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zoom RSS 「民族教育」同様に、日本の労組も危機に瀕している?

<<   作成日時 : 2016/11/13 06:25   >>

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昨日の「民族教育」に関する国際シンポジウムは、久方ぶりに刺激的で多くを学んだ。日本における朝鮮学校への凄まじいばかりの弾圧は周知だが、世界の中では「民族教育」そのものが自発的・強制的な同化(政策)によってほとんど成り立っていない、という。中国から参加した延辺大学の方は中国朝鮮族の民族教育を紹介したが、いまや朝鮮族自体が大都市に流出し困難な自体に陥っていると報告し、ロシアではもっと厳しく、かろうじて母国語を学ぶ段階に至っている。米国から参加され報告された「在米コリアンの民族教育」にはさらに驚かされた。鄭国際関係研究所所長は、300万人に及ぶ在米コリアンの奴隷的移民史からふれ、日本と米国の過去・現在の罪を鋭く解き明かした。そして「キリスト教原理主義」に依拠する韓国教会によって反共・反北・同化が推進されたという。「500年にわたる西欧支配史は銃刀を前面に出した軍事帝国主義とキリスト教(聖書)を前面に出した文化帝国主義の混合歴史」であり、これが世界を支配した、とも。そして植民地化された国や移民として移り住んだ国ではこれまでの言語が奪われ、支配者の言語が「強制」されることで思考も文化も生き方も支配される…。その意味で「朝鮮学校とその民族教育は奇跡であり、ユネスコ世界人類遺産に登録されるべきだ」(鄭所長)との提起は正しいし、理解できる。「国際化」とグローバリズムは混合され、世界を覆い尽くしている。したがって、トランプの出現は昨日も大きな議論になった。

昨日も国際的見識のある優れた女性活動家が、「ヒラリーはトランプより悪い」と主張していた。懇親会の場であり議論は差し控えたが、他の方の「これで情勢は面白くなった」との感想同様に、無責任な百家争鳴になりつつある。独在住のジャーナリスト・熊谷徹さんが、11/9のTwitterで<メルケルはトランプに対し「宗教や肌の色による差別の禁止、民主主義や自由、人権尊重などの原則を守ったら付き合ってあげます」と公言。ドイツの政治家は、はっきりしたコメントを出すね>と書かれていたが、このような姿勢が必要だ。アベ首相には絶対にできない。熊谷徹さんの昨日のTwitterをさらに紹介する。

>トランプはMake America Great Againという、かつてレーガンが使ったのと同じスローガンを使用して選挙に勝った。トランプは、大規模な財政出動によって軍備拡張とインフラ整備を行うことで、経済成長とインフレ率の引き上げを達成しようとしている。マーケットで10年物の国債の利回りが急騰しているのは、投資家が財政出動を期待しているからだ。これも、レーガンの政策に似ている。トランプは公共事業で景気を刺激し、経済成長率を引き上げることによって、ヒラリー支持者の懐柔を図るだろう。だが、米国の債務比率はすでにGDPの100%を超えている。大規模な財政出動は、借金の山をさらに高くするに違いない。日本と米国は、世界でも指折りの「借金兄弟」になる。

昨日のシンポジウムでは、貴重なキーワードに多く再会した。「同化と異化」「誇りと尊厳」「権利の獲得」「抑圧と抵抗」「多様性の尊重」…残念ながら、教組関係者以外は労働運動に関わる者はほとんどいなかったが、共通するもの大であった。

日曜日、これ以上綴り続けるより、学習を選択したい。今日は久しぶりに「いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター」のHPから、前述の熊谷徹さんのお話を無断借用する。ソウルの100万人デモも凄いが、独の方に見習うべきもの(もちろん無理なのだが)を強く感じる。ただ、読みながらどこまでが熊谷さんでどれが管理人さんの主張なのか分からなくなった…(苦笑)。添付しておいてから言うのもおかしいが、原本で読むことをお勧めする。これはあくまで自分の学習素材なのだ。

「ドイツでは、仕事は人に付くのではなく、企業に付く」(2016/11/08)
http://ijimemakenai.blog84.fc2.com/blog-entry-569.html
 10月11日の読売オンラインに在独のジャーナリスト熊谷徹氏の寄稿 「働く 働き方改革、ドイツに学ぶべき点はここだ」 が載りました。ドイツと日本の労働者の 「働き方」 の違い、日本が見習うべき課題を探ってみます。

「ドイツは世界の主要な国の中で最も労働時間が短く、日本よりも有給休暇の取得率がはるかに高い。それにもかかわらず、高い経済パフォーマンスを維持することに成功している。
 『物づくり大国』 という目指す方向は日本と同じだが、2011年にはインダストリー4.0 (第4次産業革命) を提唱。工業のデジタル化で製造業の様相を根本的に変え、コスト削減で先頭を走ろうとしている。ただ休みが長いだけの国ではないのだ。輸出額を年々増大させ、15年の貿易黒字は経済協力開発機構 (OECD) 加盟国内で最大だった。おまけに、社会保障サービスの水準も日本を大幅に上回っている。」
「ドイツの労働生産性が日本を大幅に上回っている理由は、ドイツの労働時間の短さである。ドイツの例は、労働時間が短くても経済成長を維持し、社会保障システムによって富を再分配することが可能であることを示している。
 ドイツは 『時短』 大国だ。OECDによると、14年のドイツでは、労働者1人あたりの年間平均労働時間が1371時間だった。これは、OECD加盟国の中で最も短い。」
「ドイツでは、1日10時間を超える労働は法律で禁止されている。労働条件を監視する役所が時折、労働時間の抜き打ち検査を行い、1日10時間を超える労働を組織的に行わせていた企業に対しては、最高1万5000ユーロ (約172万5000円) の罰金を科す。
 企業は罰金を科された場合、長時間労働を行わせていた課の管理職にポケットマネーから罰金を払わせる。このため、管理職は繁忙期でも社員が10時間を超えて仕事をしないよう、細心の注意を行う。
 ドイツ企業では、『短い時間内で大きな成果を上げる』 社員が最も評価される。成果が出ないのに残業をする社員は、全く評価されない。このためドイツでは、長時間労働による自殺や過労死、鬱病は日本ほど大きな社会問題になっていない。……
 ある企業が長時間労働をさせていたことがメディアで報じられると、優秀な人材が集まらなくなる。ドイツ人は 『ワーク・ライフ・バランス』 を重視している。このため、企業は優秀な人材を確保するためにも、労働条件が悪いという評判が立たないように神経を使う。」
 少しほめ過ぎのようです。近年の労働環境は変わってきているようです。11月6日の 「The Asahi Sinnbunn GLOBE」 に載ったベルリン支局長の報告です。
「『バーンアウト』 という言葉をここ数年、独メディアで聞かない日はない。働き過ぎなどによるストレスが原因でうつ病などを患う症状で、約1300万人が診断され、働く人の5人に1人が経験したとの調査結果 (2011年) もある。今や、ドイツの 『国民病』 だ。サッカーW杯予選で活躍したゴールキーパーがうつ病を患って09年に自殺したのをきっかけに、心理カウンセリングを受ける人が急増。カウンセラー不足で、初診に平均80日待たされるという。
 働き過ぎといえば、『Karoushi』 という日本語も世界に知れ渡る。日本の過労死・過労自殺 (未遂も含む) をあわせた労災認定件数は200件前後で高止まりだ。……
 『労働制度上はそうだが、実態は変わって来た。就業時間内に仕事が終わらず、家に持ち帰る人は少なくない』。ドイツ連邦心理カウンセラー協会 (会員約4万人) の会長ディートリヒ・ムンツ (65) は、こう指摘する。『休暇が多い分、企業から短期間に高い効率性を求められる。プレッシャーは相当なものだ』
 独旅行サイトが今年1月、3025人にアンケートしたところ、45%が 『休暇中も仕事をする』 と答えた。
 ……でも、効率性を追い求めるあまり、押しつぶされる人がいるなんて……。何事にもルールを定め、厳格に守ることを是とする国民性も関係していそうだ。……
 だが、ドイツ人で上智大学教授のオブュルス・鹿島・ライノルト (57) は、少し違った見方をする。『日本人はマニュアル好きで、周囲と協力するのに便利だから法律を守る。ドイツ人は順法主義が高いといわれるけど、本音はルールを守るのは好きじゃない。法律はあくまで、相手に守らせるためのものです』」
 経済のグローバル化が労働者におよぼす影響からドイツだけが免れるということはありません。問題は、労働組合と労働者、さらに社会が労働条件の悪化をどのようにしてくい止めているかです。
 日本でも短期間に高い効率性が求められるプレッシャーはかなりのストレスを生み出しています。精神障害の労災認定の 「出来事」 別認定状況はそれを裏付けています。そのことを踏まえて 「メンタルヘルスの原因は長時間労働だけではない」 という説明がおこなわれます。しかしそこには長時間労働ではメンタルヘルスの問題は発生しないと言いたげなニュアンスが含まれています。
 日本では、短い時間内で大きな成果を上げることで生した時間にはさらなる仕事量が負いかぶさってきます。そのようにしてこなした仕事量が評価の対象になり、賃金に反映します。
「休暇の取り方も半端なものではない。ドイツ企業で働く人の大半は、毎年30日間の有給休暇を全て使う(企業は、法律によって最低24日間の有給休暇を社員に取らせるよう義務づけられているが、大半のドイツ企業は社員に30日間の有給休暇を与えている)。
 このほか、所定の労働時間を超える部分については、毎年10日間前後の代休を取ることもできる。
 管理職以外の社員が、2〜3週間の休暇をまとめて取っても全く問題は起きない。休暇中に業務用のメールをチェックする義務もない。社員が交代で休みを取るので、ねたまれることもないし、休暇先でお土産を買ってきて同僚に配るといった気遣いも不要だ。誰もが休暇を取るのは当然の権利だと理解しており、やましい気持ちは全くない。日曜日や祝日の労働は禁止されているほか、土曜日にオフィスで働く際には上司の許可が必要だ。
 有給休暇と病休は、厳密に区別されている。ドイツ企業は、法律によって社員が病気やけがで働けなくなった場合、最高6週間まで給料を払う。つまり、毎年30日間の有給休暇のほかに、6週間まで病休を取ることができる。……
 ドイツ人にとって有給休暇とは健康な状態で過ごすものであり、病休とは異なるのだ。」
 15年12月7日の日本経済新聞電子版の 「残業した時間 『ためて休む』 ドイツ先進職場の働き方」 の見出し記事は先進的職場を紹介しています。
「『残業で働いた時間は口座に貯蓄しておき、後で休暇として使います』。ドイツ南部のシュツットガルト中心部から車で北西に15分ほどにある独ボッシュのフォイヤバッハ工場。自動車部品などの顧客営業部門でプロジェクト・マネジャーとして働くダビット・バイヤーさん (38) は自らの働き方をこう説明する。
 口座とは 『労働時間貯蓄口座 (ワーキング・タイム・アカウント)』 を指す。残業や休日出勤など所定外の労働時間を従業員が社内口座に積み立て、後で有給休暇などに振り替えられる仕組み。残業代でもらう代わりに有給休暇に振り替え、繁忙期を避けて休む人が多い。ドイツでは従業員250人以上の事業所の約8割に普及し、デンマークなどにも広がっているという。
  ◇
▼労働時間貯蓄制度 職場で定めた労働時間と、残業時間を含め実際に働いた時間の差を勤務先の口座に積み立て、後から従業員が有給休暇などに振り替えて利用できる仕組み。不況下でもレイオフ (一時解雇) を避けながら生産調整できる点などが受け、1990年代後半にドイツの製造業で普及し始めた。
 有給休暇などに振り替えられる清算期間や貯蓄できる労働時間は個別の企業や協約によって違う。1年以内に残高時間を清算する 「短期口座」 と数年単位の 「長期口座」 がある。月単位で清算する場合、その月に働いた時間が所定労働時間を下回っても、不足した労働時間が職場で定めた上限時間内なら翌月以降に繰り越して清算され、賃金を支払う。ドイツ労働市場・職業研究所 (IAB) の調べでは従業員250人以上の事業所の導入割合 (2012年) は80%に達した。」
 休暇は安定した生活を維持するためには不可欠のも、さらに自分のためにあてる時間、心身のリフレッシュのためにはまとまった休暇が必要という認識が社会的に共有されています。だから、病気をしても有給休暇を充てるようなことはしません。
 そもそもライフ・ワーク・バランスのとらえ方がドイツと日本で違います。日本では仕事をこなしながら生活時間をどう工夫してつくりだすか、どの部分を犠牲にするかになっています。長時間労働の恒常化は、不況になった時に調整するためのものになっています。
 しかし最近は、ドイツでも日本における “風呂敷残業” がおきています。労働者は 「残業をする社員は、全く評価されない」 を意識しています。
 バカンスの国フランスでも、管理職は長期休暇にパソコンを持参し、そこから社員に指示をだすということが浸透しているのだそうです。ドイツでもそのようになりつつあるようです。
「企業文化や商売の慣習が異なるので、ドイツの制度をそのまま日本に当てはめることは難しい。ドイツでは物を売る側と買う側がほぼ対等の立場にある。日本のように 『お客様は神様』 として顧客を絶対視する意識はない。
 したがって、顧客を満足させるために、長時間残業を行うようなことはない。ドイツでは効率性が極めて重視される。彼らが常に念頭に置くのは 『サービスを行うことのコストと収益性』 である。
 1日10時間以内に仕事を終えなくてはならないので、時間と労力ばかりかかって見返りが少ないと思われるような業務は、初めから手をつけない。
 キリスト教の精神が浸透している国には、『労働はなるべく少なくするに越したことはない』 という世界観がある。……
 『労働によって自分を実現する』 とまで考える人は、日本ほど多くない。日独の間には大きな労働観の違いが横たわっている。」

 「ドイツでは物を売る側と買う側がほぼ対等の立場にある」 については、日本は人権・人格権の視点からも改善されなければなりません。
 熊谷徹氏のインターネット 「独断時評」 を紹介した15年12月18日の 「活動報告」 の再録です。
「『サービス砂漠・ドイツ』 に悩んでいるのは、われわれ日本人だけではない。私の知人で日本に長年勤務したドイツ人は、故郷に戻って来た直後、パン屋の店員の態度の悪さにショックを受けたという。……
 なぜドイツ人はサービスが不得意なのだろう。ドイツ語でサービスは Dienst または Dienstleistung だが、この言葉は dienen、つまり、誰かに仕えるという動詞からきている。dienen というドイツ語には、従属的な語感がある。自分が他者に対して、低い地位にいるような印象を与える。つまり、個人主義と独立性を重んじるドイツ人にとっては、イメージの悪い言葉だ。
 したがって、ドイツではサービスが無料ではない。この国の企業や商店は、サービスを提供するためのコストを常に考慮する。サービスに掛かる費用が、収益に比べて高くなり過ぎると判断された場合には、サービスは提供しない。これは、日本とドイツの商習慣の最も大きな違いの1つだ。
 もう1つ、サービス砂漠を象徴するものは、商店の営業時間の短さだ。これは 『閉店法』 という法律によるものだが、ドイツに初めてやって来た日本人の多くは、ほとんどの商店が日曜日や祝日に閉まっていることに戸惑う。日本では、コンビニエンス・ストアだけではなく、スーパーマーケットやデパートの中にも夜間営業を行う店が増えているが、ドイツでは考えられないことだ。
 日本人は、『休日は多くの市民が買い物をする時間があるのだから、店を開けておけば売り上げが増えるではないか』 と思うだろう。しかしドイツでは、週末に店を開けて売り上げを伸ばすよりも、休みを優先させる。『オフィスで働くサラリーマンだけではなく、商店で働く人々にも、家族との時間を楽しむ権利を保証するべき』 という意見が有力だ。
 ……
 一方で、ドイツの物価は日本に比べると割安である。その理由には、サービスを省略しているということもあるだろう。ドイツの商店やホテルが、日本のような、かゆいところに手が届くようなサービスを提供できない背景には、人件費が高いゆえに効率的に仕事をさせなくてはならないという事情がある。もしも、ドイツのホテルや商店で日本並みの水準のサービスを要求したら、請求書の金額はより高くなるだろう。…… 
 ドイツのスーパーマーケットには、日本のように丁寧な態度をとる店員はめったにいない。……
 その代わり、この国の牛乳やヨーグルト、バター、パンなどの食料品の価格は、かなり安い。多数の安売りスーパーが激烈な価格競争を繰り広げていることも理由だが、ドイツの消費者が、良いサービスを商店やホテル、飲食店に期待せず、むしろ価格の安さを重視することが背景にある。ここに、『名を捨てて実を取る』 というドイツ人の国民性が反映されている。サービスが行き届かないことに慣れてしまっていることが、ドイツのサービス砂漠がなかなか改善されない原因の1つである。
 ただし、私がドイツに来た1990年頃に比べると、ドイツのサービスもやや改善した。営業時間の延長などはその1例である。顧客が気持ち良く買い物できるように、値段だけでなくサービスにも配慮してもらいたいものだ。」
 日本のサービスのありかたがドイツに導入されることがいいことだとは思えません。労働の安売りは、人権・人格権の低下を招きます。す
 日本では昔から過剰サービスがあったわけではありません。70年代のオイルショック以降の消費の冷え込み、製造担当労働者の営業への配置転換、“社員全員営業部員” 方針とノルマ設定などによります。「お客様は神様です」 はこの頃から言われ始めます。労働者は 「神様」 のわがままを聞き入れて従属することを強いられました。「神様」 はますます図に載ります。
 しかし無料のサービスはありません。最初の犠牲は生産者や労働者の人件費です。その次に価格に付加されます。自分には特権があると思う利用者は、誰かを犠牲にしています。犠牲になった労働者はストレスを別のところで爆発します。それが駅員だったりします。駅員こそ悪循環の最終的犠牲者です。
「ドイツでは、仕事は人に付くのではなく、企業に付く。例えば、顧客が問い合わせの電話をかけた時に、担当者が長期休暇を取って不在であっても、気分を害することはない。同僚が問い合わせにきちんと答えてくれさえすれば、それでいいのである。ある業務が 『特定の人でなければ務まらない』 という考え方は、ドイツ企業では希薄だ。……
 ドイツの労働条件の良さは、労働組合が1970年代から政府や経営側と粘り強く交渉することによって勝ち取った成果である。ドイツの労働組合は、日本とは比べものにならないほどの影響力と自主性を持っており、今でも航空会社や鉄道会社、郵便局などがストライキを行うことがある。」
「日独の間には、ビジネス風土や社会環境、顧客心理、労働組合の影響力などで大きな違いがある。日本でこれらの要素を一朝一夕に変えることは、まず無理。それでも希望を捨てずに、身近なところから変えられることを探すべきだ。」
 このことを踏まえていくつかの提案が行なわれています。
「まず手始めに、『仕事は人ではなく、企業に付く』 という考え方を社会全体に浸透させたらどうだろうか。
 その第一歩は、自分が勤務している部署で仕事に関するメールや文書を全て電子化し、部内のメンバーが誰でもアクセスできるような共有ファイルを作ることである。仕事を1人で抱え込まず、同僚と共有すれば、自分が不在でも、他の社員が顧客の問い合わせに対応できる。こうしたシステムを作らない限り、時短や長期休暇の実現は不可能だ。
 ドイツでは、仕事が忙しい時にさらに新しい業務などを割り当てられた場合には、上司に対して 『これでは1日10時間以内に仕事を終えられません』 と正直に打ち明けるのが普通だ。
 そうした相談を受けた上司は、応援要員を確保するなど何らかの対策を取らなくてはならない。大半のドイツ人は、健康を害するくらいなら、『何とかしてくれ』 と上司に訴える道を選ぶ。ドイツ語に 『頑張る』 という言葉はない。」
 そこには 「日本人はマニュアル好きで、周囲と協力するのに便利だから法律を守る。ドイツ人は順法主義が高いといわれるけど、本音はルールを守るのは好きじゃない。法律はあくまで、相手に守らせるためのものです」 の状況があります。
 日本では共通認識をもたせるためにマニュアルを作成します。しかしマニュアルは人間関係を疎遠にさせ、労働者同士のコミュニケーションを希薄にしました。さらに労働者が工夫や想像力を発揮する機会を奪いました。企業は効率と成果だけを問題にしました。しかし今その弊害が生まれてきています。
 ドイツの産業別労働組合ですが、日本の企業別労働組合は “企業戦士” “会社人間” を生み出しました。その結果労働者の発言力が奪われました。「仕事は人に付くのではなく、企業に付く」 という認識を持つことは許されず、人と企業を一体化させています。労働者は 「労働によって自分を実現する」 ことに全力を注ぎます。その結果が過労死です。
 「頑張る」 という言葉があるのは日本だけです。英語でどう表現するかを考えてみるとはっきりします。ぴったりの言い回し方法ががありません。
「読者の中には、『そんなことを言っても、仕事が山積しているし、お客さんが待っているのだから、長時間働かざるを得ない。30日間の有給休暇や1日10時間以下の労働など、日本では夢物語だ』 と思われる方も多いかもしれない。
 しかし、世界にはドイツのように人間的な労働条件を導入し、なおかつ、成功を収めている国がある。いつまでも 『日本は変わらない』 と思い込んでいたら、絶対に変わらない。
 ……
 経営者が最初に始めるべきことは、1日の業務を必要な業務 (価値の創造につながる業務) と不必要な業務 (価値の創造に結びつかない業務) に分類して、不必要な業務を徹底的になくしていくことだ。
 もちろん労働監督機関には法律の厳格な運用を強く求めたい。労働時間に関する抜き打ち検査を頻繁に行い、組織的に長時間労働を行わせているような企業を厳しく処分し、その事実を公表するのだ。
 さらに、政府は企業に対して、最低限の有給休暇の日数を社員に取らせることを法律によって義務づけるべきだ。」
「企業は罰金を科された場合、長時間労働を行わせていた課の管理職にポケットマネーから罰金を払わせる」 制度は、最近の日本における 「会社法」 にもとづいて役員個人に損害賠償を請求する裁判に似ています。これまでのような会社を相手にする訴訟では 「みんなで渡れば怖くない」 という認識を生み、結局は誰も責任をとろうとしません。
 長時間労働の削減はかけ声だけでは実現しません。実際の仕事量が減らなければ後回しになるだけです。適量の仕事負担のためには、業務内容の見直しだけでなく 「適量」 の人数が必要です。
 そのためには、労働者・労働組合も、労働条件の改善を政府に要請するのではなく、自分たちの職場でで勝ち取り、それを法律にさせていくような積極的な闘いを展開する必要があります。他力本願では本物の改善にはなりません。



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