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zoom RSS ベーシックインカムも検討すべきとの貧困に関するコラム

<<   作成日時 : 2017/01/16 06:34   >>

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次の大統領が酷すぎるからか、退任するときのご祝儀なのか、オバマ大統領の退任演説が賞賛されている。しかし美辞麗句であれば誰でも言えるし、そんな言葉を発する指導者はまったく信用できない。責任ある者は「成果」を強調するのではなく、失敗や限界をこそきちんと総括して明示し、次へのステップを語るべきではないか。ノーベル平和賞受賞とは真逆に「戦争」や「紛争」はさらに広がり、多くの市民が命を奪われ、難民問題が発生している。そんな中、昨日の琉球新報の「社説」は出色だった。「沖縄の期待裏切った8年」との見出しで「2期8年の任期中に、沖縄の米軍基地はさらに強化が進み、県民の求める負担軽減に逆行した」と断じた。

今日の「学習」は、同日に掲げられた新報コラムの方なのだが、米国へのきちんとした批判こそが日本に問われており、琉球新報の主張に強く賛同し、全文をまず掲げる。オバマ成果には評価すべき点はあるが、この文章に関してはまったく異論はない。

<社説>オバマ氏退任へ 沖縄の期待裏切った8年(琉球新報 2017年1月15日)
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-427541.html
 オバマ米大統領が20日に退任する。オバマ氏の2期8年の任期中に、沖縄の米軍基地はさらに強化が進み、県民の求める負担軽減に逆行した。県民は「変革」を掲げたオバマ氏に基地問題解決を期待したが裏切られた。
 アイゼンハワー米大統領は1954年の一般教書演説で「沖縄の米軍基地を無期限使用する」と述べた。オバマ氏も歴代大統領と同様に、その理不尽な方針を無批判に継承したと言えよう。
 オバマ氏は上院議員になる前は「人権派」弁護士として活躍したという。在沖米軍基地から派生する事件、事故は県民生活を脅かしており、優れて人権問題である。
 その認識がオバマ氏になかったことは明らかだ。日本政府と共に民意を踏みにじり、辺野古新基地建設を推し進める姿勢がその証しである。
 それだけではない。県内全市町村長らの反対にもかかわらず、米軍普天間飛行場にオスプレイを強行配備した。市街地にある普天間飛行場の危険性を認めながら、欠陥が指摘される機種を配備したことは県民軽視にほかならない。
 オバマ氏は古くなった普天間飛行場を返還する代わりに、日本の予算で最新鋭の基地を造らせることを引き継いだ。負担軽減どころか、危険のたらい回しにすぎず、県民への安全配慮は一切ない。
 任期を締めくくる最後の国民向け演説で、オバマ氏は「民主主義の維持には、相違を超えて結束することが重要だ」と訴えた。
 民主主義の重要性を強調したものだろう。沖縄に対しては民主主義に沿った対応をしなかっただけに、その言葉はむなしく響いた。
 オバマ氏は演説で、移民の子どもたちを大切にしなければ「われわれの子どもたちの未来も損なう」と訴えた。沖縄の子どもたちの未来にも思いをはせるべきではなかったか。
 沖縄からすれば、オバマ氏は沖縄の期待を裏切り、基地の過重負担をさらに押し付けたと評価するしかない。
 続発する事件・事故に有効な防止策を講じず、米軍属による女性殺人事件の発生など痛ましい事件を招いた。米軍最高司令官であるオバマ氏の責任は重大である。
 自身のレガシー(政治的遺産)を擁護したオバマ氏は、沖縄には基地の過重負担という負の遺産だけ残したことを認識すべきだ。


オバマ退任演説への批判として、朝鮮新報のコラムも掲げておく。中東のメディアもおそらく同じ主張を掲げるだろう。労働組合はどう評価するかわからないが、自画自賛演説には辟易している。

シカゴの熱狂(朝鮮新報 2017.1.14)
オバマ大統領は、米国民に向けた最後の演説を08年の選挙時と同じように「イエス・ウィー・キャン(私たちにはできる)」と訴えて締めくくった
▼演説では医療保険改革、キューバとの国交回復、イラン核合意など政策の実績を強調した。アルカーイダの元指導者ビンラーディンの殺害にも触れ、過去8年で米本土攻撃に成功したテロ組織はないと誇った。米大統領は退任を前にホワイトハウスで演説するのが通例だが、今回は本人の希望により地元シカゴで行われた。会場では熱狂的な支持者が、ロックコンサートさながらの声援を送った。
▼聴衆を興奮させた演説にはからくりがあった。例えば、朝鮮半島非核化プロセス中断など政権の失策については触れなかった。過去8年で朝鮮の核攻撃能力を向上させ、米国を取り巻く安全保障環境を悪化させたことに対する反省はなかった。演説当日、米政府は「人権問題」を口実に対朝鮮制裁を再び発動した。朝米対決の激化という深刻な事実を隠す自画自賛演説によって、大統領は米国民を最後まで騙したわけだ。
▼演説の締めくくりでは「イエス・ウィー・キャン」に加え、8年を振り返り「イエス・ウィー・ディド(成し遂げることができた)」と語った。米国では対朝鮮問題以外にも難問が山積みになっている。しかし、厚顔無恥な大統領は美辞麗句でごまかした。「シカゴの熱狂」は空虚な言葉が空回りする無能政治家による三文芝居だった。


さて本論で…このコラムには驚いた。日本では大激論になるテーマだが、メディアがこのように主張したことはほとんど無いはずだ。

<金口木舌>ベーシックインカム(琉球新報 2017年1月15日)
 月々7万円の副収入があったら、何に使いますか。堅実に預金する、借金返済に充てる、外食でぜいたくする、年に一度旅行に行く…と夢も膨らむ
▼フィンランドでは、今月から資産や収入にかかわらず2千人を対象に一律、560ユーロ(約6万8千円)を支給する「ベーシックインカム(BI)」を導入した。2年間の期間限定とし、その効果を検証する
▼BI導入の背景には、低賃金で働く人にとって「働いても生活保護世帯の水準に達しない」との不平等感があるという。生活保護は申請主義で、必要な人が手続きをしていない現状がある。格差の解消と福祉制度の簡略化による行政のコスト削減策として、BIが浮上した
▼フィンランドの試みを日本から見て貧困層からの脱却の手段と評価がある一方で、怠け者を助長するとの指摘もあり、意見が分かれる。企業の税制を優遇したり、地域振興券を配布したりしても庶民の懐は実感として潤っていない。日本にとってもBIは新たな一手と言えまいか
▼県の「沖縄子ども調査」で、過去1年の電気・ガス、電話代などの滞納経験について13〜15%が「ある」と答えた。現金が足りない家計状況が浮き彫りになった
▼県内の子どもの相対的貧困率は約30%。沖縄こそ低所得者層にBIを導入するのも一案ではないか。何より冒頭のような夢が描ける心の余裕は、何ものにも代え難い。


深く拡がる貧困と福祉切り捨ての一方で、国際貢献とオリンピック・リニアなどの公共投資、軍事予算には大盤振る舞いをするアベ暴走の中で、改めてじっくり考えてみることとして、今日は「学習」に留める。以下のハンギョレ新聞では「フィンランドでは2000人に2年間支給実験…就職しても支給」「貧困減少・雇用拡大効果を綿密検討後」「成果が確認できれば適用対象拡大実施予定」と要約し、「カナダ・ウガンダも試験実施導入」「米アラスカ州は41年前から配当所得」「スイス国民投票、ドイツでは政党創設 」と付け加えた。

フィンランド、基本所得実験…毎月7万円を一切条件付けずに支給(ハンギョレ新聞 2017.01.03)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/26124.html
 フィンランドが国家単位では欧州で初めて今年から「基本所得制」実験を始めた。フィンランド社会福祉局(KELA)は2日、福祉手当を受け取る生産可能人口のうち無作為で選ばれた失業者2000人に対して、今後2年間毎月560ユーロ(約7万円)を一切の条件を付けずに支給する基本所得制を1日から実施したと公式発表した。現在フィンランドは、2015年4月の総選挙で1位を占めた中道党のユハ・シピラ首相が中道右派指向の連立政府を率いている。
 基本所得の受給者は、このお金を自由に使え、どんな用途に使ったのかを当局に報告する義務はない。代わりに既に受け取っていた多様な形の現金性社会福祉恩恵は、基本所得の受給額に合せて控除される。フィンランド政府は今回の実験を通じて、普遍的福祉制度である基本所得が貧困の減少と雇用創出効果を発揮できるかを綿密に観察し、成果が確認されれば小商工業者や時間制労働者など他の低所得層にも拡大するつもりだ。
 KELAのオルリ・カンガス担当官は2日、AP通信に「今回の実験の目的は、失業者が何かを失うことに対する恐れ、すなわち“意欲喪失”問題をなくすこと」にあるとしながら、「実験期間中に受給者が職場を見つけても基本所得の受給は続く」と明らかにした。フィンランドの公式統計によれば、2016年現在で1人当りの月平均所得は3500ユーロ(約43万円)、失業率は8.1%水準だ。
 フィンランドは社会福祉制度がよく整っているが、需給条件が非常に複雑で難しい。そのために失業者が失業給付などの恩恵中断を憂慮して、低所得職場や時間制働き口への就職を敬遠する。カンガス担当官は「基本所得制が人々の行動をどのように変えるのか、受給者が多様な働き口を果敢に経験してみることになるか、あるいは一部の批判者が言うとおり何もせずに所得が得られることを知って、一層怠けるようになるのかを観察することは非常に興味深い」と話した。
 基本所得とは、すべての社会構成員の「適切な人生」を保障するために、国家または地方自治体などの政治共同体がすべての構成員に個別的に一切の条件を付けずに定期的に支給する現金性所得をいう。普遍的保障所得である「基本所得」概念は、ますます深刻化する貧富格差の拡大と所得両極化が中産層以下の生活の質を悪化させるだけでなく、階層間の軋轢で共同体の結束までを脅かしているという問題意識から始まった。そのために、社会構成員が人間的尊厳と市民としての主体性を維持できる画期的発想として基本所得制に対する関心と共感が次第に高まっている。
 しかし、基本所得制をめぐって「普遍的福祉の正当性」を擁護する肯定論と「労働意欲低下および不公平」を主張する批判論が対抗している。まだ基本所得の支給を国家単位で全面施行している国は殆どないが、西欧の経済先進国だけでなく開発途上国や低開発国でも基本所得を部分導入している国は増加している。
 すでに米国アラスカ州では1976年に石油収入を財源としてアラスカ永久基金を設立し、すべての住民に毎年配当所得を支給している。昨年は1人当り2072ドル(約25万円)が支給された。イタリアの小都市リヴォルノは、昨年6月から最貧困層100世帯に毎月517ユーロ(約6万4千円)の基本所得を支給し、今月1日からは支給世帯を200世帯に増やした。オランダ、ブラジル、インド、ナミビアなどでも一部の地方自治団体で基本所得制を実験中だ。
 今年に入ってからは、フィンランドに続きカナダとウガンダの一部地方自治体でも基本所得制を試験実施する。ドイツでは昨年6月に普遍的基本所得制全面導入を目的とする政党「基本所得同盟」が創設され、今年10月の総選挙に候補を出す計画だ。
 スイスでは昨年6月、すべての国民に毎月2500フラン(約28万円)を支給する基本所得案が国民投票にかけられたが、77%の反対で否決された。しかし、投票が否決された理由は、基本所得自体に対する反対と言うよりは、支給額が高すぎる反面、財源調達および運用方案が不確かだった点、増税負担、労働意欲減少、移民者流入など無賃乗車者の増加などに対する憂慮が大きかった。スイスは国民800万人のうち10万人以上が署名した案件は国民投票にかけることができ、給与額の調整など細部計画を補完して再投票が行われる可能性が大きい。


もちろん濱口さんも綴られてているので添付し、今日は終わる。オバマ退任演説に関してもそうだが、面と向かって声をあげて議論してみたい。そんな機会がどんどん減っているのが危険なのだ。

フィンランドのベーシックインカムについては(hamachanブログ・EU労働法政策雑記帳 2017.1.4)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-ad6b.html
 一時盛り上がってその後落ち着いていたようですが、またフィンランドのベーシックインカム実験が話題になっているようなので、
http://www.cnn.co.jp/business/35094497.html(ベーシックインカムを試験導入、2千人対象 フィンランド)
 北欧フィンランドで今月から2000人を対象に保証収入を支給する制度を試験的に導入する試みが始まった。
今月から始まったプログラムは、ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)の実効性をテストする最初の取り組みの1つだ。対象者には収入や資産、雇用状況にかかわらず、毎月一律560ユーロ(約6万8000円)が支給される。・・・
 フィンランドのベーシックインカムについては、先日『貧困研究』17号に五石敬路さんが見通しのよい論文を書かれているので、まずはそれにざっと目を通してから何かを語るようにすることをお奨めします。
http://hinkonken.org/?p=1196
フィンランド:ベーシックインカム実験案と社会政策の変化(五石敬路)
 フィンランドにおけるベーシックインカム導入のコンテキストは、就労促進と行政サービスのワンストップ化だというのが、恐らく日本でベーシックインカムをもてはやしている人々の想定外でしょう。
 労働組合と社会民主党がベーシックインカム導入への最大の反対勢力であるというのも、ものごとの筋道を考えれば当然ではありますが、日本では意外に思われてしまうかも知れません。


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