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zoom RSS 産業別の「労使自治」が必要なのだが見えない

<<   作成日時 : 2016/12/19 06:35   >>

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政府は20日に第5回の働き方改革実現会議を開き、ガイドライン案を示す、というが、さほど話題になっていない。「非正規待遇改善で指針案 通勤費など正社員と同一」(共同)や「非正規にも賞与 政府指針案、同一賃金へ支給求める」(日経)で、欧の優れた制度を紹介し、日本と比較しているにしては、「限界」は見えている内容ともいえる。通勤手当や出張旅費、食事手当、慶弔休暇などは、現在でも厳密に言えば法違反とできる。しかし、「基本給やボーナスは仕事を進める能力や成果などが同じなら同水準の支給を原則とし、職業経験や成果に応じて支給内容に差を設けることも容認」(共同)している。12/16の日経は、以下の通り指摘した。

>特に企業や非正規労働者への影響が大きいのは賞与だ。業績などへの貢献度合いが同じ場合は同一の支給を求めるとともに「貢献に違いがある場合にはその差異に応じた支給をしなければならない」とも明記した。
 企業では非正規労働者に賞与を支給していない場合も多い。厚生労働省の調査では、賞与を正社員に支給する会社は8割を超すのに対して、パート労働者には4割弱にとどまる。金額も従業員1000人以上の企業ではフルタイム労働者が130万円超なのに対して、パート労働者は4万円に満たない。
 基本給を決める要素を「職業経験や能力」「業績・成果」「勤続年数」の3つに分類した。それぞれの要素が正社員と非正規労働者で同一であれば同じ水準の支給を原則としつつ、違いがある場合には待遇差を認める。
 時間外勤務や深夜・休日手当は同じ割増率で支払わなければならないとした。通勤手当や出張費、慶弔手当なども同一の支給を促す。社員食堂や更衣室の利用といった福利厚生や、職業訓練の受講機会なども同一とするように求めた。待遇差の理由を従業員に説明する義務は記載を見送った。
 政府は年明けから関連する法律の改正作業を本格化させる。ガイドライン自体に法的拘束力はないが、待遇差の是正が裁判で争われたときに司法判断の参考となる可能性がある。企業はガイドラインを参考に、賃金制度や職務規定の一定の変更を迫られる見通しだ。>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC15H14_V11C16A2MM8000/

濱口さんも冷ややかに、以下の通り綴った。

同一労働同一賃金の実現に向けた検討会中間報告(hamachanブログ・EU労働法政策雑記帳 2016.12.16)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-464b.html
 本日、同一労働同一賃金の実現に向けた検討会の中間報告が公表されたようです。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf
これに「参考資料」と称するものが付いているのですが、これが検討会委員の皆さんの意見で、それこそ最高裁判決にくっついている意見のような感じですが、読んでいくとそもそも論的なレベルで意見がかなり分かれていることがわかります。
 中間報告に書いたのでと言って自分の独自の「意見」を書いていないのは水町さんだけで、逆に言うと、他の委員の皆さんは水町理論に余り納得していないような感じですね。
 現段階で同一労働同一賃金の理論的問題には余り突っ込むことはしないでおきますが、労使関係論的観点から見て一番同感できるのは、やはり神吉知郁子さんのこの言葉でした。
・・・・第二に,労使の自主的な点検・改善を促す方法がある。非正規労働者の待遇の決定にあたり,労使協議や交渉をおこない,非正規労働者の利益も公正に反映したものであるときは,パート法8条や労働契約法20条の「その他の事情」において,たとえば労働契約法10条のように,不合理と認められない方向での考慮要素として明記することも考えられる。このような手段は,非正規の利益を考慮した労使交渉による労働条件設定であれば不合理との評価を受けないとの予測可能性を高め,法的安定性をもたらす。同時に,特に使用者に対して,不合理な格差とならない労働条件設定に向けた真摯な交渉を行うインセンティブを与えることにもつながっていく。
 集団的労使関係という契機を抜きにした過度に法曹的、法学者的な議論だけでこの問題が進められることにならないことを望みたいと思います。


神吉さんに「集団的労使関係」と言われても、この検討会にその関係者は含まれていない。労使代表どころか、それぞれから推薦される有識者という考え方もない。今後労政審に場を移すとしても、アベ政権下で三者構成がどんどん後退しているのは事実だ。労使代表からレクを受けたというが、その内容が中間報告に反映されているとは思えない。そして、連合も事務局長談話で「雇用や労働に関する政策は、職場実態を熟知した労使が知恵を出し合い、議論・決定することが不可欠である」と指摘したように、厚労省「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」報告書は大きな転換を目指そうとしている。

>厚生労働省「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」報告書に関する連合事務局長談話(2016.12.14)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=866

この重要課題に関して菅弁護士が東京法律事務所のブログに書かれているので、改めて学んでおきたい。長文だが平易で判りやすい。とにかく常識の範囲内として認識すべき指摘だが、これが危険にさらされている。

「働き方改革」の審議から労働組合の関与を外す危険な方向(東京法律事務所 2016年12月16日)
http://blog.livedoor.jp/tokyolaw/archives/1063106194.html
 弁護士の菅俊治です。今回は、労働政策、とくに労働立法の審議のやり方について、心配な事態が生じているので、それについて書きたいと思います。
1 労働政策を審議する委員を「一本釣り」で選ぶ
2016年7月からスタートした、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」が、12月14日に報告書を発表しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudouseisaku.html?tid=369325
 その結論部分(改革案)には、つぎのように書かれています。
「働き方やそれに伴う課題が多様化する中、旧来の労使の枠組に 当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題につ いては、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った方がよいと考えられる。」
 公労使同数とは限らないということですね。これは、労働側の人数を減らすと受け止めるべきでしょう。
「これを踏まえ、基本的な課題については新たな部会(「労働政策基本部会 (仮称)」(以下「基本部会」という。))を本審の下に設置し議論すること とする。」
 労働政策審議会には、いま7つの分科会と多数の部会があります。今回、新しく「基本部会」を設けると。基本部会って、なにを担当するのでしょうか?
 これについてはあとで触れましょう。
「基本部会は、公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成する ものとし、課題に応じて高い識見を有する者を選任する。」
 これは要するに労働組合の推薦では選ばないっていうことですね。「有識者」を選任するというのは、気に入った人を一本釣りで選ぶのと同義です。
 端的にいえば、労働政策の審議にあたって、労働組合(連合)の関与を減らす というものと理解すべきです。
 非常に心配な方向の提案です。
2 重要な役割を果たしてきた労働政策審議会
 労働政策審議会(労政審)というのは、厚生労働省設置法(第9条第1項)という法律に根拠があって、設置されています。
 厚生労働大臣の諮問機関、つまりご意見番、相談係の役割です。
 厚生労働大臣の諮問に応じて労働政策に関する重要事項を調査審議すること。
 労働政策の重要事項に関し、厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べること。
 労働基準法等の労働関係法の規定により その権限に属させられた事項を処理すること。
がその役割とされています。
 そして、労働関連の法律の制定・改正を行う場合は、そのほとんどが「労働政策に関する重要事項」に該当するとして労政審で議論がされてきました。
 そして、労政審のメンバーは、公労使の三者同数の原則にしたがって選任されてきました。
 自民党政権下、労働時間規制の緩和、非正規雇用の拡大等、労働政策はどちらかといえば労働者側にとって厳しい改悪が続きましたが、三者同数の原則のおかげで、ずいぶん歯止めがかかりました。
3 労働関係の立法手続の流れ
 歯止めとして機能しえたのは、以下のような立法手続があったからです。
 @ 法律制定・法律改正の契機としての社会的ニーズの把握
    ↓
 A 有識者等からなる研究会や検討会によるデータ分析、課題の整理
    ↓
 B 公労使同数の三者構成からなる労政審における議論=労政審の建議
    ↓
 C 法案要綱を厚生労働大臣が労政審に諮問、労政審が答申
    ↓
 D 労政審の答申を踏まえ、法案を閣議決定、国会提出
    ↓
 E 国会審議、成立、施行
 つまり、Bの労政審のところで、かならず労働組合が関与します。
 労働組合のところで、組織的な分析がなされ、カウンターの意見が表明されます。
 また、多くの場合、労働組合を通じて、弁護士、メディアなどに、必要な情報が提供され、一般の国民も立法に関する情報を入手することになるのです。
 労働弁護団も、全ての審議会を傍聴するわけには行きませんから、労働組合(連合)から、いろいろな情報を得て、分析し、意見を述べ、さまざまな運動を構築しています。
 そして、公労使三者の審議を経て、初めて労働立法の案が作られます。厚生労働省が作成した法案が、ここで初めて閣議決定されるのです。
 国会で審議されるのは、その後であって、事前にそのような慎重な議論が重ねられているからこそ、与野党の議員も充実した議論が可能となります。
4 労働組合の推薦者と「有識者」とは本質的にちがう
 私は、労働組合の果たす機能は「有識者」には代替できないと思っています。
 労働組合は、立法政策について、組織的に対応しています。バックアップチームをつくり、調査をし、職場の内外の意見を集約し、意見を述べます。
 そうした活動を通じ、経験が蓄積され、継続的な対応が可能です。
 ときの政府に批判的なことを思い切って発言できるのは、組織に支えられているからです。
 「有識者」には、そのような芸当は、不可能です。
5 第2次安倍政権による労政審「生殺し」
 さて、労政審が労働政策や労働立法について、重要な役割を果たしてきたことを述べてきました。
 ところが、安倍政権発足後、事態が様変わりしました。彼は、労政審を「生殺し」にするやり方を作りました。安倍さんが作ったというより、小泉内閣時代のやり方を再現したわけですが。
 ただし、小泉時代は、そうはいってもワンイシューでした。
 安倍政権は、2013年から、労働法制の全面的な大改正に着手しました。
 解雇、労働時間、有期労働契約、派遣労働、労働市場改革、国家戦略特区等々をものすごいスピードで変革しようとしました。
 2014年1月22日、ダボス(スイス)で、
「既得権益の岩盤を打ち破る、ドリルの刃になるのだ」
「向こう2年間、そこでは、いかなる既得権益といえども、私の「ドリル」から、無傷ではいられません。」
と自信満々でした。
 なぜ、こんなに自信満々だったか。それは、労働側の意見を聴かずに労働政策を決定できる仕組みを作ったからです。
 具体的には、内閣府のもとに、経済財政諮問会議 産業競争力会議 規制改革会議
といった「会議」を設置しました。
 協議会(counsilやconference)なのですが、日本株式会社の常務取締役会のような存在です。ここで決まったことが、閣議で追認されるのです。
 ミソの第1は、これらの「会議」には、労働側の人間が入っていないということです。「有識者」しか入っていない。「有識者」といっても、現代の政商のような人たちが、自分たちに都合のいい政策を提案するのです。
竹中平蔵さん(パソナ)、長谷川閑史さん(武田製薬)、佐々木則夫さん(東芝)、三木谷浩史さん(楽天)のような方々です。
 ミソの第2は、閣僚や各省庁の局長クラスに省庁としての意見を述べさせるものの、彼らは少数派にとどめておくということです。「会議」の議事録を読んでいると、乱暴な規制緩和に対しては、閣僚や局長たちが反対意見を述べていることが少なくありません。
 しかし、こうしたまっとうな意見に対して、民間議員たちがよってたかって非難を加えています。労側は不在なので、まじめな官僚たちは孤立させられています。
 ミソの第3は、このような一方的な結論を、「日本再興戦略」という形で閣議決定するということです。
日本再興戦略というのは、毎年6月に閣議決定され、発表されます。
 閣議で、いつまでに、どんな内容の法律を作るのかという、「納期」と「メニュー」を決めてしまうのです。
 閣議決定されてしまうと、厚生労働省はそれに従わざるを得なくなります。たとえ本心ではやりたくなくても、決められた納期に指定されたメニューを仕上げなければならず、現場の官僚は苦悶するわけです。
 ミソの第4は、こうして「外堀」を埋めたあとで、はじめて労働政策審議会の審議がスタートするということです。労働側が議論に参加したときには、すでに、「納期」と「メニュー」が決まってしまっています。
 ですので、公労使三者で構成されていても、審議が形骸化してしまっています。
★「「民意なき」雇用改革」(『法と民主主義』(2014年6月号)で、このあたりのことを詳しく書いています。
 https://honto.jp/netstore/pd-book.html?prdid=26268039
★この特集は、第11回法と民主主義賞を受賞した懐かしい論集です。
 http://blog.livedoor.jp/tokyolaw/archives/1047750856.html
6 それでも労政審は「めんどうな存在」
 このように、もともと安倍政権下では、労政審は形骸化しているのですが、やはり無視はできない存在です。
労働組合が、バーンと同数で揃って待ち構えているわけですから、安倍政権にはめんどうに違いありません。
 そこで、公労使三者同数構成の人選のしくみもいじってしまおう、というのが今回の提案の意味であろうと私は思います。
 とはいえ、公労使の三者同数構成というのは、非常に大事な原則であり、これに手をつけたときのしっぺ返しは怖いと思ったのでしょう。
また、ILO条約でも公労使の三者同数構成が要請されています。まさか、条約違反をする訳にはいきません。
 そこで、今回の「報告」は、
「以下の事項については、公労使同数の三者構成による現行の分科会・部会で議論することが適切である。
@ 我が国が批准している ILO 条約で要請されている事項(最低賃金制度の運用、職業安定組織の構成及び運営並びに職業安定業務(職業紹介、訓練、 労働移動支援、雇用保険制度等)に関する政策の立案
A 中央レベルの労使交渉的側面がある職場の労働条件(労働時間、賃金、 安全衛生等)など労使を直接縛るルールに関する法律等の制定・改正 」
と二つについては、三者同数構成を維持するとしています。
7 「基本部会」はなにを審議するのか?
 では、今回あらたに設置される「基本部会」は何を担当するのでしょう。
 もういちど「報告」 の該当部分を読むと、
「働き方やそれに伴う課題が多様化する中、旧来の労使の枠組に 当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題につ いては、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った 方がよいと考えられる。  」
とあります。 
 何を言っているのか、よくわかりません。
 そこで、もう少し前の「課題」のところを読んでみます。
現在行われている働き方に関する政策についての議論は、労政審での議論が分科会・部会単位で行われていることもあり、どうしてもこれらの単位での課題設定がなされがちである。このため、これらの分科会・部会を 横断するような課題については議論されにくい環境にある。 」
「また、近年、骨太の方針や日本再興戦略等の政府決定で基本的な方針が示されたことを踏まえて法改正の議論を始めることが多いことから、研究 会等や労政審での議論は法改正の具体的な内容が中心となり、中長期的な課題についての議論が不足している。 」
「さらに、働き方の多様化により増えてきている個人請負事業主など旧来の労使の枠にはまりにくい課題も生じてきている。 」
 これは、少し手がかりになりそうです。 
 まず、いま政府がすすめようとしている「働き方改革 」に関する問題は、基本部会で担当したいという意図が伺えます。
・非正規雇用と正規雇用との格差を是正する法制度(「同一労働同一賃金」と彼らが呼称しているもの)
・労働時間規制のありかたに関する法制度
に関しては、基本部会で担当できるようにしたいという狙いがありそうです。
 これらの事項は、これまで現行の分科会・部会で審議してきた事項ですから、労政審で行うのが本筋のはず。
実際、そこまで踏み込むかどうかは別として、そっちの方向にもっていきたいという狙いがうかがえます。
 労働者性に関する議論も、基本部会で担当できることになりそうです。
 内閣は、IT総合戦略本部を設置して、シェアリングエコノミーを強力に推し進めようとしていますが、そこで問題になる「個人請負事業主」の労働者性やプラットフォーマーの使用者性についての立法政策は、基本部会で審議したいのだと思います。
 もしあたっているとすれば、かなり心配な事態といわなければならないでしょう。


実感として、労働政策への対応はどんどん後退している。とにかくきちんとした反撃が対置できていない。また、ウラでの駆け引きが多すぎる。もちろん労働政策に限ったことでは無く、民進党に関しては今回のカジノ法案でも露骨だった。「労使自治」に関して、以下のコラムを悩みつつ掲げて終わる。もっと綴れないのが苦しい。

<金口木舌>働き方改革は労使自治から(琉球新報 2016年12月16日)
 「人生と向き合うチャンスをもらいました」。多くの社員からそんな言葉が聞かれたという。家具や生活用品の製造販売大手イケア・ジャパンが実施した人事制度改革の結果である
▼社員の7割近くを占めた非正規労働者を正社員化し、同一労働同一賃金を実施、多様な働き方も認めた。人材の確保だけでなく、潜在的な能力や経験を生かす狙いがある。「人を大事にする」が社是だ
▼非正規雇用は世界規模で広がっている。国際労働機関(ILO)によると、2015年は労働者の37%を占め、世界的格差問題の温床となっている。正規と非正規の賃金格差は、欧州は10対8だが、日本は10対6と大きい
▼沖縄の非正規の割合は44・5%で全国の38・2%を上回る。その割合が高いと、子どもの貧困の誘因にもなる。政府は来年の通常国会で働き方改革の関連法案を提出する予定だが、改善はずっと先の見通しだ
▼日本では非正規が増えても、労働条件の改善はまだ途上だ。非正規の声を反映させる仕組みも乏しい。その中で政府の対策や他の企業の取り組みに先駆けたイケアの改革は手本になる
▼欧州では労使が職務を吟味し、労働協約で基本給を決める「労使自治」が機能しているという。日本の中小企業の中には非正規の正規化が経営上、厳しい社もある。各企業に合った労使自治で改善を図ることが大切だ。


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