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zoom RSS 最高裁の非正規判断報道に労組が登場しないわけ

<<   作成日時 : 2018/06/03 05:28   >>

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注目された6.1最高裁の判断だったが、やはり…の結果。長澤運輸の労働者が争った定年後再雇用の賃金大幅減額判断の壁は厚かった。しかし、ほとんど全てのメディアがこの提訴が全日建建設運輸連帯(連帯ユニオン)という労働組合によるものであることをスルーしている。個人で最高裁まで争えるはずはないし、多くの支援の力があるからの「運動」だが、そこに視点は何故か置かれない。そして労働組合のコメントも紹介されない。自分は再雇用を断って退職したが、多くの仲間は同じ仕事をしながらも賃金が半減する再雇用を受け入れている。ほとんどの労働組合が闘えなかった結果がこの判決をもたらしている。とはいえ、ハマキョウレックスの判断を含め、この判決は活用できる。どう職場で活用するかに視点を据えたい。判例や法律は、運動が無ければ画に描いた餅にすぎない。

4/24の本ブログでこの判決にむけた集会における宮里弁護士のコメントを勝手に紹介した。未だ判決文を読んでいないが、労契法20条をこれからどのように活用していくのか、労働運動が問われている中で、再録しておきたい(次号の「労働情報」誌で活用するために…)。当然ながら、労組内部で活発な議論があって然るべきだが、条文を何ら活用できていない現状を承知で期待したい。

>労契法20条は重要だが条文自体はあいまいであり、その結果下級審での判断が分かれてきた。その是正のために最高裁として統一的な基準を示そうとしている。予想される「判断」としては以下の点が考えられる。、
@20条の立法趣旨を「厳格」にとらえるか、緩やかにとらえるか。
A条文の解釈をどこまで拡げるか。争われている定年再雇用問題にとどめるのか、さらに多くの非正規との格差に踏み込むのか。
B有期契約・非正規労働者と正社員など無期契約の労働者の間で「仕事の内容や責任などが同じならば、期間の定めがあることを理由に、賃金や福利厚生などの労働条件に不合理な差をつけることを禁じる」というが、この「不合理」とはどこまでをいうのか。菅野さんをはじめ「法的に容認できないような不合理」と「限定」する方向が示されているがもっと拡げるのかどうか。
C非正規・有期契約の労働者と比較するのは、同業種の正規社員なのか、メトロコマースの不当判決のように社内のあらゆる正社員と比較するのか。
D事件の個々の状況に対応する個別的な内容なのか、総論として判断するのか。
E違反した場合の是正や賠償の範囲や程度はどこまでを認容するか。
 とにかく今日報告された6つの事件以外に労組が絡んでいない事件をふくめても10件程度しか裁判になっていない。20条違反は凄まじい数にのぼるはずだが、争われていない。それが何故なのか考えて欲しい。労働者が諦めているのか、ダメなのか。労働組合が機能していないからなのか。経営者が圧倒的に抑えこんでいるからなのか。
 20条は職場の運動があってこそ活用できる条項だ。これは裁判規範ではなく運動規範なのだ。ぜひとももっともっと活用して欲しい。
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newscaredisplay.do


様々なコメントが各紙に載っている。緒方桂子さんはTwitterで<ハマキョウレックス事件。最高裁、控訴審で認められなかった皆勤手当の部分について、破棄差し戻し。当初の請求のうち、住宅手当以外、すべて認められることになる。皆勤手当の不支給を不合理と判断した理由は、「出勤する者を確保することの必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない。」 高裁に提出した意見書に書いた内容が採用されたようで、嬉しい。長澤運輸事件。最高裁は、精勤手当部分について支払を命じ、超勤手当の計算に関する部分について高裁差戻し。いずれにしても労働者完敗だった高裁判決を一部ひっくりかえした。なお、賞与の部分が認められなかったが、その理由はいまひとつ釈然としない>と書かれていた。東京新聞には水町さんのコメントが載っていて<「同一労働同一賃金の考え方に沿った内容だ」と指摘。「法律の成立を待たず、企業は早急の対応を強いられる>と。なお、東京新聞ではこの後に石崎信憲弁護士のコメントで<「会社側の経営判断や労使交渉で決めた経緯などが尊重された判断」「企業は慌てて対応に追われる必要はない>と。本来であれば連合など労組のコメントがこの後にあって然るべきだが、見当たらなかった。言える立場でないが(苦笑)。

とにかく、いくつか記事を添付しつつじっくりと考えたい。

(時時刻刻)待遇改善、迫られる企業 皆勤手当の差「不合理」、住宅は容認 最高裁、個別に判断示す(朝日新聞 2018年6月2日)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13522129.html
 非正社員が増え続けるなか、正社員との待遇格差が不合理かどうかについて、最高裁が1日、初判断を下した。国会で審議されている、働き方改革関連法案とも関連する内容。企業も対応を迫られるなど、影響は広がりそうだ。
 正社員と非正社員の待遇の差は、どのような場合に「不合理」となるのか。1日の最高裁判決は「賃金の総額を比較するだけではなく、手当など項目の趣旨を個別に考慮すべきだ」との判断を示した。場合によっては、別の賃金項目の有無や内容も考慮して、正社員と非正社員との間の差について判断すべきだ、という立場だ。
 争点となった労働契約法20条は、正社員と非正社員の待遇の差が「不合理な格差」にあたるかどうかは(1)仕事内容や責任の程度(2)配置転換の範囲(3)その他の事情――を踏まえて判断すると定める。最高裁は、1日に判決があった二つの訴訟の原告について、(1)はどちらも正社員と差がないとしたが、(2)や(3)については雇用形態などを踏まえ、判断が分かれた。
 物流会社ハマキョウレックスの彦根支店(滋賀県)で契約社員として働くトラック運転手の池田正彦さんが起こした訴訟の判決は、「安全運転の必要性は正社員と変わらない」「勤務時間中に食事が必要な労働者に支給するのが趣旨だ」などとして、無事故手当や給食手当など5手当の差は不合理だと結論づけた。
 一審は通勤手当だけを不合理としたが、二審では4手当を不合理と認定。最高裁はさらに、出勤を奨励する趣旨の皆勤手当についても「出勤を確保する必要性は正社員と差はない」とした。給与規定などを踏まえ、個別の手当の趣旨や目的、内容をより詳細に検討した結果、上級審に進むにつれて、不合理と認める範囲は広がった。
 ただ、住宅手当については(2)を踏まえて判断。転居を伴う異動がある正社員が受け取れ、勤務場所の変更や出向がない契約社員が受け取れないのは「不合理とは言えない」とした。
 一方、長沢運輸(横浜市)で定年後に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が起こした訴訟の判決で最高裁は、精勤手当について「従業員に出勤を奨励する趣旨で支給されるものだ」と指摘。仕事の内容が同じ以上、嘱託社員に支給しないのは不合理だと判断した。
 判決は、再雇用者については、定年までに正社員として賃金を受け取ってきた▽通常は長期間雇用することが予定されていない▽一定の要件を満たせば年金の支給を受けられる――といった点に着目。こうした点を(3)の「その他の事情」として考慮すべきだと判断した。そのうえで、嘱託社員と正社員の具体的な賃金格差などを検討し、賃金格差の大半については「不合理とはいえない」と判断した。
 ■判決、「働き方」指針案を先取り
 今回の最高裁判決は、企業に大きな影響を与えることになりそうだ。
 非正社員の待遇改善を図る同一労働同一賃金は、政府が今国会に提出した働き方改革関連法案の柱の一つだ。労働契約法の改正案などが含まれており、今国会で成立すれば、大企業は2020年4月、中小企業は21年4月に適用される。
 非正社員と正社員の待遇差が不合理かどうか判断する際の基準を明確化する点が、大きな特徴だ。改正法の成立後に、どういう待遇差が不合理になるのか、手当ごとなどに具体的に示すガイドライン(指針)が策定されることになる。
 政府が16年12月に公表した指針案では、「将来の役割や期待が異なる」といった抽象的な理由では、待遇格差を設ける根拠にはならないとの考え方を示した。
 1日の最高裁は、基本給や賞与、手当など一つ一つの性質や目的を明確にし、それぞれの目的などに応じて個別に不合理かどうか判断した。指針案に沿った考え方だ。
 水町勇一郎・東大教授(労働法)は「一つ一つの手当について、丁寧に検討している。住宅手当は正社員だけに支払うことを認めてはいるが、『長期雇用のインセンティブ』といった、抽象的な理由ではないことが特徴だ。法改正や指針の内容を先取りした判断で、企業実務への影響は大きい」と指摘する。
 法律が適用される時期を見据えて対応を検討している企業も、判決を受けて、法改正を待たずに労使交渉などで格差是正を求められる可能性がある。
 一方、指針案では定年後再雇用の非正社員については、判断基準が明記されていない。長沢運輸訴訟で、一審と二審の判断が異なったためだ。最高裁判決は、定年後に再雇用された非正社員に、雇用期間の定めの有無で労働条件に不合理な格差をつけることを禁じる労働契約法20条が適用されると認定した。このため、指針の対象に含まれることになり、判決内容を踏まえて議論されることになる。
 ■非正社員水準に下げる例も
 大企業の中にはすでに、働き方改革関連法案の動きを見据え、正社員と非正社員の手当の格差を見直す動きが出ている。
 非正社員が数万人規模で働くNTTグループは、正社員に支給してきた食事補助を廃止。代わりにフルタイムの契約社員も対象に加え、生活支援を名目とする手当を昨年新設した。さらに今年5月からは福利厚生制度も、健康管理のメニューを中心に正社員の制度にそろえた。
 こうして正社員の水準まで非正社員の待遇を引き上げることを政府は想定するが、逆のケースも出てきた。
 全社員の半数近い約20万人の非正社員がいる日本郵政グループは、一部の正社員を対象に今年10月から住居手当(年間最大32万4千円)を10年かけて廃止すると決めた。住居手当を受け取れなくなる正社員は約5千人。転居を伴う転勤のない「一般職」と呼ばれる人たちだ。非正社員には転勤がなく住居手当もない。
 連合傘下の労組幹部は「経営側が正社員の手当を下げ、非正社員に合わせる不利益変更を持ち出さないか、今後は注視していく必要がある」と指摘する。

非正規格差で初判断、原告ら明暗分かれる「格差是正」「不当な判決と言わざるを得ない」(弁護士ドットコム2018/6/1)
https://www.bengo4.com/c_5/n_7971/
 正社員と非正社員の待遇格差をめぐる2つの訴訟の判決が6月1日、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)で言い渡され、労働契約法20条が禁じる不合理な格差についての初判断を示した。
 手当格差を訴えたハマキョウレックス事件では「格差是正判決」の旗出しが行われた一方、定年後再雇用の賃金格差を訴えた長澤運輸事件では、用意してあった旗が「不当判決だ」とくしゃくしゃに丸められる一幕があった。明暗の分かれた両原告は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブでそれぞれ会見を開いた。
●正規と非正規の格差「相当是正する判決」
 「正規と非正規の格差を相当是正する、大きな判決だった」。ハマキョウレックス事件の原告側代理人・中島光孝弁護士は、今回の最高裁判決は非正規全体に波及するものだと指摘した。中でも労契法20条が定める「労働条件の相違の合理性」について、判断の枠組みが整理された点を高く評価した。
 労契法20条は、正社員(無期契約労働者)と非正社員(有期契約労働者)との間で、不合理な労働条件の違いを禁止しているが、格差の合理性を判断するには、(1)業務の内容や責任の程度(2)内容や配置の変更の範囲(3)その他の事情ーーの3要素を考慮するとしている。
 中島弁護士は「これまでは3要素を総合的に考慮するという判決が多かったが、今回の最高裁判決は(1)を検討し、それから(2)を重視した。(3)のその他の事情は、補助的な考慮事情に止まるという論旨を示している」と話した。
 今回の判決では、原告側が要求していた6つの手当の内、住宅手当以外の計5つの手当が、労契法20条に違反する「不合理な格差」と認められた。
 判決は、乗務員が全営業日を出勤したときに支給される「皆勤手当」について「乗務員については契約社員と正社員の職務の内容は異ならないから、出勤する者を確保することの必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない」と指摘し、格差を設けることは不合理と判断した。
 一方で、正社員にのみ支給されている住宅手当については「契約社員については就業場所の変更が予定されていないのに対し、正社員については、転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住居に要する費用が多額となり得る」として、不合理に当たらないと判断した。
 これについて中島弁護士は「(原告が働く)彦根支店の正社員ドライバーは、実態としては転勤がない。格差が合理的か不合理かは実態をよく見て判断して欲しかったが、最高裁は就業規則に書いてあるかどうかで判断した」と批判した。
 原告の池田正彦さんは「納得いく判決ではないが、高裁判決から一歩進んだことについては、納得しなければならない。今後、他の労働者がこの判決を元に戦っていけるのであれば、かなり進歩があったと思う」と話した。
●「定年後再雇用を過大に重視」と批判
 一方、長澤運輸事件の原告側代理人・花垣存彦弁護士は「判決は定年後再雇用であることを過大に重視したもので、全く不当な判決と言わざるを得ない」と厳しく批判した。
 判決は、(1)定年後再雇用において、定年時より賃金が引き下げられることは広く行われていること、(2)長期間の雇用は予定しないこと、(3)一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けられることを理由とし、「定年退職後に再雇用される有期契約労働者の賃金体系のあり方を検討するに当たって、その基礎になるものである」と指摘。
 「賃金格差が不合理であるかの判断において労契法20条にいうそのほかの事情として考慮されることとなる事情に当たると解するのが相当」とし、精勤手当を支払わないことにのみ労契法20条に違反すると判断。その他の賃金については20条違反でないとして棄却した。
 宮里邦雄弁護士は「定年後再雇用の有期雇用についても労契法20条が適用されると示した意義はある」と一部評価しながら、「職務内容が同一であっても、定年後再雇用であることをその他の事情として非常に高く評価をした。非法律的な判断ではなくて、手当の内容や性格を吟味して欲しかった。一体このような判決が20条の解釈として正しいのか根本的な疑問を持つ」と話した。
 原告の大山幸男さんは「仕事の内容も正社員と一つも変わらない。私たちの気持ちがわかってもらえたのか疑問で、落ち込む」。山口修さんは「私たちは定年後再雇用で、寸分たがわず同じ仕事なんです。それなのに給料だけが下げられる。悲しい報告になってしまった」と肩を落とした。

ハマキョウレックス・長澤運輸に最高裁判決(hamachanブログ・EU労働法政策雑記帳 2018.6.1)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-a0e3.html
 というわけで、すでに報じられているように、注目されていたハマキョウレックス・長澤運輸に最高裁判決が出ました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/784/087784_hanrei.pdf (ハマキョウレックス)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/785/087785_hanrei.pdf (長澤運輸)
 ハマキョウの方は、高裁判決をさらに一歩進めた感じで、少なくとも手当については、合理的な理由がつかないと差をつけるのはダメという感じになってきたようです。
 もう一つの長澤でも、高裁判決でOKだった精勤手当についてOUTとしたのは、それと共通した判断ですね。
これに対して、長澤はやはり単なる非正規の労働条件問題でなく、定年退職後の再雇用という難しさがあることから、基本給についてこうはっきり言った点がなんと言っても議論の焦点でしょう。
  ***
さらに,嘱託乗務員は定年退職後に再雇用された者であり,一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることができる上,被上告人は,本件組合との団体交渉を経て,老齢厚生年金の報酬比例部分の支給が開始されるまでの間,嘱託乗務員に対して2万円の調整給を支給することとしている。
これらの事情を総合考慮すると,嘱託乗務員と正社員との職務内容及び変更範囲が同一であるといった事情を踏まえても,正社員に対して能率給及び職務給を支給する一方で,嘱託乗務員に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違は,不合理であると評価することができるものとはいえないから,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である。
  ***
 さあ、今日の判決で評釈することになっていた皆さんはご苦労様です。

(社説)待遇格差訴訟 納得して働ける賃金に(朝日新聞 2018年6月2日)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13522086.html
 正社員かそうでないかによって、賃金に不合理な格差を設けることは許されない。最高裁がそんな判決を言い渡した。
 労働契約法に明記されていることだが、何をもって「不合理」とするか、明確に線引きするのは難しい。同じ会社の制度をめぐっても、地裁と高裁の評価が分かれるなどの混乱があるなか、最高裁が一定の判断基準を示した意義は大きい。
 企業は、判決が説くところを理解し、自社の賃金体系に不備がないかを点検し、必要に応じて見直す必要がある。
 浜松市の物流会社をめぐる裁判では、給食や通勤など六つの手当の支給に差があることの当否が争われた。最高裁はうち五つを不合理と判断した。
 「長く働く正社員の意欲を高めるためだ」と会社側が主張していた皆勤手当についても、最高裁は有期契約の人に支給しない理由にはならないと述べた。仕事の内容や課せられた責任と関係のない格差は、原則として認められないという姿勢を明確にしたものといえる。
 一方、横浜市の運送会社に定年後再雇用された人が、仕事は同じなのに各種手当が削られ、以前よりも年収が2割下がったと訴えていた裁判では、最高裁はある程度のダウンは法律に違反しないとの立場をとった。
 年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、企業は希望する労働者を65歳まで雇うことが義務づけられている。そうした事情を踏まえたものだろう。
 ただし無条件で許されたわけではない。この会社では、再雇用した社員について、稼働状況に応じた歩合給を優遇したり、年金が支払われるまでの調整給を支払ったりしていた。
 判決は、これらの措置が組合との団体交渉を経て決められた経緯などにも着目して、合法との結論を導きだしている。全体としてバランスがとれ、社内で適正な手続きを踏むことが大切だというメッセージを、くみ取らなければならない。
 いまや非正規労働者は2千万人を超え、働く人の約4割に達する。だが賃金水準は正規の6割程度で、底上げは急務だ。
 国会で審議中の働き方改革関連法案は「同一労働同一賃金」の実現を柱の一つに据える。政府は、どのような格差は許されないかを具体的に示したガイドライン案を公表している。最高裁が示した考えとも重なる部分が多いが、さらに分かりやすい内容に進化させる必要がある。
 だれもが納得して働ける社会に向けて、今回の判決も参考にしながら議論を深めたい。

非正規訴訟 最高裁判決要旨(東京新聞 2018年6月2日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018060202000142.html
 非正規労働者の待遇格差を巡り、最高裁が一日に言い渡した二件の判決要旨は次の通り。
 ▽ハマキョウレックスの契約社員訴訟
 【地位確認請求】
 労働契約法二〇条は、有期契約労働者と無期契約労働者との職務内容などの違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定。両者の労働条件の相違が二〇条に違反する場合でも、労働条件が同一となるものではない。ハマキョウレックスも、正社員の就業規則と、契約社員の就業規則は別個独立で作成されている。契約社員が正社員と同一の権利を有する地位の確認を求める訴えは認められない。
 【損害賠償請求】
 二〇条によって労働条件の相違が不合理であると評価できる場合は損害賠償が認められる。
 本件では、正社員のトラック運転手は広域異動や等級役職制度を通じて会社の中核人材として登用される可能性がある一方、契約社員はいずれもない。
 【手当の不合理性】
 転居を伴う配転がある正社員は、住宅費用が多額となり得る。住宅手当の差は不合理ではない。皆勤手当は運転手を一定数確保する必要から皆勤を奨励する趣旨であり、職務内容によって両者の間に差は生じない。契約社員に支給しないのは不合理。
 二審判決が認定した通り、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当の相違も不合理。
 ▽長沢運輸の定年後再雇用訴訟
 【判断基準】
 再雇用された嘱託乗務員と正社員は、職務内容と配置の変更の範囲が同じだが、賃金に関する労働条件はこれだけでは定まらない。経営判断の観点からさまざまな事情を考慮でき、労使自治に委ねられる部分も大きい。
 定年制は賃金コストを一定限度に抑制する制度。正社員は定年までの長期雇用が前提だ。再雇用者は定年まで正社員の賃金を支給され、老齢厚生年金も予定されている。こうしたことは、不合理かの判断の際に考慮する点として二〇条が挙げる「その他の事情」となる。
 賃金項目が複数ある場合、項目ごとに趣旨は異なる。不合理かどうかは趣旨を個別に考慮する。
 【能率給・職務給】
 正社員に支給される基本給、能率給、職務給は、嘱託乗務員の基本賃金、歩合給に対応している。会社は職務給がない代わりに、基本賃金額を定年時の基本給の水準以上とし、収入の安定に配慮。歩合給で労務の成果が賃金に反映されやすくなるよう工夫もしている。
 正社員より合計額は少ないが、原告三人は正社員より2〜12%少ない程度。老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始まで二万円の調整金も支給される。総合考慮すると、労働条件の相違は不合理とは言えない。
 【手当の不合理性】
 精勤手当は欠かさぬ出勤を奨励する趣旨。嘱託乗務員と正社員の職務内容が同一である以上、皆勤を奨励する必要性に相違はなく、不合理だ。
 住宅手当と家族手当は福利厚生や生活保障の趣旨。嘱託乗務員と違い、正社員は幅広い世代が存在し、生活費の補助に相応の理由がある。役付手当は正社員から指定された役付者に支給する。いずれも不合理ではない。
 正社員の超勤手当を計算する基礎に精勤手当が含まれる。嘱託乗務員の時間外手当には含まれておらず、不合理。
 賞与は多様な趣旨を含み得る。嘱託乗務員は老齢厚生年金や調整金が予定され、年収も定年前の79%程度と想定。不合理ではない。
 不合理な相違について、会社は損害賠償責任を負う。

同じ仕事、定年後賃下げ 「新入社員より低い」憤る原告(朝日新聞 2018年6月1日)
https://digital.asahi.com/articles/ASL616211L61UTIL043.html
 非正社員は正社員と同じ仕事をしても、賃金や手当などの待遇差を受け入れなくてはならないのか――。「同一労働同一賃金」にも関連する二つの訴訟で、最高裁が1日、判決を言い渡した。一部の手当について正社員との格差を「不合理」とする一方、定年後に再雇用された嘱託社員が起こした訴訟では、賃金格差などを容認した。
 最高裁は、運送会社「長沢運輸」(横浜市)を定年退職後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転手3人が起こした訴訟では、正社員との賃金格差の大半を容認した。「60歳で定年になったら賃下げという、わけのわからないことを裁判所が認めた。大変怒りを感じるし、大変不当な判決だ」。原告の鈴木三成さん(64)は判決後の会見で、怒りをぶちまけた。
 38年前に正社員として入社し、トラック運転手として働いてきた。60歳で退職後も、「年金が出ないから働かざるを得ない」と、再雇用でハンドルを握り続けた。運転するのは、退職前と同じ大型トラック。勤務時間も運搬回数も変わらない。忙しい時は午前4時半に出社し、関東一円の建設現場にセメントを運ぶ。
 なのに、通勤費を除く年収は、定年退職前の約500万円から約370万円に減った。「賃金が入社1年目の人より低くなりました。同じ仕事でも、生活を切り詰めろというのでしょうか」。4月、最高裁の法廷で判事たちに訴えた。
 しかし判決は、再雇用者には年金の支給が予定されていることなどを踏まえ、正社員との格差を容認。期待は裏切られた。鈴木さんは会見で「仕事をしないと生活ができない」と声を絞り出した。
 代理人の宮里邦雄弁護士は「労働力が不足し、高齢者雇用が重要な位置づけになる中、判決は働きがいの観点でもマイナスだ。非法律的な批判ですが、社会に与える影響について、裁判官には想像力が求められるのではないか」と述べた。

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だから、なんで『非正規も正社員もない!全て同じ社員・労働者だ!!』と叫んで、労組や法律家達はこの戯けた区別を無くそうとしないの?

原因が解っているんだから、これを無くせば問題解決だろうが。なぜ無くしていかないんだ?
韓国人と仕事して困ったことまとめ
2018/11/19 20:31

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