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zoom RSS 長澤運輸定年後賃下げ社会的容認誰が?それで適法? 

<<   作成日時 : 2016/11/03 06:31   >>

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昨日から「労働情報」次号の編集が始まり、その最中に飛び込んできた長澤運輸高裁判決敗訴の一報。現役活動家も含むスタッフ4名とも、判決日であることも知らず「ウソだろ」と絶句。今年5月に労契法20条裁判として画期的な勝利判決を得たばかりなのに、あまりに早すぎる高裁判断だった。もちろん詳細は分からず、走行している内に4時前、弁護士ドットコムに<「定年後再雇用」の賃下げめぐる控訴審、従業員が逆転敗訴「賃金差別、納得いかない」>とのニュースがアップされ、以下の判決要旨に再び…沈黙。

>1審の東京地裁は今年5月、「仕事の内容は正社員と同一と認められる。特別な理由もなく、賃金格差があるのは違法だ」として、会社側に対して、正社員と同じ賃金を支払うよう命じた。
 2審の東京高裁は、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁じた「労働契約法20条」が、定年後の再雇用にも適用されると判断。一方で、今回のケースについては、定年前と比較して、一定程度賃金が減額されることは一般的で、社会的にも容認されていると考えられるなどとして、「不合理であるとは言えない」と原告の請求を棄却した。
<中略>
●原告は「徹底的に戦っていきたい」、上告の意向
 この日の判決を受けて、原告は、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。
 原告の代理人をつとめる宮里邦雄弁護士は「判決は、定年後の再雇用の有期雇用であれば、労働条件の相違があっても不合理とはいえないとしており、労働契約20条のもっている法律的な意味がなきに等しいことになる」「同一労働同一賃金の議論が進む中で、社会的にみても妥当性を欠くものだ」と批判。上告する意向を示した。
https://www.bengo4.com/c_5/n_5303/


郵政ユニオン、東部労組メトロコマースなど労契法20条裁判を闘っている仲間は多い。不当な非正規差別などに対して労契法20条がいかに活用できるかの前向きで果敢なチャレンジでもある。その中で長澤運輸地裁勝訴は嬉しい「実績」だった。自分もすぐブログで綴り、これへのアクセスは2000近かった。

>連帯ユニオンの努力をもっと評価すべき画期的判決 (シジフォス 2016/05/14)
http://53317837.at.webry.info/201605/article_14.html

しかしネットで検索すると地裁判決への好意的評価(?)は少なく、地裁裁判長などへの罵詈雑言に満ちており、「高裁でひっくり返るので慌てることはない」などと書き込まれていた。「同一労働同一賃金」が話題になる中で、この地裁判断を早期に変更させることが要請され、この早期の高裁敗訴になったと勘ぐりたくなる。そして、他の労契法20条裁判にどのような影響を及ぼすのかも気に掛かる。濱口さんのブログも「上告するそうなので、来年には労契法20条の最高裁判決というのがでそうですね」と結んであった。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-84b2.html

自分も、判決文を入手できていないので、比較的詳しい朝日の報道を掲げておく。

定年後再雇用、賃下げは「適法」 原告が逆転敗訴(朝日新聞 2016年11月3日01時50分)
http://digital.asahi.com/articles/ASJC24QZ4JC2UTIL02B.html?rm=693
 定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、定年前と同じ業務なのに賃金を下げられたのは違法だとして、定年前と同じ賃金を支払うよう勤務先の運送会社「長沢運輸」(横浜市)に求めた訴訟の控訴審判決が2日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は、「定年後に賃金が引き下げられることは社会的に受け入れられており、一定の合理性がある」と判断。運転手側の訴えを認めた一審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却した。
 今年5月の一審判決は、「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法20条に反する」として、定年前の賃金規定を適用して差額分を払うよう会社に命じた。
 しかし高裁判決は、再雇用者の賃金減額について「社会的にも容認されている」と指摘。60歳以上の高齢者の雇用確保が企業に義務づけられている中で、同社が賃金節約などのために、定年後の労働者と賃金を減額して契約を結んだことは、「不合理とは言えない」と理解を示した。
 また、同社が再雇用の労働者に「調整給」を支払うなど正社員との賃金差を縮める努力をしたことや、退職金を支払っていること、同社の運輸業の収支が赤字になったとみられることなども考慮。原告の賃金が定年前と比べて約20〜24%下がったことは、同規模の企業が減額した割合の平均と比べても低いことから、「定年前後の契約内容の違いは不合理とは言えず、労働契約法に違反しない」と結論づけた。
 判決を受け、原告代理人の宮里邦雄弁護士は「納得しがたく、速やかに上告の手続きをする」と述べた。長沢運輸は「会社の主張が正当に認められたものと理解しています」とコメントした。(塩入彩)
■「同一労働同一賃金」課題示す
 労働契約法20条は、正社員と有期雇用の待遇格差が不合理かどうかを判断する際、@仕事の内容や責任A配置などの変更の範囲Bその他の事情、の三つの要素を考慮するとしている。
 一審判決は、再雇用で働く人と正社員とで@Aが同じだとして、格差は不合理とした。一方、高裁は@Aが同じだと認めながら逆の結論を導いた。高裁判決について、水町勇一郎・東大教授(労働法)は「『その他の事情』を重視しているのが一審との大きな違い。『その他の事情』として、再雇用での賃金減額が一般的だという事実を重視し、格差を認めている点に問題がある」と指摘する。
 「同一労働同一賃金」の実現を掲げる政府は、正社員と非正社員の待遇差はどんな場合に合理的で、どんな場合に不合理かを示すガイドラインをつくる予定だ。基本給、諸手当、ボーナス、退職金などについて個別に判断する方向になっているが、高裁判決はそうした判断方法をとらなかった。原告代理人の宮里邦雄弁護士は「『同一労働同一賃金』の議論がすっ飛んでいる。社会的にも妥当でない判決だ」と批判する。
 政府はガイドライン策定後に法改正を検討する方針。高裁判決は、同一労働同一賃金の実現にはガイドラインの策定だけでは不十分で、法改正が必要だと示したともいえる。(編集委員・沢路毅彦)
■一、二審の判断
《東京地裁判決》 定年の前と後で業務内容は変わっていない。会社側には賃下げをする「特段の事情」がなく、労働契約法違反にあたる
《東京高裁判決》 定年前と業務内容などは変わらないが、定年後の再雇用で賃下げをすることは社会的に容認されており、同法違反とは言えない


自分の過去ログでも取り上げた朝日の澤路さんがすぐツイートしている。記事とは別に…というところが苦笑ものだが、そんな時代なのかもしれない。

>澤路 毅彦  11/2
○長澤運輸事件控訴審判決。原稿を考えつつ、つらつら読んでいます。結局、再雇用の賃金減額は「広く行われていることであり、社会的にも容認されていると考えられる」。ひたすらこの論理を繰り返しているような。
●「広く行われている」のは事実として、「社会的にも容認されている」というのは揺らいでいるんじゃないですかね?あと、賃金減額の幅が一審は「3割」だったと思いますが、今日の判決では「2割強」になっている。
○まあ、(見出しは)こういうこと。「定年再雇用後の賃金減額に「合理性」 原告側が逆転敗訴」
短時間でポイントがずれていない記事が書ける司法記者はすごいなあ、といつも思う。
●長澤運輸事件控訴審判決。原稿をとりあえず手放したのでもう少し詳しく。まず、本件の定年後再雇用に労働契約法20条が適用されるか。会社側は適用されていないと主張していたが、「控訴人(会社)の主張を採用することはできない」。で、不合理性の検討へ。
○その際、考慮要素として「@職務の内容、A当該職務の内容及び配置の変更の範囲のほか、Bその他の事情」とし、Bについては「特段の制限をもうけていないから」「@及びAに関連する諸事情を幅広く総合的に考慮して判断すべきもの」と続く。
●次に@Aについては「正社員とおおむね同じであると認められる」と言っているんです。ところがBを判断する際にどうなるかというと、定年後の再雇用について「その賃金が引き下げられるのが通例であることは、公知の事実であるといって差し支えない」などなど、という論理展開になる。
○【訂正し再投稿】「〜60歳までの処遇と比べて低い処遇になることが一般化していることについては、〜一般的には合理的なものと考えられるとの見解が公的に示されているところである(甲35)」。この甲35号証、労働条件分科会における厚労省課長の発言らしいのですが、どなたでしょうか?


とにかく、次々号の「労働情報」誌で労契法20条裁判について特集を組むこととした。宮里さんにも原稿を依頼しなければならない。また今度の日曜日11/6には、郵政ユニオン20条裁判闘争本部が主催して「労契法20条裁判の勝利をめざす交流集会」が開催され、棗弁護士が講演し、各原告も報告するので、これも取り上げたい。

怒りにまかせて綴りたいことは多々あれど、判決文を入手しないとどうしようもない。今日は澤路さんも河添さんも紹介していた「おがたけいこ」さん(あの緒方さんとは違う?)のTwitterを掲げて終わりたい。日経によればカジノ法案を、公明も賛成したので自民党は今国会に提出するという。呆れるばかりだ。

●公知の事実、か。太陽が東から昇って西に落ちるように、定年退職後の給料は落ちてあたりまえ…じゃないよねえ。こんなこと言ったら、労契法20条は死ぬね。
○@定年退職後の再雇用制度が企業にとって負担となることは否定しない。その負担を、労契法20条の枠内でどう調整するかってのが問題の中心なのであって、負担なんだから彼らの賃金下げるの当然だよね、だから賃金格差は不合理じゃないよねってのは問題のすり替え。
●A再雇用者の賃金を下げたいなら、業務負担を相応に軽減すればいい。これで労契法20条に抵触する可能性は格段に低くなる。その対応は若年者の雇用機会を生み出す可能性も高い。長澤運輸高裁判決は、安くで使っていい労働力がありますよといったのと同じこと。社会に対するメッセージとして最悪。


最後に山井さんのTwitterにあったこの農水大臣発言になぜもっと批判が集まらないのか怒りをこめて紹介、「冗談」発言より酷い!

>山井和則さんがリツイート 蓮舫・れんほう@民進党 ‏@renho_sha 11/2
●私が看過できなかった発言は以下。『JAの方々が大勢いらっしゃるようでございますので、明日でも田所先生の紹介で農林省来ていただければ何か良いことがあるかもしれません』と、パーティ会場に来られた方々にパーティ主催代議士の紹介で監督官庁に口利き利益誘導があるかもと大臣自らが匂わせた発言



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