隊を市民に認知させようとしている。これは「防衛大綱」による先島地域への陸上自衛隊配備の「地ならし」
「予行演習」に他ならないことは明らかである。
 県民は沖縄戦の教訓から、軍隊は住民を守らないことを学んでいる。私たちは、北朝鮮の打ち上げに断固反対すると同時に、政府のこのようなPAC3配備をはじめとする「軍事的行動」に断固反対するものである。
以上決議する。
 2012年4月8日 「宮古島を軍事の島にしないで」市民集会

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